地域において担っている役割
当院は、浪岡地区で唯一、地域医療のための病床と救急機能を有する病院であり、地域住民の健康管理、疾病の治療や予防の基幹となる病院としての役割を担っている。また、在宅療養支援病院として、訪問診療・訪問看護に注力するなど地域包括ケアシステムの中核としての役割も果たしている。なお、令和2年11月より、新型コロナウイルス感染症疑い患者を優先的に受け入れる協力医療機関としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
当院の診療状況は、新型コロナウイルス感染症疑い患者を優先的に受け入れる協力医療機関として、専用病床1床、一般病床33床での診療としてきた。表④許可病床での病床利用率は、新型コロナウイルス感染症による患者数の減によって前年度を大きく下回った。これらを要因とした経営状況は、表②医業収支比率は、医業収益の減少があり、また医業費用が増加したことから、前年度より下落している。表①経常収支比率は、医業収益が減少し、国庫補助金等による医業外収益が増加したものの、前年度より低下している。表③累積欠損金比率は、累積欠損金が前年度より増加し、医業収益が減少したことから、前年度より上昇している。なお、表⑤1人1日当たり入院収益は、前年度より減少したが、表⑥1人1日当たり外来収益は、高額薬剤を使用する化学療法の件数増加等により前年度より増加している。表⑦⑧職員給与費・材料費対医業収益比率は医業収益の減少により前年度より上昇している。
老朽化の状況について
新浪岡病院の開院(令和3年5月)に伴い、総合医療情報システム及び放射線画像関連システムの導入、回診用X線撮影装置等の更新をした。このため、表①②のとおり有形固定資産全体及び器械備品減価償却率は、前年度より低下している。建設投資の現況としては、表③1床当たりの有形固定資産が類似病院の平均値より高い状況にあり、有形固定資産への投資額が大きくなっているところである。
全体総括
当院の経営状況は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い病床利用率は再び下落に転じ、経常収支では固定費である職員給与費の増加を主な要因として赤字が続いており、累積欠損金が増加している状況にある。老朽化の状況については、令和3年5月に新病院が開院、令和3年8月から令和4年7月に旧病院を解体することから、有形固定資産の減価償却率は大幅に改善される見込みである。今後も、新型コロナウイルス感染症の協力医療機関としての役割を果たしつつ、在宅医療やオンライン診療といった収入増加・確保対策や経費削減・抑制対策などの取組を着実に進めるとともに、青森市と株式会社フィリップス・ジャパンとの連携協定に基づき、予防サービスを推進していくことで特定健診受診率の向上を目指すなど、地域包括ケアシステムの中核としての役割も果たしていく。