経営の健全性・効率性について
集落が広範囲に分散しているため、三つの処理施設を設置していることから、維持管理や整備に係る費用が大きなものとなっている。新築住宅の建設や、生活環境の近代化により、ほとんどの世帯が集落排水に接続しているが、支出を賄えるだけの戸数にはなく、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない経営が続いている。しかしながら、近年においては、地方債の繰上げ償還や、職員配置数の見直しなどの改善策を図り、一定の成果が見られる。未だ非水洗化である世帯や、単独浄化槽を継続使用している世帯については、水洗化の利便性や効果は理解しながらも、老朽家屋に居住し、家屋の設備に投資する金銭的余裕がない高齢世帯が多いため、今後、集落排水に接続する可能性は低い。また、新築住宅の建設は断続的であり、年間を通じても少ない件数である。これらのことから、料金収入の大幅な増加は見込めない現状にある。維持管理費については、稼働に必要な最低限の業務項目のみを委託するなど、すでに費用の削減に努めており、これ以上の削減は困難である。施設整備については、これまで大きな整備は行っていないが、各施設とも設置後10年以上が経過しているため、今後の施設整備は不可欠であり、これに伴う支出の増加が見込まれる。料金収入の面では、一定期間で料金設定の見直しを図り、必要に応じて改定を行ってきている。現在の料金設定は平均よりやや高い水準にあると思われるが、健全経営のための財源としては不十分であり、さらなる料金改定は必須である。
老朽化の状況について
いずれの施設も、これまで大きな整備を行ってきていないが、設置後10年以上を経過し、設備の老朽化や、監視システムの旧式化などの問題が発生し始めており、今後の施設整備は不可欠である。とりわけ、村内の集落排水施設の中核を担う浜鬼志別地区漁業集落排水施設については、設置後19年が経過しているため、ごく近い将来において、施設整備を行う必要がある。
全体総括
処理施設の整備が大きな課題であるが、一度に全ての施設を整備することは不可能であることから、機能診断等により優先順位を付し、計画的に施設整備を行う必要がある。実施にあたっては、本村の費用負担を軽減できる事業による実施が望ましい。料金収入については、住民負担の増は免れないが、急激な負担増を避けるため、定期的に料金体系を見直し、計画的な料金改定を行う必要がある。しかし、水道料金の8割程度に設定してきた経過があることから、水道料金の改正との連動や均衡性にも考慮し、料金改定を行わなければならない。本村のような広域かつ小人口の自治体では、独立採算制による経営を行うことは極めて困難であるが、少しでも一般会計繰入金を縮減し、より健全な経営を行うことが重要であると考える。