地域において担っている役割
当町を取り巻く環境として、公共交通機関の便数が少なく、他医療機関を受診するにしても、住民の「足」がない地域である。また、冬期間には吹雪などの交通障害が発生し、「陸の孤島」となる地域である。当院は、このような環境の中で、町内唯一の医療機関として、住民の生命、健康を守るという使命を担い地域医療を支えている。
経営の健全性・効率性について
①依然一般会計からの繰入により経常収支比率は100%以上となっている。②医業収支比率は、類似団体平均値を下回っている。その要因として看護師の不足から入院基本料が極めて低い水準にあり、入院患者1人1日当たり収益が平均値を大きく下回っている。入院基本料のアップ等抜本的な改善が必要である。また、看護スタッフの平均年齢も高いことから、職員給与費対医業収益比率では平均値を上回る要因となっており、年齢層のバランスがとれるよう計画的に人員を採用していく必要がある。③累積欠損金比率については、町財政サイドと今後も協議しながら改善していく。④病床利用率は、類似団体平均値を上回っているものの、昨年と比較すると病床利用率は大きく低下している。要因として、「平成30年度中には介護療養病床を休止とし、一般病棟入院基本料のアップを図る」という改革プランの過渡期にあり、介護病床の休止に向け、病床の稼働率が大きく低下したためである。⑤材料費対医業収益比率については、例年に比べ大きく類似団体平均値を上回っているが、要因として薬品の取り扱いを「消化払方式」から「入出庫方式」へ切り替えるにあたり一度開封されている在庫を全て買い取らなければならなかったためである。
老朽化の状況について
医療機器においては、地域医療を支える上で引き続き計画的な更新をしていく必要がある。建物については、供用開始が平成7年度で20年以上経過していることから、建物建築時の起債償還が終了する平成36年度以降、必要な医療体制を検討しながら計画的に改修していく。
全体総括
町内唯一の医療機関として役割を果たし続けていかなければならない一方で、町財政に大きな負担となっている。町の人口は今後も減少が続くと見込まれることから、果たすべき医療機関としての役割を再度検討し、人員配置や入院基本料・病床数の変更等抜本的に経営形態を見直していく必要がある。