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地方財政ダッシュボード

沖縄県うるま市の財政状況(2019年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

本市における財政力指数について、令和1年度は3ヵ年平均で0.48となっているが、単年度で見た場合、平成29年度:0.47、平成30年度:0.48、令和1年度:0.49となっており、年々上昇傾向となっている。基準財政需要額において、生活保護費や社会福祉費等の社会保障経費が年々増加しているが、基準財政収入額における、市町村民税及び固定資産税も年々増加しており、基準財政需要額の増加率に比べ、基準財政収入額の増加率が上回っていることが財政力指数上昇の要因として考えられる。しかしながら、類似団体平均値を0.14ポイント下回っていることから、今後も自主財源の要である市税増収に取り組み、財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

本市における一般財源等充当経常経費と経常一般財源等は共に上昇傾向であるが、経常一般財源等の増加以上に一般財源等充当経常経費の増加が大きいことから、経常収支比率においても毎年上昇している。一般財源等充当経常経費のうち、人件費や補助費等(放課後児童健全育成事業や中部北環境施設組合負担金などの増)が大きな伸びとなっている。一方、経常一般財源についても年々上昇しているものの、一般財源等充当経常経費の増加に追いついておらず、さらに、普通交付税の一本算定への移行が控えていることから、今後も経常収支比率については、上昇が想定されるため、事務事業の効率化や内部管理経費の点検等、歳出の効率化・節減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

本市における人件費については、全国平均・類似団体平均より下回っているものの、令和2年度より会計年度任用職員制度が開始されることを踏まえ、今後適正な管理体制の取組みに努める。また、物件費及び維持補修費については、全国平均・類似団体平均より下回っているものの、市町村合併による類似施設を抱えるなど課題も多いことから、今後、施設の老朽化に伴う維持補修費の増加が見込まれる。公共施設等については、「公共施設等総合管理計画」を指針として、統廃合等も含めた長期的かつ総合的な施設のありかたを検討し、コストの低減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

本市は、平成30年度より0.5ポイント増加、類似団体平均より2.2ポイント下回っており、類似団体21団体中3番目と低い水準となっているが、今後も各種手当等の見直しを行うなど、適正な給与管理に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員適正化計画(平成17年度~平成29年度、職員数:25.3%削減)の推進により、類似団体平均を下回っている。引続き、平成29年度策定の「第2次うるま市定員適正化計画」(平成30年度~令和4年度)の方針のもと、将来にわたり安定的・継続的に適切な行政サービスを提供できるよう、組織体制や事務事業の見直し、人材の育成と意識改革、民間能力の積極的活用等に取り組み、行政運営の効率化と適切な定員管理を推進する。

実質公債費比率の分析欄

本市においては、平成19年度以降、毎年度改善傾向で推移しており、令和1年度においては、昨年度より0.4ポイントの減少となっている。それは、元利償還金額及び準元利償還金が昨年度より減となったことに加え、標準財政規模の増が要因となっている。しかしながら、本市においては合併特例債の活用可能額の終盤を迎えることから、普通建設事業に係る財源について、他の起債メニューへの移行が必要であり、交付税算入等を踏まえると、償還金に係る基準財政需要額算入額の減少が見込まれ、ひいては実質公債費率の上昇が見込まれることから、市債の計画的発行を行い、健全な財政運営に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、年々改善傾向であったが、令和1年度では「0.8」となっており、平成30年度(-2.5)より、3.3ポイントの増となった。将来負担額を構成する地方債残高、公営企業等繰入見込額、組合負担等見込額及び退職負担見込額が年々減少しているが、令和1年度においては充当可能基金(主に財政調整基金、こどもゆめ基金)の減少が将来負担額の減少を上回ったことが要因となっている。本市においては、合併により公共施設等が多いことから、老朽化施設の更新及び改修等が必要となる施設が多く見込まれるなど、今後も多大な需要が見込まれるため、インフラ及び公共施設の維持管理コストも十分に把握し、財政の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

人件費及び経常一般財源等については、平成30年度より増額となっており、人件費に占める割合については0.4ポイント増となっているが、近年は類似団体平均を下回っている。令和2年度より導入される会計年度任用職員制度も踏まえ、「第2次うるま市定員適正化計画」(平成30年度~令和4年度)の方針のもと、将来にわたり安定的・継続的に適切な行政サービスを提供できるよう、組織体制や事務事業の見直し、人材の育成と意識改革、民間能力の積極的活用等に取り組み、行政運営の効率化と適切な定員管理を推進し、人件費の適正管理に努める。

物件費の分析欄

物件費においては、平成30年度より0.2ポイント減少となっているが、年々増加傾向にあり、類似団体平均を0.2ポイント上回っている。物件費の中でも委託費の割合が半分を占めており、特に施設維持管理委託料や指定管理委託料が大きく、今後、施設の経年劣化等に伴う経費の増加も見込まれることから、公共施設総合管理計画の着実な推進を図るとともに、経費節減・事務事業の効率化等に努める。

扶助費の分析欄

扶助費については、平成30年度より0.2ポイント減少となっているが、年々増加傾向にあり、類似団体平均との差においても、年々広がりつつある。本市においては、生活保護扶助費や障害者自立支援給付費、法人保育所運営費等に占める割合が大きく、今後も、幼児教育・保育の無償化、少子高齢化に伴う社会保障経費により、増額するものと見込まれるため、適正な制度運営に取り組むとともに、経常一般財源の確保と経常的な管理経費の節減等に努める。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率については、平成30年度より0.3ポイントの減となっており、介護保険特別会計への繰出金が増額しているが、国民健康保険特別会計及び公共下水道事業特別会計への繰出金の減額が大きくなっていることが主な要因となっている。介護保険特別会計への繰出金については、今後も増加が見込まれることや、公共施設等の経年劣化による維持補修費の増額も想定される。社会保障関係においては保険料等の徴収強化や適正給付及び予防対策を図り、公共施設については、総合管理計画の着実な推進と計画的な長寿命化を図り、健全経営の推進と効率化に努める。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、平成30年度と比較して1.2ポイント増となっているが、類似団体平均を4.7ポイント下回っている。前年度より増した主な要因としては、一部事務組合負担金が増加となったことや少子高齢化による子育て支援の強化等を踏まえ、民間学童クラブに対する補助金が増加したことが挙げられる。今後も少子高齢化に伴う社会保障の充実により伸びると見込まれる補助金もあるが、各種団体等に対する補助金等については、外部評価等も踏まえながら引き続き必要性、公平性、また公益性等を勘案し、経費の節減・見直しに努める。

公債費の分析欄

本市においては、新市建設計画に基づき、社会インフラや学校教育施設等の整備をはじめ、合併特例債を活用した普通建設事業の実施や臨時財政対策債の借入により、公債費は年々伸びており、ピークは令和3年度で55.4億円と見込んでいる。合併特例債の活用可能残額は、令和2年度を含め約50億円となっていることから、合併特例債からその他地方債へ移行していくことが想定され、地方交付税算入率が低くなり、市債の借入額によっては将来の財政負担につながることから、国県補助金等の有効活用や市の未利用資産の売却等による財源確保を図り、健全財政を基盤にした行政運営に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率については、平成30年度より0.9ポイントの増であり、類似団体平均を0.4ポイント下回っている。要因としては経常一般財源では、市税等が増額となっている一方、経常経費充当一般財源では人件費や補助費等(放課後児童健全育成事業や中部北環境施設組合負担金)が大きく伸びていることが挙げられます。今後も市税の伸びは見込まれるものの、普通交付税の一本算定移行を控えていることに加え、子育て支援等の社会保障経費の充実や公共施設等の維持補修費の増も想定されることから、事務事業の効率化や管理経費の点検等、歳出の効率化・節減に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別歳出において、類似団体平均を大きく上回る項目は民生費及び教育費となっている。民生費については、年々増加しており、平成27年度の住民一人当たりコスト202,629円より約15%上昇し233,018円となっており、21団体中3番目となる高い水準となっている。法人保育所運営費や障害者自立支援給付費をはじめ、生活保護扶助費の他、単独費としての介護保険特別会計繰出金に係る費用が年々増加傾向にあり、子ども子育て支援及び高齢化にともなう社会保障経費については引続き今後も増加が想定される。教育費においては、類似団体平均の一人当たり55,012円を上回る67,504円となっており、21団体5番目となる水準となっているが、小学校校舎増改築事業における工事着工による費用増が主な要因としてあげられる。小学校及び中学校校舎増改築事業や学校給食センター整備事業などの新規事業が今後も控えていることから、同様の水準で推移することが見込まれる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出予算総額は、住民一人当たり約486千円となっている。件費については、住民一人当たり56,731円となっており、類似団体平均の63,840円及び県平均66,093円を下回っており、過去3年間においては55,000円前後で推移してきており、類似団体21団体中14番目と低い水準となっている。普通建設事業費においては、類似団体平均の一人当たり72,051円を上回る73,948円となっており、21団体中9番目となっている。令和1年度は、赤道小学校校舎増改築事業や宮森小学校校舎増改築事業に加え、防災情報伝達システム整備事業や宮城島コミュニティ防災センター整備事業等があり、類似団体平均を上回る水準となった。また、扶助費については年々増加傾向であり令和1年度における住民一人当たりのコストは約171,042円であり、平成27年度の一人当たり134,107円より約27.5%の増となっており、類似団21団体中3番目の高い水準となっている。扶助費については今後も、幼児教育・保育の無償化、少子高齢化に伴う社会保障経費により、増額するものと見込まれるが、適正な制度運営に取り組むとともに、経常一般財源の確保と経常的な管理経費の節減等に努める。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

標準財政規模は年々増加している一方、財政調整基金についてはH28年度以降減少となっており、標準財政規模に占める財政調整基金残高はH30年度より1.99ポイント減少し16.25%となった。実質単年度収支額については黒字となっており、2.83ポイント改善した。実質赤字比率及び連結実質赤字比率においても黒字であることから財政状況は健全状態である。今後、本市の行革大綱に基づき、事務事業の効率化・合理化を継続的に実施し、財政健全判定に係る各指標を注視しながら、健全な財政運営に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

国民健康保険特別会計については、歳入歳出共に対前年度減となっているが、歳入の減額を歳出の減額が上回ったため、実質収支が改善し、H30年度より2.11ポイント増加となったことから、引き続き黒字となっており、その他特別会計及び公営企業会計においても黒字となっている。国民健康保険特別会計については、R3年度までに基金を8億程度積立てる予定となっており、R4年度からR6年度にかけて基金の取り崩しによる対応を想定している。R7年度以降の収支状況について懸念されるところであるが、保険料の徴収強化を踏まえ健全な運営に努める。介護保険特別会計については、高齢化の進行に伴い給付費の増が想定されることから保険料額の検討も踏まえ、健全な運営に向けた取り組みが不可欠である。また、後期高齢者医療特別会計については、標準財政規模に占める割合が小さいものの、後期高齢者の増加に伴う医療費の伸びが予測されるところであり、特に団塊の世代が後期高齢医療に加入するR7年度以降の収支状況について悪化が懸念されることから、適切な運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

令和1年度については、一般単独事業債や中部北環境組合の地方債が一部完済したことで、平成30年度より減額となっている。本市においては、新市建設計画に基づき、合併特例債を活用した普通建設事業を重点的に行っているため、高い交付税算入率となっているが、合併特例債の活用可能残額も減少してきていることから、今後は合併特例債以外の地方債の活用が想定されており、地方債残高に占める算入公債費の割合の減少が見込まれる。また、合併による類似施設が多いため、老朽化による施設更新に係る地方債が想定され、公共施設等総合管理計画を指針として類似施設の整理縮小、普通建設事業の規模適正化に努めるなど、長期的かつ総合的な視点に立った行財政運営に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

H24年度以降、決算剰余金等を財源に市債の繰上償還(H27年度まで)や利率見直し、充当可能基金の積み増しを実施してきたこと、交付税算入率の高い合併特例債を主に活用したことにより、将来負担比率は平成30年度まで年々減少している。令和1年度においては、充当可能基金が前年度より823百万円減額となり、将来負担比率は増加しているが、低い水準となっている。しかしながら、合併特例債の活用可能残額も減少してきていることから、今後は合併特例債以外の地方債の活用が想定されており、地方債残高に占める算入公債費の割合の減少が見込まれ、将来負担比率が増加へ転じる見通しである。引続き、行財政改革を推進し、将来負担を軽減できるよう、普通建設事業の規模適正化に努める等、財政の健全化を図る。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)決算剰余等により2,043百万円を積立てているが、予算編成時における収支不足分による財政調整基金2,308百万円、子育て支援施策の充実の推進による、こどもゆめ基金369百万円、公共施設の長寿命化、更新整備等による、公共施設総合管理基金180百万円、その他の基金繰入により、3,139百万円の取崩しがあるため、基金残高は1,096百万円の減となった。(今後の方針)歳入面の市税においては、収納率向上対策効果により増加傾向であり、財政調整基金等への収支差額及び基金運用による利子の積立を行っているが、歳出面についても、人件費、扶助費等の義務的経費が増加傾向にあります。また、今後における公共施設等の維持管理や更新等も踏まえ、引続き各基金への積立を予定している。

財政調整基金

(増減理由)当初予算及び補正予算の財源にあてるため、基金を取り崩す(2,308百万円)とともに、予算編成における収支差額及び基金運用利子を積立てた(1,853百万円)ことにより、455百万円減となった。(今後の方針)今後は普通交付税の一本算定移行による交付税額の縮減による影響額(-540百万円)や、扶助費等の義務的経費の増加(1,130百万円)等に伴い、収支バランスがとれなくなることが見込まれるため、これまで計画的に積立を実施しているところであるが、引続き予算編成時において、基金を計画的に活用していく予定となっている。

減債基金

(増減理由)基金運用による利子を21百万円積立たことによる増。(今後の方針)本市は、合併に伴い多くの公共施設等を保有し、通常より財政的に有利な合併特例債を活用し、学校施設及び都市基盤を整備してきたことから、公債費が増加傾向で推移しております。特に、合併特例債の償還等で平成30年度から令和4年度は、公債費が50億円台と高い水準を見込むことから、償還財源として基金を計画的に活用する予定となっております。

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域振興基金:「市民の一体感の醸成を図る事業」、「地域振興及び経済の活性化を図る事業」、「市民との協働のまちづくり推進を図る事業」、「市内に在する団体等が行う地域振興や公共の福祉の向上等に資する活動に対する支援事業」等、新市建設計画に位置付けられた地域振興等の推進・こどもゆめ基金:子育て支援施策の充実の推進・公共施設等総合管理基金:公共施設等の長寿命化、更新整備、統廃合等の推進(増減理由)・地域振興基金:地域活動支援助成事業(2百万円)海外移住者子弟研修受入事業(1百万円)、うるま市防犯灯設置補助事業(20百万円)等により、27百万円取り崩しているが、基金運用にて44百万円の積立てにより、17百万円増額となっております。・こどもゆめ基金:公立幼稚園環境整備事業(135百万円)、こども医療費助成事業(85百万円)、保育施設整備事業(30百万円)等により、369百万円取崩しているため、369百万円減額となっております。・公共施設等総合管理基金:IT事業支援センター管理費(34百万円)、東照間商業等施設管理費(16百万円)、あげな小学校空調設備機器復旧事業(16百万円)等により、180百万円取崩しているため、180百万円減額となっております。(今後の方針)・地域振興基金:地域活動支援助成事業やコミュニティー防災センター整備事業等への活用を予定。・こどもゆめ基金:認定こども園施設整備事業やこども医療費助成事業等への活用を予定。・公共施設等総合管理基金:小学校及び中学校施設修繕や総合体育館建替事業等への活用を予定。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

前年度から0.5ポイント増の49.2%となり、類似団体では低水準にあるものと推測できる。本市は、平成17年度から合併特例債を活用した新市の都市基盤整備に取り組んでおり、学校施設や庁舎、道路などが低い値となっている。一方で農林水産施設、体育施設など合併以前から設置されている施設については老朽化が進行してきており、今後、個別施設計画に基づいた施設の適切な管理維持に努める必要がある。

債務償還比率の分析欄

前年度から21.1ポイント増の596.9%となり、分子となる将来負担額等が増額し、分母となる経常一般財源等が減額しているため、前年度よりポイントが増加している。将来負担額等について、実質的な債務は減少しているが充当可能財源である基金の減少が大きかったことから、前年度より増額となる。今後は、合併特例債からその他起債への移行により、投資的経費の規模による将来負担額の増加や会計年度任用職員制度に伴う人件費及び高齢化に伴う扶助費の増加が予想されるため、効率的・効果的な行政経営による将来負担の抑制強化に努める必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

普通建設事業を実施する際には、合併特例債等の財政措置の大きな地方債メニューを活用してきたこと、決算剰余金を活用した基金積立てを計画的に取り組んできたことなどにより、将来負担の軽減を図ってきた結果、将来負担比率が低下している。また、有形固定資産減価償却率についても、類似団体内で市民会館・体育館・図書館は高水準となっているが、有形固定資産の多くを占める道路や学校施設の計画的更新により、全体では類似団体平均値より低水準となっている。耐用年数分類別に比較すると、全体的に建物付属設備の減価償却率が高水準にあり、維持管理費が増加してくると想定されることから、今後の施設のあり方(統廃合や長寿命化など)について、個別施設計画に基づき検討する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率、将来負担比率ともに類似団体と比較して低水準にある。それは、普通建設事業を実施する際、合併特例債を活用していることや決算剰余金を活用した基金積立てを計画的に取り組んできたことによる。なお、合併特例債の活用については、令和7年度までを計画期間としていることから、今後の地方債活用については充当率や交付税算入率を考慮するとともに普通建設事業のあり方を検討していく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が低い施設は、主に道路(42.8%)、橋りょう(54.9%)、公営住宅(47.1%)、学校施設(41.1%)となっており、小学校を中心に耐震化を目的とした増改築の実施や道路、橋りょう、公営住宅における個別の長寿命化計画に基づいた計画的更新による結果が反映されているものと推測できる。類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い施設は、港湾・漁港施設(51.7%)、公民館(59.0%)となっており、平成17年度の合併以前から設置されている固定資産が多く、減価償却が進んできている。各地区公民館においては、建物の老朽化が進んでいることから、個別施設計画に基づいた施設の更新・維持管理を適切に行っていくことにより、今後の維持管理費の減少を含めた公共施設マネジメントの適正化に努める。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が低い施設は、庁舎(35.1%)、消防施設(35.3%)となっており、本庁舎(東棟)を平成27年度に新築したことや与勝消防署を令和元年に改築したことから、取得価格が増加し、減価償却率が低くなっている。類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い施設は、市民会館(76.0%)、体育館・プール(76.2%)、図書館(63.0%)となっており、市民会館と図書館の建物付属設備のほとんどが耐用年数超えているため、減価償却率が高くなっていることから、個別施設計画に基づいた施設の更新・維持管理を適切に行っていくことにより今後の維持管理費用の減少を含めた公共施設マネジメントの適正化に努める。また、体育施設については、昭和60年前後に建設された施設が多く減価償却が進んできている。特に具志川総合体育館は、整備後39年が経過し、老朽化が進んでいることや耐震性にも問題があることから、利用者の安全性や利便性を確保するため、建替えを検討していく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等における資産総額は、前年度から増額(184,894百万円→190,064百万円[5,170百万円増])となった。金額の変動が大きいものは事業用資産、インフラ資産及であり、事業用資産では、赤道小学校校舎新増改築事業(2,800百万円)や宮森小学校校舎新増改築事業(2,359百万円)、その他の資産取得額が減価償却による資産の減少を上回ったこと等から8,520百万円増加し、インフラ資産は減価償却による資産の減少が、浜漁港浮桟橋整備事業(199百万)や川崎ルーシー河線道路改良事業(80百万)、その他の資産取得額を上回ったこと等から4,533百万円の減少となっている。また、負債総額についても主に地方債の償還が進んだことにより前年度から減少(52,605百万円52,289百万円[316百万円減]することとなった。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等における経常費用は、前年度から増加(48,610百万円→49,652百万円[1,042百万円増])しており、人件費等から構成される業務費用が20,457百万円、補助金・社会保障費・他会計への繰出金等の移転費用は31,629百万円となり、移転費用が業務費用を上回る構造となっている。その要因として、少子高齢化による子育て支援の強化等を踏まえた民間学童クラブに対する補助金の増加や、生活保護費など扶助費の伸びとなっており、これらを含む補助金社会保障費の合計額(26,487百万円)は純経常行政コストの53.3%を占めている。今後も保育ニーズや生活保護費の増加、高齢化の進展など増加傾向にあることから、適正な制度運営に取り組み、経費の抑制に努める。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(51,309百万円)が純行政コスト(△49,991百万円)を上回ったことから、本年度差額は1,318百万円となり、純資産残高が前年度から増加(132,290百万円→137,774百万円[5,484百万円増])している。本年度においては、補助金を受けて赤道小学校校舎新増改築事業や宮森小学校校舎新増改築事業等を行ったため、財源に当該補助金の額が計上される一方、減価償却による行政コストの計上が後年度以降に年次的に行われるため、純資産が増加することとなっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等における業務活動収支では、税収等収入や国県補助金収入など業務収入の増加(2,138百万円増)が、少子高齢化を背景とした補助金等支出や社会保障給付支出などの業務支出の増加(1,765百万円増)を上回ったことにより、前年度から増加(3,974百万円→4,383百万円[409百万円増)となった。投資活動収支については、基金取り崩しになどの投資活動収入の増加(865百万円)が、赤道小学校校舎増改築事業等や宮森小学校校舎増改築事業の建設事業による実投資活動収支の増加(444百万円増)を上回ったことにより、前年度から増加(△3,816百万円→3,395百万円[421百万円増])となった。また、財務活動収支においては、地方債償還支出が新規発行額を上回ったため△218百万円となった。3つの活動収支を合計した本年度資金収支額は前年度より増加(△391百万円→770百万円[1,161百万円増)となった。しかし、行政活動に必要な資金を基金取り崩しや地方債の発行収入によって確保している状況であるため、中長期的な財政見通しを踏まえた健全な行財政運営に努める。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額(152.7万円)は、類似団体平均を下回っている。それは、本市より資産額が大きな団体については、面積も広い傾向があり、相対的にインフラ資産整備面積の狭小な本市は平均値を下回る傾向にある。また、有形固定資産減価償却率については、平成17年度から合併特例債等を活用した新市の都市基盤整備に取り組んできたこともあり、類似団体平均値を下回る49.2%となっている。ししかしながら、旧団体から設置されている農林水産施設、体育施設などの老朽化は進行しているため、個別施設計画に基づいた施設の適切な維持管理に努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均と同程度となっている。純資産及び資産合計が共に前年度より増加しているが、純資産の伸び率が資産合計の伸び率を上回り、純資産比率は1.0ポイント増加(71.5→72.5)となっている。これは、税収等の財源が純行政コストを上回ったことや地方債償還が進んだことによる負債の減少が純資産比率の増加に寄与している。今後は、子育て支援の強化等による財政需要の増加や地方債償還額が高水準で推移することから、中長期的な財政見通しを踏まえた健全な行財政運営に努める必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均と同程度である。特に、高齢化の進展に伴い社会保障関係費が増加し続けており、保育所運営費や生活保護費等の扶助費が増加傾向にあることなどから、今後も適正な制度運営による経費抑制に努める必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

基礎的財政収支については、投資活動収支(△3,395)から基金取崩収入及び基金積立金支出を除いた赤字分(△1,020)が、支払利息支出を除いた業務活動収支の黒字分(4,769)を下回ったことから354百万円の黒字となっている。投資活動収支の赤字分が前年度より拡大しているため、今後も学校教育施設の建替えなどの普通建設事業計画があることから、行政コストの縮減や、地方債充当率や交付税算入率を考慮した普通建設事業のあり方を検討していく必要がある

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率(4.7%)は、類似団体平均を上回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担割合は高くなっている。前年度と比較すると、経常収益及び経常費用は共に増加している。公共施設等の使用料の見直しを行う等、受益者負担の適正化に努めるとともに、老朽化施設の維持補修費の増加も見込まれることから、公共施設等総合管理計画や、個別施設計画に基づいた適切な維持管理により、経常費用の削減に努める必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,