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地方財政ダッシュボード

兵庫県小野市の財政状況(2020年度)

🏠小野市

地方公営企業の一覧

小野市民病院 末端給水事業 公共下水道 特定環境保全公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は前年度より0.01ポイント上昇し、類似団体平均より良好な指標となっている。高齢化の進展などにより社会福祉費や高齢者保健福祉費が増加したことで、基準財政需要額は前年度より2.0億円増加したが、基準財政収入額も、市民税、固定資産税の増などにより前年度より2.1億円増加しており、数値は改善している。今後も財政基盤の強化に向けて、税等一般財源の確保に向けた事業を実施するとともに、公共施設の再編を含め、効率的な行政運営に努める。

経常収支比率の分析欄

市税収入は減少したものの、増税による地方消費税交付金の増や臨時財政対策債の増により経常一般財源は1.3億円増加した。新庁舎建設に係る起債の償還開始により公債費が大幅に増加したものの、経常的歳出は0.5億円の増に留まり、経常収支比率は0.7ポイント改善し、類似団体平均を下回っている。今後、社会保障費など経常経費の増加が見込まれることから、事業の見直し等により経費の適正化を図るとともに、市税等自主財源の確保に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、前年度より8,926円増加している。主な要因としては、GIGAスクール構想により、学校のネットワーク環境整備と全児童・生徒にタブレット型パソコンを配置したことにより、物件費が大幅に増加したことによる。全国平均、兵庫県平均、類似団体平均と比較するといずれも下回っており、引き続き適正な職員定数や業務遂行の改善による時間外手当の削減に努め、財政の適正化を図る。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は、前年度と同じ100.3となり、全国市平均や類似団体平均より高い水準となっている。給与の一律カット等は行わず、業務遂行の更なる改善による時間外勤務の削減や、職員手当の適正化により、人件費の総額をいかに減らすかという視点で取り組んでいる。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成11年以降、人口当たりの職員数を人事マネジメントの一指標として、職員採用や人員配置の適正化を図ってきた。人口減少にあっても増え続ける行政需要に対し、多種多様な勤務形態・人材の活用を進めるとともに、民間委託や指定管理を導入するなど、業務の効率化に努めている。引き続き兵庫県内最小規模の職員数で業務を遂行し、全国・兵庫県平均及び類似団体平均を下回る状況を堅持する。

実質公債費比率の分析欄

下水道や病院事業債の償還完了に伴い、公営企業債の元利償還金に対する繰入金等が0.6億円減少したが、新庁舎建設事業債などの償還開始に伴う元利償還金が1.5億円増となり、単年度では1.2ポイント上昇したものの、3か年平均では0.5ポイントの増に留まった。今後も老朽化した公共施設等の更新を控えていることから、国・県補助金及び交付税措置のある有利な地方債を積極的に活用し、公債費負担の適正化に努める。

将来負担比率の分析欄

新庁舎建設事業に係る公営企業会計からの負担金の積立てによる充当可能基金の増や、病院、下水道事業の地方債残高に対する繰入見込額の減により、将来負担比率は6.8ポイント改善し、類似団体平均を下回っている。今後も地方債残高及び基金残高の適正管理に努め、市が独自に定める財政規律やガイドラインの30%以下を堅持できるよう、交付税措置のある有利な地方債の活用や既存事業の見直しなどにより、世代間の公平性を保っていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

会計年度任用職員制度の導入により人件費に係る経常一般財源は4.9億円増加し、経常収支比率は前年度より4.0ポイント増加した。類似団体平均を上回ったが、全国・兵庫県平均は下回っている。平成14年度から2年間の退職者不補充や、民間委託の推進等により、他団体に先駆けて職員数の削減に取り組み、更に平成18年度から地域手当(5%)を全廃するなど、徹底した人件費の抑制に取り組んできた。また、他団体の人口当たりの職員数や、手当を含めた年間収入の額を比較し、給与水準の適正化に努めている。

物件費の分析欄

アフタースクール事業の民間委託や、予防接種の委託化により物件費は増加したが、会計年度任用職員制度の導入により、全体では経常一般財源が3.4億円減少したため、経常収支比率は3.1ポイント改善した。兵庫県平均を上回ったものの、全国平均及び類似団体平均は下回っている。今後も各平均を下回るよう、委託内容や事業の見直しによりコスト削減に取り組む。

扶助費の分析欄

子どもの医療費や児童扶養手当など、扶助費に係る経常一般財源が1.3億円減少し、幼児教育・保育無償化に係る補助金が増加したことにより、経常収支比率は前年度より1.2ポイント改善した。類似団体平均は上回っているが、全国・兵庫県平均は下回っている。今後も高齢化や子ども・子育て支援により社会給付費は増加する傾向にあり、市独自事業の見直しや適正な支給を徹底していく。

その他の分析欄

介護保険や後期高齢者医療特別会計への繰出金など、その他の経費に係る経常一般財源は0.2億円増加したが、それ以上に歳入経常一般財源が増加しているため、経常収支比率は0.1ポイント改善した。全国・兵庫県平均、類似団体平均とほぼ同程度となっている。特別会計への繰出金は、高齢化の進展により今後も高い水準で推移することが見込まれるが、市独自施策の見直しや予防医療の推進など特別会計の経営改善を徹底し、コスト縮減に取り組む。

補助費等の分析欄

農業共済の県営化に伴う小野加東広域事務組合への負担金の廃止や、予防接種の委託化により、補助費に係る経常一般財源が1.7億円減少したことで、経常収支比率は1.6ポイント改善し、初めて類似団体平均を下回った。平成16年度から下水道事業に公営企業法を適用しており、当該事業への負担金等は補助費等に分類されるため、全国・兵庫県平均を上回る要因となっている。今後も、単独で実施している補助金・負担金の見直しを行い、適正・公平な交付に努める。

公債費の分析欄

新庁舎建設に係る地方債の償還が開始するなど、公債費に係る経常一般財源は1.6億円増加し、経常収支比率は前年度より1.3ポイント増加した。全国平均を上回っているが、兵庫県平均及び類似団体平均は下回っている。今後、道路整備や公共施設の長寿命化が控えており、比率の増加が見込まれる。国・県補助金及び交付税措置のある有利な地方債を積極的に活用し、公債費の抑制と平準化を進め堅実な財政運営に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率は、前年度より2.0ポイント改善し、類似団体平均とほぼ同水準で推移している。これは、「人件費」や「扶助費」が類似団体と比較して高い水準にある一方、「物件費」や「補助費等」の経費が低い水準となっているためである。今後もゼロベースで事業の見直しを行いながら、更なる行財政改革の取り組みなどにより、コストの削減に努めていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別歳出では、労働費のみが類似団体平均を上回っており、勤労住宅資金融資に係る預託金が他団体よりも多いことが考えられる。総務費は、新庁舎建設が完了したことにより類似団体平均を下回ったが、コロナによる「臨時特別給付金」の支給があったため、住民一人当たりのコストは増加している。土木費は、堀井城跡ふれあい公園整備や新大河橋補修工事の完了などにより減少し、類似団体平均を大きく下回った。教育費は、小野南中学校の長寿命化改良事業やコミセンおの改修事業、また、GIGAスクール構想による学校のネットワーク整備及び全児童・生徒へのタブレット型パソコンの配備により大幅に増加したが、類似団体平均と同程度となっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算の総額は、住民一人当たり533千円となっている。類似団体平均を上回っているのは扶助費で、類似団体と比較して住民一人当たり9,031円コストがかかっている。これは、市営の保育所を持たずに私立保育所に保育給付費を措置していることや、本市の子育て支援の代名詞にもなっている「高校3年生までの医療費の完全無料化」によるものと考えられる。人件費は、全国・兵庫県平均及び類似団体平均を下回っており、平成14年度から2年間の退職者不補充や、民間委託の推進等により、他団体に先駆けて職員数の削減に取り組み、平成18年度からは地域手当(5%)を全廃するなど、徹底した人件費の抑制に取り組んできた結果である。普通建設事業費(うち更新整備)は、新庁舎建設が完了し類似団体平均水準まで減少したが、全国・兵庫県平均を上回っており、今後も公共施設の老朽化による更新が見込まれるため、公共施設総合管理計画や個別施設計画に基づいて長寿命化や集約化を推進し、適正なアセットマネジメントを図る必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

「行政も経営」の基本理念のもと、無駄や非効率の改善を進め、43年連続で実質収支の黒字を達成した。財政調整基金残高は、事業見直しの成果やコロナ対策関連補助金の活用等により、2年ぶりに取崩しを行わなかったことで、前年度より2.3億円増えて標準財政規模比も1.32ポイント改善し、実質単年度収支の標準財政規模比も1.43ポイント改善している。今後も、市が独自に定めたガイドラインである財政調整基金残高70億円を堅持し、財政基盤の強化に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

令和2年度においても、実質赤字及び資金不足となった会計はないため、全会計を対象とした連結実質赤字比率については、値なしとなった。今後も引き続き赤字決算とならないよう、事業の効率化と経費削減等により、健全な財政運営を図る。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

新庁舎建設に係る地方債の償還が開始したことにより、元利償還金は1.5億円増加した。一方、下水道や病院事業債の償還完了に伴い、公営企業債の元利償還金に対する繰入金及び組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等は0.6億円減少し、実質公債費比率の分子は1.2億円の増となった。今後も老朽化した公共施設等の更新を控えていることから、国・県補助金及び交付税措置のある有利な地方債を積極的に活用し、公債費負担の適正化に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債残高は、1.4億円増加したが、公営企業債等繰入見込額が0.4億円減少し、将来負担額は前年度と同程度であった。一方、事業見直しの成果やコロナ対策関連補助金の活用により財政基金の取崩しを行わなかったことや、新庁舎完成により、水道事業会計から庁舎建設に係る負担金を公共施設整備基金へ積み立てたことにより、充当可能基金は前年度より6.8億円増加し、将来負担比率の分子は6.3億円減少した。今後も老朽化した公共施設等の更新を控えていることから、国・県補助金及び交付税措置のある有利な地方債の活用や既存事業の見直しなどにより、過度な将来負担が生じないよう計画的に事業を実施し、持続可能な財政運営に努める。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)基金全体としては、1.4億円を取り崩して8.0億円を積み立てたため、前年度より6.6億円増加し、総額83.6億円となった。取崩の主な内訳は、最終処分場の整備や小野南中学校の長寿命化改修の財源として公共施設整備基金を0.7億円、白雲谷温泉ゆぴかの空調工事やコロナによる赤字補てんの財源として白雲谷温泉施設整備及び運営基金を0.4億円活用した。積立の主な内訳は、財政調整基金が2.3億円、新庁舎完成による水道事業会計からの庁舎建設に係る負担金を含め公共施設整備基金が5.1億円となっている。(今後の方針)引き続き公共施設の長寿命化事業等が見込まれる状況においても持続可能な財政を維持するため、市独自の財政規律ガイドラインを設定し、基金残高を70億円以上確保することとしている。ガイドラインを堅持するため、事業見直しによるコスト削減や公共施設の再編などにより、基金の適正な活用に努める。

財政調整基金

(増減理由)事業見直しの成果やコロナ対策関連補助金の活用等により、2年ぶりに取崩を行わなかったことで、前年度より2.3億円増えて4.4億円となった。(今後の方針)新庁舎建設に係る償還や高齢化の進展等による扶助費、公共施設の維持管理費などの増加による財源不足に対応するため、多額の取崩が見込まれる。補助金等の財源確保に努め、他の基金との均衡も図りながら、適正に管理していく。

減債基金

(増減理由)平成29年度に新庁舎建設後の公債費の増嵩に備えるため私有財産の売却益を活用して2億円を積み立て、平成28年度以降5年連続で減債基金を取り崩さない財政運営を行っており、基金残高は利子分の積立により増加した。(今後の方針)大型事業の実施に伴い地方債残高と公債費の増嵩が見込まれることから、繰上償還時の財源としての活用や景気後退時の財源不足に伴う公債費の財源として活用する。また、臨時的収入等を活用して計画的な積立を行うものとする。

その他特定目的基金

(基金の使途)・公共施設整備基金:公共施設の整備に要する資金に充てるための財源として・福祉基金:より充実した福祉の推進を図るための財源として・文化振興基金:芸術文化の向上と継続的な発展を図るための財源として・白雲谷温泉施設整備及び運営基金:白雲谷温泉ゆぴかの施設の整備に要する資金及び健全な運営に資するための財源として・教育基金:教育事業の充実のために必要な経費の財源として(増減理由)・公共施設整備基金:最終処分場の整備や小野南中学校の長寿命化改修の財源として0.7億円を取り崩したが、新庁舎完成により水道事業会計から庁舎建設に係る負担金5億円と預金利息相当額0.1億円を積み立てたため、前年度より4.4億円増加した。・白雲谷温泉施設整備及び運営基金:預金利息及び前年度運営黒字相当額0.1億円を積み立てたが、空調工事やコロナによる赤字補てんの財源として0.4億円を取り崩し、前年度より0.3億円減少した。(今後の方針)・公共施設整備基金:今後も学校施設や体育施設等の長寿命化事業が見込まれるため、計画的な積立・取崩を行う。・白雲谷温泉施設整備及び運営基金:指定管理者と協働して赤字額の縮減を図り、将来の改修等に備えて着実な積立を行う。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和元年度は、新庁舎や小野希望の丘陸上競技場などの大規模投資事業が完了したことで償却率は低下し、全国・兵庫県・類似団体内平均を全て下回っている。施設類型別では老朽化が顕著な施設もあるため、公共施設総合管理計画等に基づき、単なる建替えや改修だけでなく、長寿命化や機能集約・複合化を含めて、公共施設のあり方を検討することが必要となる。

債務償還比率の分析欄

全国・兵庫県・類似団体内平均を全て下回っており、良好な水準を保っている。令和元年度は複数の大規模投資事業が完了したことで、将来負担額が増加し、充当可能基金が減少したため、比率は上昇している。持続可能な健全財政を堅持するため、維持管理費用を含めた投資判断や、市税等一般財源の確保、コスト縮減に向けた取り組みが必要である。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和元年度は、複数の大規模投資事業の完了により、有形固定資産減価償却率は低下したが、将来負担額の増加と充当可能基金の減少で将来負担比率がプラス値となった。類似団体との比較では、将来負担比率、有形固定資産減価率とも良好な水準を保っており、老朽化対策を行いつつ健全財政も維持している。今後も公共施設等総合管理計画や個別施設計画に基づき、長寿命化や機能集約・複合化によるコストの縮減と平準化を図り、公共施設の適正管理に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率がプラス値になるとともに、令和元年度から基準財政需要額に算入されない新庁舎建設にかかる地方債の償還が始まり、実質公債費比率も上昇したが、類似団体と比較して良好な水準を維持している。近い将来財政を圧迫する見込みはないが、今後も実質公債費比率、将来負担比率ともに上昇すると考えられるため、交付税措置のある地方債や国県補助金等を活用し、過度な将来負担が生じないよう計画的な投資事業の実施と公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、「幼稚園・認定こども園・保育所」以外の施設類型において、類似団体と同程度を維持しており、全国及び兵庫県の平均を下回っている。「幼稚園・認定こども園・保育所」には公立幼稚園が該当するが、市民のニーズや安全性を踏まえ、機能集約や改修に向けた議論が急がれる。なお、一人当たり面積が少ないのは、公立の認定こども園や保育所が存在しないためである。「学校施設」については、小学校が有形固定資産減価率50.4%、中学校が65.1%となっており、特に中学校の有形固定資産減価率が高くなっている。平成30年度に個別施設計画を策定しており、同計画に基づいて現在小野南中学校の大規模改修を行うなど、老朽化対策に取り組んでいる。一人当たり換算では、「橋りょう・トンネル」以外の項目で類似団体よりも低い水準となっており、全国や兵庫県の平均と比べても下回っている施設類型が多い。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

ほとんどの施設類型において、有形固定資産減価率は類似団体平均を下回っているものの、「福祉施設」「保健センター・保健所」については、類似団体平均を大きく上回るとともに、全国・兵庫県平均も上回っている。「福祉施設」については、公立の障がい者支援施設であり、築35年を経過し老朽化が進んでいるため減価償却率が高くなっているが、今後投資を行う場合は利用者のニーズや民間施設の進出状況をふまえて検討する必要がある。令和元年度は、図書館の空調・照明改修、消防署南分署の改修、新庁舎の建設が完了し、「図書館」「消防施設」「庁舎」については有形固定資産減価償却率が改善している。なお、「庁舎」及び「市民会館」「保健センター・保健所」については、令和3年度に解体工事(除却)が完了するため、償却率は下がると考えられる。一人当たり換算では、「図書館」「市民会館」「庁舎」が類似団体平均を上回っているが、上記で述べたように、「市民会館」と「庁舎」は除却される分があるため、除却後は類似団体平均を下回ることになる。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から2,837百万円増加し、83,359百万円となった。新庁舎の建設や小野希望の丘整備陸上競技場、堀井城ふれあい公園などの大規模な投資事業の完成により、公共施設整備基金等を取り崩したことで基金(固定資産)は1,551百万円減少したが、資産の取得額(6,581百万円)が、減価償却による資産の減少(2,139百万円)を上回ったことから、有形固定資産は4,489百万円増加した。負債総額は前年度末から2,994百万円増加し、25,502百万円となった。投資事業による地方債(固定負債)が2,447百万円増加したことによる。水道事業会計、下水道事業会計等を加えた全体では、資産総額は前年度末から1,860百万円増加し、負債総額も1,262百万円増加した。資産総額は、上下水道管等のインフラ資産を計上していることなどにより、一般会計等に比べて40,040百万円多くなるが、負債総額も、地方債や前受金の計上により、21,600百万円多くなっている。小野市土地開発公社や北播磨総合医療センター等を加えた連結では、資産総額は前年度末から1,313百万円増加し、負債総額は34百万円減少した。資産総額は、病院施設や衛生施設に係る資産を計上していることなどにより、一般会計等に比べて50,534百万円多くなるが、負債総額も、病院事業や土地開発公社の借入金等により、28,600百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は17,538百万円となり、前年度比254百万円の増加となった。人件費等の業務費用は8,560百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は18,978百万円であり、前年度と同様に移転費用が業務費用を上回っているが、その差は1,031百万円から418百万円に縮まっている。経常収益は、施設の休業による使用料の減収等により86百万円減少し、純経常行政コストは341百万円増加した。令和元年度は、用地の払い下げ等により120百万円の臨時利益があり、純行政コストは248百万円の増加となった。高齢化の進展などにより社会保障給付や他会計への繰出金は増加傾向にあり、事業の見直しや予防医療施策により中長期的な視点での経費削減に努めるとともに、使用料・手数料の見直しを実施するなど、受益者負担の適正化を図る。全体では、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、一般会計等に比べて経常収益が2,262百万円多くなっている。一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が7,685百万円多くなり、純行政コストは8,361百万円多くなっている。連結では、連結対象となる事業収益を計上し、一般会計等に比べて、経常収益が8,456百万円多くなっている一方、補助金等が12,879百万円多くなっているなど経常費用が22,349百万円多くなり、純行政コストは13,913百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(16,385百万円)が純行政コスト(16,524百万円)を下回ったことで、本年度差額は▲139百万円となり、純資産残高は157百万円の減少となった。財源は、地方交付税等の減により税収等が110百万円減少したものの、補助金を活用して事業を行ったことで国県等補助金は215百万円増加し、全体で106百万円増加しているが、純行政コストが248百万円増加したため、本年度差額はマイナスとなった。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が3,500百万円多くなっており、本年度差額は536百万円となり、純資産残高は597百万円の増加となった。連結では、兵庫県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が14,495百万円多くなっており、本年度差額は443百万円となり、資産残高は1,347百万円の増となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,060百万円(前年度比△203百万円)であったが、投資活動収支については、新庁舎の建設や小野希望の丘整備陸上競技場、堀井城ふれあい公園などの大規模な投資事業により、▲4,233百万円(前年度比△2,139百万円)となった。財務活動収支は、地方債発行収入が地方債の償還額を上回ったことから、3,109百万円(前年度比+2,183百万円)となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より1,499百万円多い2,559百万円となっている。投資活動収支では、一般会計等と比べて公共施設等整備費支出が449百万円多くなっており、4,608百万円となっている。財務活動収支は、地方債発行収入が地方債の償還額を上回ったことから、1,608百万円となった。本年度末資金残高は前年度より440百万円減少し、4,840百万円となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

①住民一人当たり資産額は、新庁舎の建設や小野希望の丘整備陸上競技場、堀井城ふれあい公園などの大規模な投資事業の完成により、前年度より6.7万円増加したものの、類似団体平均を大きく下回っている。要因としては、当団体では、道路や河川の敷地のうち、取得価額が不明であるため、備忘価額1円で評価しているものが大半を占めているためと考えられる。②歳入額対資産比率については、類似団体平均を0.5年下回る結果となった。前年度と比較すると、投資事業により資産が2,837百万円増加したが、それ以上に地方債発行収入や基金取崩収入などの歳入が増加したため、比率は0.5年減少した。③有形固定資産減価償却率は、新庁舎の完成などにより、前年度より2.6ポイント減少し、類似団体平均より10.3ポイント下回っている。旧庁舎の除却により更に減少する見込みであり、比較的新しい施設も多いが、学校や福祉施設の老朽化が進んでおり、今後も公共施設総合管理計画や個別施設計画に基づいて長寿命化や集約化を推進し、適正なアセットマネジメントを図る必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

④純資産比率は、類似団体平均と同程度であるが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから純資産が減少し、前年度から2.6ポイント減少している。今後も税収等の大幅な増加は見込めない一方で、公共施設の更新や維持管理などの費用が増えることは明らかであり、持続可能な行政経営のためには、資産の多くを占める公共施設の再編や統廃合の検討も必要である。⑤将来世代負担比率は、前年度から2.7ポイント増加し、16.4%となったが、類似団体平均を2.1ポイント下回っている。今後も、道路や学校施設の長寿命化など大規模な投資事業を控えており、補助金や基金を活用しながら、世代間の負担のバランスが取れた地方債の発行に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

⑥住民一人当たり行政コストは、前年度より0.7万円増加したが、類似団体平均を7.5万円下回っている。高齢化などによる社会保障給付や特別会計への繰出金に加え、会計年度任用職員制度の導入による人件費、減価償却費を含む物件費なども増加傾向にあり、また、新庁舎や小野希望の丘整備陸上競技場、堀井城ふれあい公園などの完成により、維持管理費も増加が見込まれる。人員配置の適正化や予防医療施策等により義務的経費を抑制するとともに、コスト増に見合う受益者負担を求めることが必要である。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

⑦住民一人当たり負債額は、新庁舎建設等の投資事業による地方債の増に伴い前年度より6.4万円増加したが、類似団体平均を8.0万円下回っている。今後も、道路や学校施設の長寿命化など大規模な投資事業により地方債の増加が見込まれるため、市債残高や償還額を考慮し、計画的に投資を進める⑧基礎的財政収支は、投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を上回ったため、4,648百万円となっており、類似団体平均を大きく下回っている。経常的な支出は、税収等の収入で賄えているが、地方債を発行して新庁舎建設や小野希望の丘陸上競技場などの大規模な投資事業を行ったため、投資活動収支が5,819百万円となったのが主な原因である。国県等補助金収入などの財源を確保するとともに、中長期的な視点からバランスの取れた予算編成に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

⑨受益者負担比率は、前年度より0.6ポイント減少したものの、類似団体平均を0.6ポイント上回っている。前年度より減少した理由としては、物件費等の経常費用が増加したことと、施設の改修による休業により使用料収入が減少したことによる。公共施設等の使用料については、維持管理費だけでなく減価償却費も含めた費用により見直し・改定を行い、受益者負担の適正化に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,