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地方財政ダッシュボード

栃木県大田原市の財政状況(2020年度)

🏠大田原市

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 特定環境保全公共下水道 農業集落排水 特定地域生活排水処理


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

平成20年度の0.77をピークに低下し、平成23年度以降は横這い状態が続いている。依然として増加傾向が続く社会保障経費や市債の償還に伴う需要額の高止まりにより、前年度から0.01ポイント増の0.65となったが、引き続き類似団体内平均及び県内平均を下回っている。市税等収納率の向上や市有財産の有効活用、広告事業等による税外収入など、歳入確保対策に積極的に取り組むとともに、新たな定員適正化計画に基づく定員管理(令和3年度から令和7年度の5年間で職員数を4.4%減)、市有施設の統廃合や指定管理者の導入など歳出削減対策に引き続き取り組み財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

経常経費について歳出では下水道事業会計が公営企業会計に移行したことにより繰出金が大幅な減額となり、歳入では地方消費税交付金が大幅に増額となったことから、経常収支比率は前年度比1.5ポイント減の96.4%となった。しかしながら、依然として類似団体内平均及び県内平均を大きく上回り財政の硬直化が進んでいることから、市税等収納率の向上などの経常的な収入の確保に取り組むとともに、新たな定員適正化計画に基づく定員管理(令和3年度から令和7年度の5年間で職員数を4.4%減)、市単独補助金の適正化、市有施設の統廃合など経常的な支出の削減に引き続き取り組み財政の健全化を図る。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口1人当たりの人件費・物件費等の決算額は類似団体平均、全国平均は下回っているものの、県内平均を大きく上回っている。主な要因としては、ごみ処理業務や消防業務に係る一部事務組合の人件費・物件費に充てられる負担金が多いことがあげられる。人件費については、新たな定員適正化計画に基づく定員管理(令和3年度から令和7年度の5年間で職員数を4.4%減)等による抑制、物件費については、公共施設等総合管理計画に基づく施設の適正配置等による管理費の削減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は、職員構成の変動により前年度比0.01ポイント増の99.4となった。本市は、職員の年齢構成にバラつきがあることや短大卒及び高校卒のラスパイレス指数が高い水準にあるため、依然として類似団体平均等を上回っている。今後は、引き続き、定員適正化計画に基づく定員管理を図るとともに、人事評価等の適正な運用に基づく給与査定、各種手当の見直しなどにより、給与の適正化を図る。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

令和2年度は、前年度比0.06人減の7.08人となり、類似団体平均、全国平均を下回る職員数となっているが、県内平均を上回っている。今後も、新たな定員適正化計画に基づく定員管理(令和3年度から令和7年度の5年間で職員数を4.4%減)、により職員数を抑制するとともに、事務事業のさらなる見直し、ICTの活用や民間委託の推進などにより、行政サービスの向上にも努める。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は、下水道事業会計が公営企業会計(法適用)に移行したことにより、公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還の財源に充てたと認められる繰入金が大幅に減少したため、前年度比0.7ポイント減の6.4%となった。減少傾向ではあるものの、依然として県内平均を上回っているため、引き続き適切な事業実施による事業費の抑制とそれに伴う地方債の発行及び基金等の取崩しの抑制を図り、比率の急激な上昇を抑える。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率は、平成22年度借入合併特例債の償還終了に伴う公債費に係る基準財政需要額算入見込額が大幅に減少したため、将来負担額が大きく増加したことにより前年度比1.2ポイント増の64.9%となった。類似団体平均及び県内平均を大きく上回っており、今後は投資的事業の計画的な実施による地方債発行の抑制に取り組むとともに、財政調整基金などの充当可能基金への積立など、充当可能財源の増加を図り、財政の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

過去5年間の人件費は23%前後で推移しており、令和2年度は、会計年度任用職員制度の開始により、前年度比0.6ポイント増の24.4%となった。県内平均、全国平均、類似団体内平均を下回っており、今後についても、新たな定員適正化計画に基づく定員管理(令和3年度から令和7年度の5年間で職員数を4.4%減)、時間外勤務の抑制による手当の削減(令和2年度まで毎年度前年比2%の削減)、人事評価に基づく給与査定、民間委託の推進などを継続して実施し、人件費の削減に努める。

物件費の分析欄

物件費に係る経常収支比率は、令和2年度は、会計年度任用職員制度の開始により、前年度比0.5ポイント減の15.0%となり、類似団体内平均及び県内平均を下回っている。近年、市有施設における民間委託や指定管理者制度の導入による職員人件費から委託料へのシフトなど、物件費が増加傾向にあるため、施設の適正配置などにより管理費の削減を図るなど、物件費の更なる抑制に努める。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は社会保障費が増加傾向であることから増加をつづけていたが、令和2年度は特定財源が増加したことにより、前年度から0.5ポイント減の10.8%となった。昨年に引続き類似団体平均を上回っており、今後も社会保障費の更なる増加が予想されるため、引続き社会情勢などの変化に順応した住民サービスを実施する一方、資格審査等の適正化や、市単独事業の見直しなど扶助費総額の抑制に努める。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は下水道事業会計が公営企業会計に移行したことにより繰出金が大幅な減額となり、前年度比4.0ポイント減の11.6%となったが、依然として類似団体内平均及び県内平均を上回っている。その要因として、介護保険特別会計や国民健康保険事業費特別会計、後期高齢者医療特別会計などへの繰出金が高い水準での推移していることが挙げられる。特別会計において、適正な収入の確保や経費の節減をおこない本来の独立採算の原則に沿った運営を行うことで繰出金の抑制を図るとともに安定した事業実施に努める。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、下水道事業会計が公営企業会計に移行したことにより繰出金が減少し、補助金が増加したため、前年度比3.1ポイント増の16.8%となった。類似団体内平均及び県内平均を上回っており、その主な要因として、一部事務組合への負担金、市の出資する法人や各種団体への補助金が多額であることが挙げられる。今後、市単独補助金について、公益性や必要性、費用対効果などの観点から検証し、適正化を図るとともに、より一層の削減に努める。

公債費の分析欄

令和2年度は前年度比0.2ポイント減の17.8%であったが、合併後に実施した事業等に伴う合併特例債などの影響により、類似団体内平均及び県内平均を大きく上回っている。今後も、令和元年度まで実施した庁舎復興再整備事業や令和3年度まで実施予定の大田原中学校校舎改築事業など大規模事業に伴う地方債償還が予定されており、高い水準で推移が予想されるため、事業の優先度、緊急度などを精査し地方債の発行額を最小限に抑え、公債費の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は、前年度比1.3ポイント減の78.6%であり、類似団体平均、全国平均及び県平均を上回っている。その要因としては、扶助費、補助金等及びその他の経費が他団体に比べ高いことが挙げられる。扶助費については、資格審査の適正化や市単独事業の見直し、補助費等については、市単独補助金の適正化、その他については、繰出金の抑制を図り、より一層の経常経費の削減に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

歳出決算総額は住民一人当たり625,804円となっており、前年度比170,711円の増となっている。増額の大きな要因としては、総務費の大幅な増額であり、令和2年度に行った特別定額給付金給付事業による影響が大きくなっている。増加の大きい項目としては、歳出総額の約4割を占める民生費及び教育費が挙げられる。民生費は前年度比12,128円増の住民一人当たり167,480円となっており、類似団体平均や県内平均を上回っている。教育費は、前年度比11,023円増の住民一人当たり79,676円となっており、類似団体平均等を上回っている。増加の要因としては、大田原中学校校舎増改築事業費の増が挙げられ、類似団体平均等を上回っている要因としては、給食費の無償化や学習指導員の配置等が挙げられる。今後の校舎等の改修事業については、令和2年度に策定した公共施設等個別施設計画に基づき実施し、投資的経費の平準化を図る。また、他の項目として、衛生費や商工費が増加しており、衛生費は前年度比30,737円増の住民一人当たり59,464円となっており、その要因としては、広域クリーンセンター事業や最終処分場整備事業に伴う一部事務組合併への負担金が増加したことが挙げられる。商工費は前年度比13,690円増の住民一人当たり28,131円となっており、その要因としては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業として行ったおおたわら応援チケット事業が挙げられる。大きな割合を占めている民生費は子育て支援や障害者、高齢者などの支援に係る扶助費の増加傾向と比例して今後も増加が続くと予想されるため、資格審査等の適正化や、市単独事業の見直しなど扶助費総額の抑制に努めていく。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は住民一人当たり625,804円となっており、前年度比170,711円の増となっている。増額の大きな要因としては、補助費等の大幅な増額であり、令和2年度に行った特別定額給付金給付事業による影響が大きくなっている。その他増加の大きい項目としては、普通建設事業費が挙げられる。普通建設事業費については前年度比17,311円増の住民一人当たり62,446円となっているが、類似団体平均及び県内平均を下回っている。増加の要因としては大田原中学校校舎改築事業など大規模事業を行ったことや、防災情報伝達システム整備事業を行ったことが要因として挙げられる。今後は、大田原中学校校舎改築事業など大規模な建設事業のピークが過ぎたことにより、普通建設事業費は減少となる見込みとなっているが、事業の優先度や緊急度を勘案し計画的に事業を実施していく。また、扶助費については引続き増額となっており、前年度比7,889円増の住民一人当たり103,811円となっており、依然として類似団体平均及び県内平均を大きく上回り、増加傾向となっている。高い水準となっている要因としては子育て支援や障害者、高齢者などの支援に係る経費の増大が挙げられる。今後も扶助費の増加が見込まれるが、引き続き社会情勢などの変化に順応した住民サービスを実施する一方、資格審査等の適正化や、市単独事業の見直しなど扶助費総額の抑制に努めていく。また、繰出金については、35,886円となっており、前年度比11,038円の減となっている。減額の大きな要因としては、下水道事業会計が公営企業会計に移行したことにより減額となっている。人件費については、住民一人当たり70,476円となっており、類似団体内平均と全国平均を下回っている。今後も定員適正化計画に基づく定員管理や指定管理者制度の活用などにより更なる人件費削減に努めていく。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

令和2年度は、実質収支は黒字で安定的に推移しており、2年連続赤字が続いていた実質単年度収支についても黒字となった。令和3年度以降は大型事業が減少する見込みとなっているが、依然として厳しい財政運営が予想されるため、歳入確保に積極的に取り組むとともに、事務事業の見直しや計画的な建設事業の実施などにより財源不足を圧縮できるよう健全な行財政運営に努めていく。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

令和2年度においても、全ての会計で黒字となっており、今後も歳入歳出予算の適切な執行に努め、一層の財政健全化を図っていく。一般会計においては、令和2年度決算は、歳入、歳出ともに前年度に比べ増加し、歳入の増加額が歳出の増加額を上回ったため、黒字額が増加した。歳入の主な増加項目としては、地方交付税、国庫支出金の増加が挙げられ、歳出の主な増加要因としては、特別定額給付金給付事業による増加が挙げられる。国民健康保険事業費特別会計においては、保険給付費等の減少などにより黒字額が増加している。介護保険特別会計においては、県支出金や繰入金等の歳入の増加などにより黒字額が増加している。下水道事業特別会計及び農業集落排水事業特別会計は、令和2年4月1日から公営企業会計に移行している。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

前年度と比べ実質公債費比率の分子のうちプラス項目である元利償還金は減少し、一部事務組合の元利償還金に対する負担金が大きく増加している。マイナス項目である普通交付税における算入公債費等の額については減少となっており、トータルで大きな減少となった。本市が負担する公債費は減少傾向となっているが、今後も引き続き、地方債発行の抑制を図り、実質公債費比率の改善に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

将来負担比率における分子のうちプラス項目である将来負担額は、令和2年度がピークとなった大田原中学校校舎増改築事業などの建設事業により、地方債の現在高が大きく増加したため増加となり、マイナス項目である充当可能財源等が減少したことから、分子合計では増となった。今後は大規模建設事業が減少する見込みとなっているが、事業の計画的な実施や見直しを進めるとともに、財政調整基金等の充当可能基金への積立により財源の確保を図り、財政の健全化及び後世代への負担軽減に努める。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)財政調整基金については、合併算定替の縮減による普通交付税の減額などによる財源不足を補うため取崩しを行っていたが、令和2年度は積立額と取崩額が同額だったため、横ばいとなっている。また、減債基金については、平成29年度に財源不足を補うため償還に係る財源として取崩しを行ったことにより残高が減少し、12百万円となった。平成30年度から令和2年度は取崩しも積立も行わなかったため増減はない。その他特定目的基金については、大田原中学校校舎増改築事業を実施するにあたり公共施設整備等基金の取崩しを行ったことなどにより減少している。(今後の方針)歳入における合併算定替の縮減による普通交付税の減額や歳出における大田原中学校校舎増改築事業などの大型事業、少子高齢化の進行による社会保障費の増加や、公共施設の老朽化対策など経常経費の増大により財源不足が見込まれ、財政調整基金や各特定目的基金の取崩しにより対応せざるを得ない状況が予想されるが、事務事業や補助金等の見直しなどにより財源不足を圧縮し、可能な限り収支均衡を図ることで財政調整基金及び特定目的基金からの取崩しを抑制し残高を維持していく。

財政調整基金

(増減理由)近年、合併算定替の縮減による普通交付税の減額などによる財源不足を補うため取崩しを行っており、積立額を取崩額が上回る状況が続いているため残高が減少していたが、令和2年度は積立額と取崩額が同額だったため、横ばいとなっている。(今後の方針)事務事業や補助金等の見直しなどにより財源不足を圧縮し、可能な限り収支均衡を図ることで財政調整基金の年度末残高10億円以上を目標に年度間の財政調整機能の維持に努める。

減債基金

(増減理由)合併算定替の縮減による普通交付税の減額や大規模事業の実施などによる財源不足を補うため、平成29年度に償還に係る財源として取崩しを行ったため減少したが、平成30年度から令和2年度は取崩しも積立も行わなかったため増減はない。(今後の方針)今後、公債費については緩やかに減少していく見込みであり、償還等の財源として減債基金の積み立てを行う財政計画は無いが、将来的に大規模な事業を実施することとなった場合などを想定し市債の適正な管理を行うことができるよう、収支の状況等を見ながら積立を検討していく。

その他特定目的基金

(基金の使途)積立額が多い上位5つの基金・スクラム基金・・・高齢者等の保健福祉の増進と地域福祉の向上に資する事業に要する経費・公共施設整備等基金・・・公共施設の整備等に要する経費・合併振興基金・・・市民の連帯の強化及び地域の振興に要する経費・奨学基金・・・奨学資金の貸与に関する事務の円滑かつ効率的な実施に要する経費・あすなろ基金・・・児童生徒の表彰と青少年の国内外の交流に関する事業に要する経費(増減理由)各特定目的基金は、設置目的に応じた事業の実施に係る財源として取崩しを行っており、全体的に減少が続いている。中でも、合併振興基金は地域の振興に係る事業として各地域で行われている祭りの開催費などに係る財源として取崩しを行っており減少している。公共施設整備等基金は、平成29年度から平成30年度まで実施した庁舎復興再整備事業及び令和元年度から実施している大田原中学校校舎増改築事業の実施に伴い取崩しを行っており減少している。スクラム基金は高齢者等の保健福祉に係る事業の財源として取崩しを行っており減少している。(今後の方針)公共施設整備等基金については、令和3年度まで予定している大田原中学校校舎増改築事業に係る財源として取崩しを行う予定であるが、今後予想される公共施設の老朽化に伴う財政需要等に対応するため、収支の状況等に応じ、積立を検討していく。その他の特定目的金についても、設置目的に関連した事業の実施に係る財源として取崩しを行うことが見込まれるが、収支の状況等に応じ積立てを行い、基金残高の維持に努めていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の有形固定資産減価償却率は、全体としては平均を下回って推移しているが、更新を行った比較的新しい施設と老朽化が進んでいる施設の両極端となっていることから、公共施設等総合管理計画及び個別施設計画に基づき、適正な管理や更新、統廃合等を進めていくことが重要である。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は、令和元年度に比べ減少したものの、全国、栃木県平均を上回り、高い水準となっていることから、事業の計画的な実施等により、地方債の発行額の抑制に取り組む必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和2年度の将来負担比率は、交付税算入見込額が減少したことなどにより、令和元年度に比べ比率が上昇した。類似団体内平均値を大きく上回っており、将来に負担する債務が多い状況である。有形固定資産減価償却率は、類似団体に比べて低いものの、老朽化が進んでいる施設も多くあるため、公共施設等個別施設計画等に基づき適正な管理や更新、統廃合等を進めながら、今後の公共施設の老朽化対策に備えた財政健全化に引続き注力する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は令和元年度に比べ減少したが、将来負担比率は上昇傾向にあり、類似団体内平均値を大きく上回っている。普通交付税措置率の高い地方債の発行等、将来負担の軽減に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

認定こども園・幼稚園・保育園の有形固定資産減価償却率は、保育園の一部民営化を行ったこともあり、平均を下回って推移しております。ただし、一人当たり面積が平均を下回っていることから、少子化や子育てニーズを踏まえた整備等を進めているところである。学校施設の有形固定資産減価償却率は、大規模改修や建替え、少子化に伴う統廃合等により老朽化した校舎の廃止等を進めたことから、類似団体・全国平均より低くなっている。しかし、依然として老朽化による改修が必要な学校施設も多く、引き続き計画的な長寿命化や統廃合を進めているところです。また、学校施設一人当たり面積は、統廃合を行っているが、地域事情による統合の限界や、少子化、過疎化等の進行もありほぼ横ばいで推移している。公営住宅は、昭和期に建築された施設が多く老朽化が激しいため、政策空き家として廃止を行い取壊しを含め総量の適正化を段階的に進めているところである。公民館も全体的に老朽化が進んでいることから、地区によっては今後の人口変動により施設の更新や統廃合等を含めた適正化を進める必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館の有形固定資産減価償却率は、平成25年に市内複合施設内に整備、移転した図書館があるため、類似団体・全国平均と比べ低く推移している。一般廃棄物処理施設の有形固定資産減価償却率は、平均を大きく上回っており、施設の更新や適正化を踏まえた対応が急務である。また、一人当たりの有形固定資産額も非常に高いことから、広域連携等による施設の適正化についても検討する必要がある。体育館・プールの有形固定資産減価償却率は、平均を大きく上回って推移してることから廃止を含めた改修等を早急に進める必要がある。また、一人当たり面積についても平均を上回っているため、近隣公共団体との連携も視野に入れ、施設総量の適正化を検討する必要がある。保健センター・保健所の有形固定資産減価償却率は、平均を大きく上回って推移しており、特に機械設備等の老朽化が顕著に進んでいることから廃止を含めた検討が急務である。ただし、一人当たりの面積については平均に比べ低いことから、施設の複合化など目的に合った施設規模による適正化も検討していく必要がある。福祉施設の一人当たり面積は平均より低く、今後、高齢化の進行等により利用者の増加が見込まれることから、複合化による施設面積の確保や適正化を図る必要がある。庁舎については、新庁舎建設に伴い有形固定資産減価償却率は平均を大きく下回っているが、支所・出張所を含め計画的に修繕を行っていく必要がある。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が令和元年度(142,096百万円)から219百万円減少し、141,877百万円となった。金額の変動が大きいものは建物減価償却累計額の増加による有形固定資産の減少及び流動資産の現金預金の増加である。なお、資産総額の内、有形固定資産の割合が94.3%となっており、これらの資産は、将来の支出(維持管理、更新など)を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化等を進めるなど、公共施設の適正管理に努める必要がある。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、純経常行政コストのうち、経常費用は令和元年度から1,376百万円増加の(+4.6%)31,163百万円となった。そのうち、移転費用が2,280百万円増加し、内訳は補助金等が3,051百万円増加(+44.2%)の9,939百万円となっている。要因としては最終処分場整備事業費等の負担金等が増加したことによるものである。物件費等の業務費用は904百万円減少の14,538百万円となったものの、市単独事業の見直しや公共施設の適正管理等を進め、経費の削減に努める必要がある。純行政コストは9,146百万円増加し、38,257百万円となった。増加の主な要因は、新型コロナウイルス感染症関連経費(8,092百万円)である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、財源(税収等21,959百万円、国県補助金等15,639百万円)が、純行政コスト(38,257百万円)を下回ったことから、純資産残高は530百万円減少の104,194百万円となった。令和元年度に比べ本年度差額は縮小したものの、純資産残高は減少傾向にあり、行政コストの削減に努める必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等において、業務活動収支は、税収等収入が増加したことを要因に、業務収入が業務支出を上回り、令和元年度に比べ737百万円増加の1,969百万円となった。投資活動収支については、投資活動支出が、中学校増改築事業により令和元年度から1,945百万円増加の4,982百万円となり、投資活動収入を上回ったことから△1,878百万円となった。財政活動収支については、地方債発行額が地方債償還支出を上回ったことから、342百万円の増加となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額は類似団体平均値と比べ32.3万円高く、歳入額対資産比率についても0.5年高い水準にある。資産の維持管理コストが必要となることから、資産規模の適正化に努める必要がある。有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているが、老朽化した施設も多いため、公共施設等総合管理計画に基づき適正な管理を実施する必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、令和元年度と比較して、0.3%減少した。数か年の傾向を見ると、ほぼ横ばいで推移している。将来世代負担比率については、類似団体平均値を7.7%下回っている。引続き計画的な地方債の発行を行う等、将来世代の負担減少に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たりの行政コストについては、令和元年度に比べ13.2万円増加した。要因として、負担金等の増加による業務費用の増加や新型コロナウイルス感染症関連経費による臨時損失が増加したことが考えられる。事業の見直しによる経常費用を抑制し、経常収益の増加を図る必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は令和元年度に比べ0.8万円増加しているものの、類似団体平均値を下回っている。今後も将来負担軽減のため、適切な地方債の発行に努める。基礎的財政収支は投資活動収支が、業務活動収支を下回ったため34百万円となっている。中学校増改築事業により投資活動収支は増加したものの、臨時収入(新型コロナウイルス感染症関連)が増加したためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均値を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。施設利用料等における受益者負担の適正化を図るとともに、事業に見直しなどにより経常費用の抑制に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,