経営の健全性・効率性について
料金収入や一般会計からの繰入金等の収益で、施設の維持管理費や地方債償還金をどの程度賄えるかを表す指標である①収益的収支比率は100%を下回っており、赤字の状態と言えます。規模が小さく、費用対効果が低い事業であり、経営改善の策は限られています。④企業債残高対事業規模比率は平均値より低く、減少傾向にあります。しかしながら今後、施設の更新が必要となるため、楽観はできません。使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているかを表す指標である⑤経費回収率については、類似団体平均値と概ね同水準で50%程度の低い数値となっています。これ以上の汚水処理費のカットは難しく、また新たな有収水量の確保は難しいことから、その対策は使用料体系の見直しと収納率の向上に限定されます。有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用である⑥汚水処理原価については類似団体平均値と比べると若干低いですが、使用料単価は150円/㎥程度であり、適正とは言えません。汚水処理費の削減、有収水量の確保といった取組に限度があり、全国平均も非常に高い点において、この事業が抱えてしまう性質といえます。施設の処理能力に対する平均処理水量の割合を示す⑦施設利用率、処理区域内人口のうち、水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を示す⑧水洗化率は共に類似団体平均値と比較すると高くなっています。事業は既に完了していますので、今後も未接続世帯に対して働きかけを行っていくことが必要です。
老朽化の状況について
漁業集落排水事業は平成6年に供用を開始して、20年以上経過しています。下水道の管渠等の標準耐用年数は概ね50年とされていますので、老朽化に対する対策は現段階では講じていません。今後10年間で管渠の塩害や硫化水素による腐食等も予想されますので、機能診断調査及び機能保全計画を策定し、長寿命化等の対策を行っていくこととしています。
全体総括
1で指摘したように、日出町の漁業集落排水事業は既に施設整備が完了し、管渠の拡張の予定がないため、また事業規模がもともと小さいものであるため、経営状況の改善のための取組みは、ほとんど使用料の収納対策と使用料体系の見直しに限られてきます。まず収納対策については、訪問徴収等を定期的に行い、徴収業務を委託している上水道と協力しながら収納率の向上を図ります。次に使用料体系の見直しについては、他団体の動向も踏まえ、ふさわしい価格設定を検討していきます。しかしながら、事業の健全化を考えたとき、これらの対策だけでは十分ではありません。生活排水処理における日出町全体の課題として、より良いあり方を多角的に考えていきます。