経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超え、②累積欠損金比率0%であるがいずれも一般会計繰入金によるものである。④企業債残高対事業規模比率についても0%であるが、これは企業債償還に対する資金の全部を一般会計において負担することとしているためである。③流動比率については平均を下回ってはいるが、未払金については現年度において、企業債償還金については翌年度において見込まれる財源があるため支払能力に問題はないと考える。接続率の上昇は前年度と同程度であるにも関わらず⑤経費回収率が前年度比28.16ポイント増となり、⑥汚水処理原価は10分の1程度に減少している。その要因は三本松浄化センターの処理場経費を公共の有収水量と特環川東地区の有収水量の割合で按分したためである。川東地区は公共下水道事業の三本松浄化センターで汚水処理を行っており、令和元年度から有収水量割合で費用按分をすることとした。また、処理場動力費の契約先を入札で選定することにより費用削減にも努めた。供用開始から間もない事業であり、使用料収入の増加に時間を要するため引き続き経費削減を意識した経営が求められる。⑦施設利用率については、接続率が前年度比増であるにも関わらず若干減少している。これは、先に述べた費用按分と同じく、処理水量を特環と按分したためである。それでも事業計画区域の管渠整備が未完了であることと、供用開始から間もなく接続率が低いことから低推移であることに変わりはない。⑧水洗化率については、供用開始面積の拡大と接続件数の増加により8.37ポイント上昇しているが、今後も補助制度を周知して普及促進に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
汚水処理事業の供用開始は平成30年度であるが、幹線等の整備は平成11年から実施している。また、雨水管渠については昭和56年から供用開始しているため、資産全体では22%程度の償却率となっている。令和12年度までは汚水管の整備事業が続く予定であるが、雨水管においてはマンホール鉄蓋の劣化による取替修繕が必要な状況であり、汚水管の布設に併せて効率的に雨水管の修繕を行っていく計画である。将来的な更新に備えたストックマネジメント計画を策定し、経営戦略の投資・財政計画と併せて費用と財源を見越した更新計画を持つことが必要である。
全体総括
公共下水道事業は平成30年4月1日の供用開始と同時に公営企業会計での事業が開始した。管渠整備事業が令和12年度まで予定されており、汚水部分は新規投資中の事業であるが、今後も管渠整備の事業計画に併せて雨水管の修繕をすることで業務の効率化と費用の削減を図っていく。今後、令和12年度の整備完了予定まで供用開始区域の拡大が行われ、接続率の増加及び使用料の確保が段階的に見込まれる事業であるため、現状の経費回収率が低く汚水処理原価が高い状況は当面続くと見込まれる。令和2年度策定の経営戦略(令和2年度-令和11年度)に基づいて、経営指針の検討や投資・財政計画の見直しなど計画的な企業経営を進める。また、県の進める広域化・共同化計画についても積極的に参画して将来的な検討を図る。