地域において担っている役割
当院がある安芸灘島しょ部地域は,呉市で最も高齢化が進んでおり,また,市街地の総合病院に行くには有料道路を通って十数キロ行く必要があるなど,交通も不便で,民間の医療機関も徐々に無くなっている地域である。このような状況下で,当院は,総合診療的に患者を受け入れ,急性期後の在宅復帰に向けた医療や救急医療を提供している。地域のかかりつけ医としての役割を担い,他の医療機関等と連携し,適切な医療につなげるなど,住民の生活を支えている。
経営の健全性・効率性について
医業収支比率,累積欠損金比率及び病床利用率は,まだ類似病院平均値よりもよい数値だが,入院収益の悪化により経常収支比率が下がっており,収益の増大を図る必要がある。回復機能病床であることや高齢者の慢性疾患の治療が多いことから,1人1日当たり収益の大幅な増は見込めないため,医師の確保等で病床利用率の向上を図ることで,収益の増大を目指すことが重要と考える。医業収益が下がったことで,職員給与費対医業収益比率が悪化している。材料費対医業収益比率は,平均を下回っており,医薬品等は適切に管理できていると考える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率は,ともに昨年度の数値を下回ったが,類似病院平均値を上回っており,老朽化した機器等の計画的な更新が求められている。
全体総括
老朽機器等の更新や施設の修繕等,必要経費の増が考えられるが,収益の減少が続いており,経営状況は厳しい。収益改善の要である入院収益の増には,常勤医師の確保が必要であるため,困難ではあるが,引き続き努力し,安芸灘島しょ部地域の医療を支えていく。