地域において担っている役割
急性期医療を担う尾張東部医療圏唯一の公立病院として、地域医療計画で位置付けられている5疾病5事業(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患と救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)に係る医療並びに結核及び感染症といった政策的かつ採算性の面で民間では運営困難な医療を提供している。また、地域医療支援病院、臨床研修病院として地域医療を支える人材の育成を図るなど地域住民の命と安全安心を守る役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②医業収支比率は、7対1看護配置確立のための人員増を行い25年度に悪化し26年度以降は西棟(病棟)建設に係わる建物及び医療機器の購入により減価償却費が24年度時点に比べほぼ倍増したことが主因となっている。また、28年度に発生したCREの院内感染に対応した入院制限による収入減(これは④病床利用率の低下にも表れている)が、①経常収支比率、②医業収支比率悪化に拍車をかけることとなった。⑤入院患者1人1日当たり収益は平均値を下回る状況が続くと共に伸び率も鈍化しており、⑥外来患者も伸び率は同様の状況となっている。また、⑧材料費対医業収益比率についても平均値よりも2ポイント以上高い状況が継続している。②改善のためには材料調達価格及び収益状況の更なる精査を行う必要があり、これらの指標は当院の効率性の向上が病院全体で取り組むべき喫緊の課題であることを示している。
老朽化の状況について
28年度において、①有形固定資産及び②機械備品減価償却率が平均値を超えており、病棟や放射線検査機器等の老朽化が進んでいると言わざるを得ない状況である。しかしながら、29年度には新棟(東棟)が竣工し、機械備品も大幅に更新されたところである。一方、これまでは累積欠損金は発生していないが、中長期的に見ると、増大する企業債に係る償還金及び支払利息が、病院経営に多大な影響を及ぼすことは必至であり、安定的な資金繰りに裏付けされた財政計画の策定とその確実な実施が今後、さらに重要度が増すものと考えている。
全体総括
28年度に策定した当院の新改革プランにおける収支計画は、28年度決算値では収益等において予測値を下回っている。また、新病棟の本格稼働に合わせて、実態をより反映し、かつ上述したよう同時に材料調達等の支出面の見直し、収益効率の検証等を行う必要がある。