地域において担っている役割
当院が地域において担っている役割として、救急医療では、2次医療圏で唯一の救命救急センターとして地域の重篤な救急患者の受入れを行っています。がん医療では、2次医療圏で唯一の国指定「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」として質の高いがん医療の提供を行っています。周産期医療では、「地域周産期母子医療センター」としてNICUを整え、充実した小児・周産期医療を提供しています。
経営の健全性・効率性について
救命救急センターでの高度な救急医療を提供したことなどにより、入院・外来患者1人1日当たり収益がそれぞれ前年度を上回りました。医業収支比率は前年度に比べ0.9ポイント下回り、経常収支比率も前年度に比べ1.1ポイント下回ったものの、類似病院より高い状態を維持しています。病床利用率は、平均在院日数の短縮に伴い前年度に比べ5.3%下回り、類似病院より低くなっており、効率的な病床運営に努めます。累積欠損金比率は前年度に比べ2.5ポイント改善したものの、依然として類似病院より高いため、引き続き収支の改善に努めます。職員給与費対医業収益比率は前年度を下回りましたが、依然として類似病院より高い状態です。常勤医の増加による診療体制の確保に伴うものであり、更なる収益の確保により、引き続き改善に努めます。材料費対医業収益比率は、高額な抗がん剤などの使用増により、前年度に比べ1.7ポイント上回ったものの、類似病院よりも低い状態が続いています。引き続き安価な調達に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率とも、類似病院より高くなっており、平成7年の開院から25年を経過し、老朽化に伴う施設・設備の更新の必要性が高まっていることを示しています。今後は、施設・設備の修繕計画を策定し、医療の質を確保するとともに、計画的な投資により、施設・設備の長寿命化を図っていきます。
全体総括
令和元年度は、救命救急センターでの高度な救急医療を提供したことなどにより、一人一日あたりの診療単価が伸び、前年度を上回る収益を計上しました。その結果、経常収支差引では収益が費用を上回り、3年連続で経常収支の黒字となりました。しかし、老朽化した施設・設備の維持管理や修繕費用の増加、診療体制の充実に伴う給与費の増加、高額な抗がん剤をはじめとする薬品費の増加など、今後も非常に厳しい経営状況が予想されます。「質が高く、安心・安全な医療を継続して提供する急性期病院」を目指して、充実した診療体制を維持しつつ、経費削減など、より一層の収益確保に努め、各指標の改善を図ります。