地域において担っている役割
当院が地域において担っている役割として、救急医療では、2次医療圏で唯一の救命救急センターとして地域の重篤な救急患者の受入れを行っています。がん医療では、2次医療圏で唯一の国指定「地域がん診療連携拠点病院」として質の高いがん医療の提供を行っています。周産期医療では、「地域周産期母子医療センター」としてNICUを整え、充実した小児・周産期医療を提供しています。
経営の健全性・効率性について
平成29年度は救命救急センターの指定等により、診療収益や一般会計からの負担金が増加したことで、入院・外来患者1人1日当たり収益がそれぞれ前年度を上回り、医業収支比率が前年度に比べ3.6ポイント改善し、経常収支比率も前年度に比べ4.3ポイント改善しました。病床利用率は、前年度に引き続き、類似病院より高くなっており、効率的な病床運営が行われています。累積欠損金比率は前年度に比べ9.8ポイント改善したものの、依然として類似病院より高いため、引き続き収支の改善に努めます。職員給与費対医業収益比率は前年度を下回りましたが、依然として類似病院より高い状態です。安定した診療体制維持に伴う応援医師の増加による影響があります。材料費対医業収益比率は類似病院よりも低い状態が続いています。引き続き安価な調達に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率とも、類似病院より高くなっており、平成7年の開院から22年を経過し、老朽化に伴う施設・設備の更新の必要性が高まっていることを示しています。引き続き、限られた予算ではありますが、計画的な投資を行い、医療の質を確保するとともに、施設・設備の長寿命化を図っていきます。
全体総括
平成29年度は救急救命センターに指定され、救急患者に対して高度な医療を提供したことや地域がん診療拠点病院として治療効果の高い抗がん剤による化学療法が積極的に行われたことなどにより、一人一日あたりの診療単価が伸び、前年度を上回る収益を計上しました。その結果、経常収支差引では収益が費用を上回り、2年ぶりに経常収支の黒字となりました。しかし、老朽化した施設・設備の維持管理や修繕費用の増加、診療体制維持に伴う応援医師にかかる費用の増加など、今後も非常に厳しい経営状況が予想されます。「質が高く、安心・安全な医療を継続して提供する急性期病院」を目指して、医師確保や経費削減など、より一層の収益確保に努め、各指標の改善を図ります。