地域において担っている役割
当院は、富士保健医療圏で最大の総合病院であり、またICU・NICUを有するなど高度急性期医療を担うほか、結核、感染症、救急、精神医療等の不採算部門を背負うなど地域の中核病院として、住民の生命を持続的に守ることで、安心・安全な社会づくりの一翼を担っている。また、地域がん診療病院として、専門的ながん医療の提供、相談支援や情報提供などの役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成28年度以後、医業収支比率の下落傾向が続いている。これは主に、入院単価の増に伴う入院収益の増に対し、施設基準の新規取得等のため職員を増員したことにより給与費等の支出を押し上げたことによるものである。また経年変化において、病床利用率の下落率が大きく、職員給与費対医業収益比率が上昇傾向にあることから、職員配置に見合う収益化が得られていないと分析できる。このため、施設基準の取得や病病・病診連携による患者数の増により増収を図ると共に、職員数の適正化を図っていく必要がある。また、平成30年度から令和元年度にかけて材料費対医業収益比率は類似病院平均値も上昇していることから全国的な材料費の高騰が生じていることが見込まれるが、当院の数値は平均値以上の上昇率であるため、使用量の適正化と価格競争の促進により材料費の縮減に努めたい。
老朽化の状況について
現病院は開設から34年が経過しているため、有形固定資産減価償却率が70%前後と平均値より相当に高く、類似病院に比べて老朽化が進んでいることを示している。しかしながら、当院は類似病院に比べて他会計繰入金を豊富に繰り入れた上で経常収益比率100%を下回ることが多い病院であるため、限られた予算の中でより効率的・計画的に施設、設備の更新を図っていく。器械備品減価償却率は、電子カルテの償却状況に応じて大きく変動しているが、こちらも類似病院より老朽化の傾向があるため、備品購入時において価格競争が促されるような機種選定をするなど効率的な予算執行を図っていく。
全体総括
当院の施設老朽化は著しく、今後は新病院建設や施設延命化措置など多額な投資をしていく必要性が見込まれる。これらを実施するためにも、増収対策や資源活用の効率化が必須であり、他病院とのベンチマークデータや経営支援業者なども活用しながら経営改善を図っていく。同時に地域医療支援病院として、令和元年度は一般病床を持つ市内9病院による「富士市病院相互連携会議」を設置し、病病連携の強化に取り組んだ。今後も地域完結型医療体制構築の更なる推進を図るとともに、より一層の経営の効率化に努めるよう、職員一丸となって推進していく。