地域において担っている役割
富士保健医療圏で唯一の地域がん診療病院として、またICU・NICUを有する高度急性期医療を担う中核病院として、地域住民の生命を持続的に守ることで、安心・安全な社会づくりの一翼を担っています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、過去5年間100%前後を推移していますが、平成26年度には患者数の増等により入院収益が増加した結果、②医業収支比率が前年度と比較して大幅に改善し経常収支比率も大幅に改善しました。平成29年度の経常収支比率は、昨年度の数値を上回り、類似病院平均値と同値となりました。これは患者数の減等による外来収益の減少、給与費の増及び減価償却費の増等により、医業収支比率が前年度と比較して1ポイント減少しましたが、医業外収支比率が大幅に改善したことによるものです。③累積欠損金比率は、平成26年度の会計制度の見直しにより、退職給付引当金等を計上した結果、前年度と比較して大幅に悪化しましたが、以降は平成29年度まで横ばいで推移しています。④病床利用率は類似病院の平均を大きく上回っております。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は過去5年間70%以下で推移し類似病院平均を上回っています。施設の老朽化が進み更新需要が高まり計画的な更新が必要ですが、経常収益比率が100%前後で推移しており更新投資を経常収益で賄うことが出来ない状況が続いています。②器械備品減価償却率は、平成27年度までは70%を超えておりましたが、平成28年度は電子カルテシステムを更新したことにより、前年度と比較して約10ポイント減少しました。平成29年度は同システムの更新により減価償却費が増加したため前年度と比較して約5ポイント増加しています。③1床当たり有形固定資産は、平成27年度までは33百万円前後で推移しておりましたが、平成28年度は主に電子カルテシステムを更新したことにより、平成29年度は主に施設等の改修工事を行ったことにより、それぞれ対前年比で増加しております。
全体総括
「収益の効率性」について、入院及び外来の1人1日当たり収益は、全国平均を上回っていますが、類似病院の平均値と比較すると過去5年間でいずれの年度も下回っています。特に入院収益については、大幅に類似病院の平均値を下回っています。この状況を改善するために、新公立病院改革プランに基づいた経営の効率化を進めるとともに、施設基準を取得することで、安定した収益の確保に努める必要があると言えます。「老朽化の状況」については、現病院施設が建設から30年以上が経過し老朽化が著しいため、本格的な建て替えの検討を進めていきます。しかしながら、一般会計の負担金に依存せざるを得ない現状では建て替えに要する資金が乏しいため、前述の収益の確保を通して建て替えに備える必要があります。