地域において担っている役割
市立島田市民病院は、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして、二次救急対応や政策的な医療(結核病床8床、感染症病床6床を有する)を提供し、他の公立病院と連携して急性期医療を中心に担っている。また、島田市唯一の病院であり、地域医療支援病院として、地域医療を担うかかりつけ医等を支援し、診療所等と密接な連携を図っている。さらに、静岡空港が立地する医療圏にあって、唯一の第二種感染症指定病院としての役割を果たしている。また、災害拠点病院としての指定を受けており、DMAT1チームを有している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び医業収支比率ともに類似病院平均値を下回り、累積欠損金比率が増加している。これは医師不足等により患者数が減少し医業収益が伸びないことが原因と考えられ、医業収支比率が100%を上回ることが困難な状況が依然として続いている。入院患者1人1日当たり収益が類似病院平均値を下回っているが、これは療養病床の診療単価の低さが原因である。職員給与費対医業収益比率が類似病院比率を大きく上回り高止まりの状態が続いているが、これも医業収益の減少が要因ではあるものの適切な人員配置による効率的な運営についての検討が必要である。材料費対医業収益比率の増加も医業収益が減少した影響はあるが、類似病院と比べれば低い数値となっているため、購買監査や共同購入など費用を抑える努力を続けたい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率は、類似病院平均値を上回っている。病院建築からおよそ40年が経過しており、建物の老朽化が進んでいることを如実に表している。また、器械備品についても、古いものを継続して使用しているといえる。1床当たりの有形固定資産の額は類似病院平均値を下回っているが、有形固定資産に占める建物と構築物の割合はおよそ6割であることを考えれば、やはり老朽化が進んでいることを表していると考える。耐震性や施設の狭隘化、動線の複雑化の問題等を解決すべく令和3年春に新病院が開院予定である。
全体総括
令和元年度は、医師不足に加え、冬季の患者数の減少や新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、外来、入院ともに患者数、医業収益が著しく減少し、医業収支比率が100%を上回ることが困難な状況が依然として続いた。新病院が令和3年春に開院することを見据え、医療設備の整備や合同説明会での当院のPR、就学資金活用の周知や大学訪問の実施、また医療秘書の活用等の働きやすい環境づくりの取り組みにより常勤医師が不在である診療科の医師の招聘や職員の適切な配置計画等により、医業収益の増加、経常収支比率等の改善を図り、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして地域医療の貢献に努めたい。