経営の健全性・効率性について
当市水道事業の平成27年度の経営の状況について、昨年度から適用された地方公営企業会計制度の改正の影響もあり、経常収支比率は100%を大幅に超えており、累積欠損比率においても引き続き0%と、経営の健全性を示す指標においては、良好な水準を保っています。流動比率も100%を大きく超えてはいますが、依然として類似団体よりも低い水準にあります。これは、類似団体と比較して現金預金が少ないことによるものです。類似団体よりも大幅に低い水準にある企業債残高対給水収益比率を鑑み、企業債の借り入れを検討していく必要があります。経営の効率性については、給水量の減少により施設利用率が減少傾向にあります。数値自体も類似団体と比較すると低く今後とも施設の適正規模を検討しながら更新を行っていく必要があります。また、有収率については、類似団体と比較すると高い水準にありますが、平成25年度以降減少傾向にあるため、今後とも漏水の早期発見等の対策をすることが必要です。
老朽化の状況について
管路経年比率が右肩上がりに上昇する中、管路更新率は、0.5%と落ち込んでいます。これは、当市水道事業が平成25年度から平成27年度まで継続して行った配水池更新事業によって、管路更新に係る事業費が減少したことによる影響を受けているものです。一方、同配水池更新事業による新たな有形固定資産の増加と、老朽化した有形固定資産の除却により、近年上昇を続けていた有形固定資産減価償却率は、一時減少に転じました。管路の更新と施設の耐震化の両方を限られた経営資源の中で行っていくために、当市水道事業では、管路更新率1.5%を目指す管路・施設の更新計画(耐震化計画)を策定し、事業を進めているところです。
全体総括
当市水道事業は、各指標の示すとおり平成27年度時点の経営状況は、比較的良好な状態を保っています。しかし、今後は、人口減少等による料金収入の減少が見込まれることや、高度経済成長期に整備された施設・設備の老朽化に伴う大量更新時期を迎えるにあたり、経営環境の厳しさが増してくることが予想されています。今後も水道事業を安定的に継続していけるよう、徹底した経営の効率化、健全化に取り組む一方、企業債の借り入れや補助金の受け入れによる財源の確保、水道料金の値上げ等も視野に入れ、経営の健全性を保っていく必要があります。