経営の健全性・効率性について
当市水道事業の令和元年度の経営状況について、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損比率についても前年度に引き続き0%、その他経営の健全性を示す指標においてもおおむね良好な状況であるといえます。しかし、経常収支比率、料金回収率、有収率については年々低下傾向にあります(平成30年度は隔月検針への移行に伴う調定月のずれによる影響で一時的に低い数値となっています)。これらの数値は類似団体平均値を下回っており、その改善のため、給水人口の減少による給水収益の減少、管路の老朽化による漏水の増加への対応をしていかなければなりません。令和元年度当市水道事業は老朽化した施設の更新のため企業債の借り入れを行いました(50,000千円)。平成28年度から継続して企業債の借り入れを行っており、企業債残高は増加していますが、企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値との比較ではかなり低い数値となっています(平成30年度は隔月検針への移行に伴う調定月のずれによる影響で当該指標の数値は一時的に若干高くなっています)。流動比率は300%を超え高い数値を維持しており、短期的な資金繰りの安定性は高いといえます。施設利用率は類似団体平均値よりも下回っていますが年々上昇傾向にあり、施設の利用状況は適正化されてきているといえます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び管路経年化率をみると、右肩上がりで上昇しており、管路等の老朽化は年々進行しています。令和元年度は4月から9月にかけて漏水が多く発生し、有収率が例年よりも大きく低下しています。管路更新率は前年度と比べ若干上昇し、類似団体平均値よりもやや高い数値となっています。主な要因としては、重要給水施設整備事業で口径の大きい管の布設が少なく、逆に口径の小さい管の布設が比較的多かったことが挙げられます。今後も、災害時に備えて配水池から避難所や重要施設へ直結する配水管路、老朽化した配水管、老朽化した施設などについて、限られた予算の中で補助金等を積極的に利用しながら、計画的に更新を行ってくことが重要になります。
全体総括
当市水道事業の令和元年度時点の経営状況は、各指標の示すとおり、比較的良好な状況を保っています。しかし、収益性、老朽化を示す指標は年々低下傾向にあります。人口減少の影響で今後、料金収入が減少していくことが見込まれます。有収率も毎年徐々に低下していましたが、令和元年度は大きく低下してしまいました。この低下傾向を止め、改善することが急務となってます。水道事業を安定的に継続していくためには補助金の積極的な活用、計画的な起債の借入、効率的な経営実施によるコスト削減に取り組み、さらには水道料金の値上げも視野に入れながら、様々な対応を検討していく必要があります。今後も効率的な事業運営に努め、経営の健全性を確保するとともに、住民の皆様に安心して安定的に水道を使っていただけるよう、努力してまいります。