経営の健全性・効率性について
当市水道事業の平成29年度の経営状況について、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損比率についても前年度に引き続き0%と、経営の健全性を示す指標においては良好な水準であるといえます。しかし、経常収支比率については前年度より1.57%減少しています。これは営業費用の増加によるものですが、主なものを3つ挙げると、①受託工事として長瀬テクノパークの配水管整備事業を行い、前年度と比較して、受託工事費用全体で約47,700,000円の増加②隔月検針への移行に伴う、料金システムおよび検針システムの更新費用を計上約11,400,000円③水道施設および量水器の修繕費用の増加約2,600,000円などがあります。・一方収入面では、長瀬テクノパークの配水管整備事業により、前年度と比較して、受託工事収益全体で約51,000,000円の増収となりました。・平成29年度当市水道事業は平成28年度に引き続き、企業債の借り入れを行いました。それにより企業債残高対給水収益比率が上昇していますが、依然類似団体と比較してもかなり低い数値となっています。流動比率も300%を超えるなど高い数値を維持しており、短期的な資金繰りの安定性は高いといえます。
老朽化の状況について
管路経年化率をみると、右肩上がりで上昇しており、管路の老朽化が年々進行しています。管の老朽化に伴って地中の漏水が進行し、有収率も僅かながら低下しました。・そうした状況の中で、管路更新率は0.99%と類似団体平均よりも高い数値を出すことができました。昨年度より0.17%低下した要因としては、平成30年度から実施予定の配水管布設替工事の詳細設計や、滝呂台配水池更新事業の詳細設計など、設計業務委託により多くの予算を投じたためです。来年度はこの設計をもとに、施設の更新や、管路の布設替を進めていきます。・また、滝呂工区および脇之島工区の配水管布設工事を、工費の4分の1を岐阜県の交付金の補助を受けて施工しました。今後も交付金の対象となる事業については積極的に補助を利用し、計画的に管路の更新を進めていきます。
全体総括
当市水道事業は各指標の示すとおり、平成29年度時点の経営状況は、比較的良好な状態を保っています。しかし、収益性や効率性を表す指標は年々低下している状態が続いており、今後劇的に回復する見込みはありません。むしろ人口減少がさらに進み、料金収入が年々減少していくことが見込まれています。料金収入が減少しても、管路の更新費用や減価償却費等は固定費としてかかっていくため、今後も水道事業を安定的に継続していくためには、コストカットや新たな収益の確保、さらには水道料金の値上げも視野に入れ、様々な視点で対応を検討していく必要があります。・その一環として平成30年度からは新たに再開栓・閉栓手数料の徴収を開始し、隔月検針への移行も行いました。また、平成30年度以降、複数年にわたって新たな企業債の借り入れを予定しています。今後も住民の皆様に安心して水道を使っていただけるよう、一層の経営努力をしてまいります。