経営の健全性・効率性について
当市水道事業の平成30年度の経営状況について、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損金比率についても前年度に引き続き0%、その他経営の健全性を示す指標においてもおおむね良好な状況であるといえます(経常収支比率、料金回収率、有収率が前年度より大幅に低下しているのは、平成30年度は隔月検針への移行に伴う調整のため調定月がずれたことにより集計上の年間給水量が減少したことによるもの。影響を補正した場合、それぞれの数値は108.27%、106.03%、89.09%。)。経営健全化のため、平成30年度から新たな収入財源として再開閉栓手数料を導入(年間賦課件数2,238件、調定額7,251,120円)するとともに、隔月検針への移行により検針委託料を削減(対前年比△15,205,713円)しています。また、平成30年度は前年度に引き続き、企業債の借入を行い(155,000千円)、企業債残高対給水収益比率が上昇していますが、類似団体平均値と比較するとかなり低い水準となっています。経常収支比率、料金回収率、有収率については年々低下傾向にあり、今後、給水人口の減少による給水収益の減少、漏水の増加への対応の検討が必要です。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び管路経年化率をみると、右肩上がりで上昇しており、管路等の老朽化が年々進行しています。管路の老朽化に伴って漏水が多く発生し、有収率が徐々に低下しています。管路更新率は前年度と比べ低下しましたが類似団体平均値よりは若干高い数値となっています。0.2%低下した要因として滝呂台配水池の更新(H30~R2年度)を行っていること、重要給水施設整備事業で口径が大きい管を布設していることが挙げられます。今後も、災害時に備えて配水池から避難所や重要施設へ直結する配水管路、老朽化した配水管、老朽化した施設などについて限られた予算の中で補助を積極的に利用しながら計画的に更新を行っていくことが重要になります。
全体総括
当市水道事業の平成30年度時点の経営状況は、各指標の示すとおり、比較的良好な状況を保っています。しかし、収益性を示す指標や老朽化に関する指標は年々低下傾向が続いています。今後、人口減少による影響で料金収入が減少することが見込まれ、この傾向について大きな回復の見込みはありません。有収率低下への対応も急務となっています。今後も水道事業を安定的に継続していくためには補助金の積極的な活用、計画的な起債の借入、効率的な経営実施によるコストカットに取り組み、さらには水道料金の値上げも視野に入れながら、様々な対応を検討していく必要があります。今後も効率的な事業運営に努め、経営の健全性を確保するとともに、住民の皆様に安心して安定的に水道を使っていただけるよう、努力してまいります。