経営の健全性・効率性について
当市水道事業の平成28年度の経営状況について、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損比率についても前年度に引き続き0%と、経営の健全性を示す指標においては、良好な水準であるといえます。ただし、経常収支比率については前年度より1.7%減少しています。これは、平成27年度に完成した虎渓山配水池の減価償却が今年度から始まり、減価償却費が大幅に増加したことが大きな要因です。減価償却費は固定資産ごとに毎年度定額を計上しているため、この減価償却費の増加が来年度以降も経常収支比率に影響を与えることが予想されます。.一方で、虎渓山配水池に新たに設置した太陽光発電・小水力発電設備により、新たな収益である売電収益を平成28年度中に約870万円計上しました。また、滝呂台配水池の配管切り替えによって、今まで使用していたポンプを使用することなく水を送り、施設稼働にかかる電気代を500万円(平成27年度比)以上削減しました。.今年度当市水道事業は17年振りに企業債の借り入れを行いました。それにより企業債残高対給水収益比率が上昇していますが、それでも類似団体平均と比べてかなり低い数値となっています。また、借り入れた企業債を工事費等の支払に充てることで現金預金が増え、流動比率の大幅な上昇の一因となりました。これにより、短期的な資金繰りの安全性が向上しました。
老朽化の状況について
管路経年化率をみると、右肩上がりで上昇しており、管路の老朽化が年々進行しています。平成28年度は多治見市下沢町で大規模な水道管の破裂があり、有収率も大きく落ち込みました。平成27年度末に虎渓山配水池の更新事業が完了し、平成28年度は水道管の取替え工事に投資拡大しました。これにより、管路更新率が前年度よりも大幅に向上しました。今後も施設や管路の更新需要は増していきます。平成29年3月策定した新水道ビジョンでは、施設と管路それぞれ法定耐用年数の1.5倍と1.7倍使用して更新することで更新費用の平準化を行うこととしました。施設と管路の更新をバランスよく行っていくことや、災害時の避難所など、非常時の安全性の面でより重要な箇所を優先的に更新するなど、限られたお金でより効率的に工事を行っていくことが求められます。
全体総括
当市水道事業は各指標の示すとおり、平成28年度時点の経営状況は、比較的良好な状態を保っています。しかし上記の施設・水道管の更新需要の増大に加えて、人口減少等による料金収入の減少がすでに始まっています。今後も水道事業を安定的に継続していくために、水道料金の値上げも視野に入れ、コストカットや新たな収益の確保に取り組んでいきます。それに関連して、平成30年度からは、隔月検針への移行、再開栓・閉栓手数料の徴収を開始いたします。また、企業債や国・県の補助金等を活用し、工事費の自己負担を削減したり、負担の世代間公平性を図っていくことも必要です。.こうした取り組みには住民の皆様のご理解ご協力が不可欠です。それらが得られるよう、今後とも一層の経営努力をしてまいります。