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平成15年度までは類似団体とほぼ同程度の数値であったが、17年1月及び22年1月の市町村合併を経て市域、人口が増加する一方、市税収入が伸び悩み、数値が悪化した。平成28年度においては、地方消費税交付金の増や新・増築家屋の増に伴う固定資産税の増により前年度を上回り、前年度から0,01ポイント改善したものの、類似団体平均値を0.07ポイント下回った状態にある。今後も、長野県地方税滞納整理機構の活用などによる市税の収納向上や公共施設の統廃合や長寿命化、事務事業の見直しを計画的に進め、財政基盤の強化に努める。
平成25年度から26年度にかけては、市税などの経常一般財源総額が増加したことに加え、公債費充当経常一般財源が減少したことから改善傾向であったが平成27年度から再び比率が上昇に転じており、28年度は、公債費などの経常的経費充当一般財源は減少しましたが、地方交付税交付金などの経常一般財源総額が減少したことから、経常収支比率は89.8%と、前年度に比べ3.2ポイント悪化した。類似団体平均値からは、2.1ポイント下回った状態ではあるが、数値の上昇は財政の硬直化を招くこととなるため、引き続き人件費、公債費、物件費など、経常経費の抑制に努めるとともに、市税の収納向上のほか、未利用財産の貸付・売却、有料広告収入の促進、使用料など利用者負担の適正化を図り、経常収入の増加に努める。
人件費は、長野市定員適正化計画に基づく職員数の削減、外部委託の推進などにより総人件費の抑制に取組んできたが、給与改定に伴う期末勤勉手当の増により、前年度と比較して0.2%増加、物件費は、新設の長野市芸術館に伴う通年の指定管理料の増や基幹系システムの再構築事業費の増などにより、前年度と比較して3.1%増加した。一方、人口は前年度比1,511人減となる382,001人で、人口の減少傾向が顕著になりつつあり、28年度の人口一人当たりの人件費・物件費等は、前年度より3,295円増加した。引き続き、人件費の抑制を図るとともに、公共施設等総合管理計画に基づき施設維持管理経費の削減に努めていく。
職務給の原則に適合しない不適正な給与制度の運用(いわゆる「わたり」)を廃止し、平成28年度から職員の職責に応じた職務の級を決定し格付することとした職務給の徹底を図ったが、わたりの廃止に伴い降格した職員に対する経過措置(制度移行前の給料保障)を実施していること、また、国が平成27年度から実施している「給与制度の総合的見直し」を1年見送り実施したことにより、ラスパイレス指数が0.3ポイント上昇した。上記制度移行後の職員の格付け状況等を引き続き検証し必要な見直しを行うことにより、一層の給与水準の適正化に努める。
平成22年1月の市町村合併により職員数が増加し、類似団体の平均を上回っているが、平成22年度に独自に策定した第四次長野市定員適正化計画(平成22~平成26年度)の計画期間の削減目標30人に対し、38人の削減を達成した。今後も事務事業等の見直しを継続的に行い、本市の実情を考慮しつつ、市民サービスの低下を招くことのないよう、適正な定員管理に努める。
一般会計等における公債費(繰上償還及び借換除く。)や、公営企業の公債費への繰出金が減少したことから、28年度は昨年度に比べ1.3ポイント減少している。しかし今後は、プロジェクト事業の推進により地方債を多額に発行したことから、公債費の増加が見込まれるため、事業の緊急度や優先性、必要性を十分に検討した上で、「選択と集中」を徹底することにより、公債費等の圧縮を図っていく。
28年度は、一般会計等の年度末地方債残高の増加しているものの、都市計画税など充当可能な特定財源や交付税措置額の増加により、前年度に比べて3.9ポイント減少している。今後とも、重要性や緊急性などを十分に踏まえながら施策を厳選し、地方債の借り入れに際しては償還時に地方交付税措置のある有利な地方債を活用するなど、将来負担が過度に上昇しないよう取り組んでいく。
人件費に係る経常収支比率が類似団体平均値と比較して0.7ポイント低くなっているが、要因としては指定管理者制度の積極的な導入やPFIなど、民間活力の活用による職員数の抑制、時間外勤務手当の縮減などに努めてきたことによるものである。また、前年度との比較で経常収支比率が0.7ポイント上昇したのは、人件費における経常経費充当一般財源は1.7億円の減であるが、経常一般財源が34.7億円の減となったことが主な要因である。
物件費に係る経常収支比率が類似施設と比較して高くなっているのは、業務の民間委託を推進してきたたことと、他の類似都市にない要因として、オリンピック開催に伴い建設した大型の競技施設の管理運営委託費が要因となっている。平成28年度は、新設の長野市芸術館に伴う通年の指定管理料の増や基幹系システムの再構築事業費の増などにより、前年度と比較して0.8ポイント増加し、類似都市平均と比較すると2.5ポイント上回っており、昨年度から類似都市平均との差が広がってきている。
扶助費に係る経常収支比率が類似団体平均値と比較して4.3ポイント下回っているが、平成28年度は、前年度比1.0ポイント増加している。主に障害者(児)介護給付費・訓練等給付費の増加や生活保護費の増などによる。今後も少子化対策の充実や高齢者の増加、障害者介護給付費・訓練等給付費等に要する費用などにより増加が見込まれることから、法定外の扶助費の見直しなどに取り組んでいく。
その他の主なものは、介護保険特別会計、国民健康保険会計、後期高齢者医療特別会計への繰出金であり、平成28年度は、類似団体との比較においては0.8ポイント低くなっている。今後は高齢化の進展に伴う保険給付費の増加などが見込まれることから、法定基準外の繰出金の抑制に努める。
補助費等に係る経常収支比率が類似団体と比較して高くなっているのは、下水道事業における企業債償還額に対する補助金が多額になっていることが要因のひとつである。今後は、下水道整備率の向上に伴い事業の平準化が進むことにより減少するものと見込んでいる。また、平成28年度に前年度対比0.5ポイント減少、類似都市との比較では、2.5ポイント上回る要因としては市民病院の地方独立法人移行に伴う運営費負担金の増加などが要因である。
平成10年の冬季オリンピック開催時に発行した地方債が多額であったことから、公債費に係る経常収支比率が高くなったが、平成16年度をピークに減少に転じていたが、平成28年度については、公債費は、前年度に比べ減少したが、経常一般財源総額が減少したことにより0.6ポイント上昇したものである。今後は、オリンピック開催時の多額の起債の償還が平成29年度には終了する一方で、平成26~27年度をピークとしたプロジェクト事業による市債償還が始まることに伴い、公債費が増加するため、新規市債発行の抑制に努める。
経常収支比率は、類似団体と比較して0.5ポイント下回っているものの、平成28年度の数値は前年度より2.6ポイント増加している。今後、扶助費や施設老朽化による維持補修費の増加が見込まれるため、事業の選択と集中、事務事業のスクラップアンドビルド、公共施設の見直しなどを徹底し、経常的経費の抑制に努めていく。
行財政改革の推進や効率的な財政運営等により市債発行を抑制してきた結果、実質公債比率は減少傾向にあったが、平成25年度以降のプロジェクト事業の本格化に伴い、建設事業債の発行が大幅に増加したため、将来負担比率は増加しており、平成28年度以降にはその償還が始まることから、今後は実質公債比率も増加に転ずると見込まれるため、事業の緊急度や優先性、必要性を十分に検討した上で、「選択と集中」を徹底することにより、公債費等の圧縮を図っていく。
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