地域において担っている役割
千葉県東部及び茨城県南部を含む半径30キロ圏(人口約100万人)を診療圏とする中核的な基幹病院として、高度救急医療の確保と充実に取り組みつつ、救急・小児・周産期・精神など不採算部門に関わる医療を提供し、災害拠点病院としてヘリポート等の必要な設備の維持や災害派遣医療チームの養成等を行っている。また、早期から研修教育病院としての充実に取り組んでいるほか、地域医療支援病院として地域医療従事者の研修の場である地域医療支援センターの開設や検査機器の共同利用等の推進を図り、地域医療の進展にも取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については100%を超え、地独法移行前からの黒字経営を維持しており、累積欠損金は生じていない。②医業収支比率は、類似病院及び全国の平均を超えているが100%を若干下回っている。これは、算定式の分子となる繰入金のうち救急医療分と保健衛生行政分のみが算定対象とされ、大部分を占める精神医療・高度医療・小児医療の分が算定値に反映されていなことに起因するものであり、医業活動は健全な状態にある。④病床利用率については、類似病院をやや下回っているものの、一般病床の利用率は常に90%を超えている状況であり、職員配置に相応する収入が得られている。⑤~⑥の入院・外来の一人当たり収益については、総合入院体制加算と地域医療支援病院入院加算の取得、DPC医療機関群Ⅱ群を維持するための診療密度の向上等により、類似病院平均・全国平均ともに上回ることができた。⑧材料費対医業収益比率は類似病院平均を下回っているが、価格交渉、院外処方への移行、高額薬剤の在庫見直し等に継続的に取り組み節減に努めている。全国平均を上回っている理由は、本院は高度急性期病院であり、高額な診療材料の割合が多いことによる。
老朽化の状況について
老朽化の状況は、①有形固定資産減価償却率及び②機械部品減価償却率ともに類似病院平均・全国平均を大きく下回っており、現状では老朽化は深刻な問題では無い。また、③1床当たり有形固定資産が類似病院平均・全国平均ともに大きく上回っているが、有形資産の償却が進んでいないこと、高度医療機器等の充実等が主たる要因であるが、手術数の増加等により投資に見合った収入が確保できている。将来的な減価償却費の増加への備えと更なる経営の効率化のために、中期目標・中期計画との整合性、施設の重要度を考慮しながら、施設維持・管理計画に基づき、計画的な修繕による施設の長寿命化と投資の平準化を図り、効率的な施設運営・保守管理に取り組んでいる。
全体総括
地方独立行政法人としての初年度であったが、移行に伴うデメリットを最小限に抑え、経営面・医療面においても引き続き良好な結果となり、開院からの黒字経営を維持することができた。国の財政状況や、ますます高騰する社会保障費の状況等を考慮すると、今後の診療報酬改定は一層厳しさを増すことが予想されるため、地方独立行政法人のメリットを有効に活用し、医療の質、経営の質を高めて健全経営の維持に努めるとともに、地域の基幹病院として地域医療の充実に努めていく。