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平成20年度秋以降の世界的な経済金融危機や東日本大震災、欧州危機等による景気の悪化から、市内大手企業の収益減に伴う法人市民税の減収などの影響により、近年は微減の状況が続いている。令和元年度決算は前年度と比較し0.01ポイント減少の0.68となり、類似団体平均を下回っている。市内に大手企業が立地していることから、景気や為替の動向等、法人市民税に関わる状況の変化が市の収入全体に大きく影響するため、今後も注視していく必要がある。また、個人市民税については、緩やかな景気の回復により徐々に持ち直しの兆しがみられるものの、生産年齢人口の減少による減収が危惧される。当市としては、行政経営改革プランに基づき歳入の確保に努めており、平成29年度には手数料・使用料について改定を行い、受益者負担の適正化を図った。歳入を確保するとともに、さらなる歳出の抑制に努め、収支均衡型の財政構造への転換を図り、持続可能な財政構造の構築に努める。
前年度と比較して1.1ポイント上昇の97.1%となり、類似団体平均と比較して2.8ポイント上回っている。分母である経常一般財源は、普通交付税473百万円、地方特例交付金155百万円の増であったものの、市民税全体で474百万円、臨時財政対策債305百万円の減などにより134百万(0.58%)の減となった。分子である経常経費充当一般財源は、扶助費や消費税率引き上げに伴う物件費の増などにより112百万円(0.50%)の増となった。分子である経常経費充当一般財源が増加し、分母である経常一般財源が減少したことにより、経常収支比率が上昇した。今後も、人件費の抑制と併せて、内部事務経費の削減や、事務事業の見直しと再構築、公共施設マネジメントの推進、一部事務組合・第三セクター等の組織の見直し、指定管理者制度の活用など、歳出の抜本的な見直しに努め、継続して行財政改革を実施していく。
全国、茨城県及び類似団体平均と比較しても下回る結果となっている。消費税率引き上げに伴い物件費については増加したが、職員の年齢構成の変化(平均年齢-0.8歳)に伴う職員給の減などによる人件費の減少が大きくなっているためである。今後、定年退職者等の人員補充は実施するものの、適正な給与支給と定員管理による人件費の抑制と内部事務管理経費等の削減に努める。
全国市平均及び類似団体平均と比較してもラスパイレス指数は下回っている。これは、昇格試験の実施等による昇格基準の見直しなどによりラスパイレス指数が減となったものと思われる。また、地域手当についても、人事院勧告では16%支給地域に指定されているものの、抑制して支給している(平成27年度6%、28年度8%、29年度10%で支給)。今後も人事院勧告に準拠し、給与の適正化に努める。
全国、茨城県平均は下回っているものの、類似団体平均については上回る状況となっている。これは、市直営による消防業務や、待機児童対策・子育て支援の充実のために保育士を積極的に採用していることなどが影響していると考えられる。今後も、組織や事務事業の見直しに併せて計画的な定員管理の中で職員の適正化を図る。
全国平均、類似団体平均を上回っている状況が続いているが、徐々にではあるが数値の改善が見られる。単年度数値においては、令和元年度は6.24%で平成28年度の7.31%と比較して1.07ポイント低下となった。分子の、公債費に準ずる債務負担行為に充てた一般財源、一部事務組合への負担金の減などにより、分子が対前年度比較で214百万円の減(-15.21%)、分母は普通交付税の増により37百万円の増(+0.20%)となった。分子が減となり、分母が増となったことから、実質公債費比率は前年度比較で低下した。今後も適正な事業の選択・実施による市債の発行、償還年限の見直し等を行い、公債費の減額及び償還金の平準化を図り、実質公債費比率の低下に努める。
全国平均、類似団体平均を上回っている状況が続いている。将来負担額のうち組合等負担額は減となったものの、地方債残高、退職手当負担見込額が増となり、分子となる将来負担額合計が対前年度比較で1,002百万円の増(+16.71%)となった。また、臨時財政対策債発行可能額、標準税収入は減となったものの、普通交付税等が増となり、分母が対前年度比較で37百万円の増(+0.20%)となった。分子の増が分母の増を大幅に上回ったことから、将来負担比率は対前年度比較で大きく増加した。今後、公債費等の義務的経費の削減を中心とする行政改革を進め、後世への負担を少しでも軽減するよう、事業の総点検等を実施し、地方債発行の抑制など、地方債現在高の上昇を抑え財政の健全化に努める。
全国平均及び類似団体平均と比較すると高い割合になっている。取手市は昭和40年、50年代の人口急増期に公立保育所の新設等による職員の採用を行っていた。そのため、高齢職員の占める割合が類似団体等よりも高くなっているため、人件費も高い傾向となっている。しかしながら、近年は職員の年齢構成の変化に伴う職員給の減などにより人件費の抑制が図られ、27~29%前後で推移している。令和元年度決算は前年度と比較して0.3ポイントの減となったが、これは調理員の退職者不補充等に伴う給料の減などによる人件費の減が大きかったためである。今後も組織・事務事業の見直しを実施するとともに適正な定員管理に努める。
全国、茨城県及び類似団体平均と比較すると下回る結果となっており、過去5年間の推移を見ても低い水準を維持している。令和元年度決算は前年度と比較して0.4ポイントの上昇となったが、これは令和元年10月からの消費税率引き上げに伴う増により、分子である経常充当一般財源が増となり、市民税や臨時財政対策債の減等により、分母となる経常一般財源総額が減少したためである。今後も、旅費や需用費、備品購入費、委託料など継続的に精査、見直しを図っていく。
茨城県平均は上回っているものの、全国平均や類似団体平均と比較すると低い割合となっているが、年々割合が大きくなってきている。全国的に高齢化社会を迎えているなか、当市においても社会保障経費にかかる経費は今後も増加が予想される。特に生活保護費、障害者自立支援給付費、児童扶養手当にかかる費用が増加してきており、経常収支比率を押し上げる主因となっていくことが懸念される。今後、市が単独で行う各種扶助の経費については、継続的に精査、見直しを図っていく必要がある。
令和元年度決算は、前年度と比較して0.4ポイントの上昇となった。主な要因としては、繰出金の増加や、市民税や臨時財政対策債の減等により、経常一般財源総額が減少したためである。後期高齢者医療、介護保険事業の特別会計に対する繰出金については、高齢化率の割合が高いことなどから年々増加傾向となっている。
全国平均及び類似団体平均と比較すると高い割合になっている。取手地方広域下水道組合負担金等の減により、分子である経常充当一般財源が減となり、市民税や臨時財政対策債の減等により、分母となる経常一般財源総額も減少したことにより、前年度と同率となった。また、補助金については、平成21年度に10%のマイナスシーリングを実施し、平成22年度には公募制補助金を導入し削減に努めている。今後も引き続き適正な補助金の交付を行い、公平性・公益性の確保に努めていく。一部事務組合についても、維持管理経費の削減などの働きかけによる負担金の抑制や、組織の見直しの検討により効率的な行政運営を図っていく。
公債費については、過去に実施した都市基盤整備事業の元利償還金に加え、喫緊の課題である学校施設の老朽化対策事業の実施や、臨時財政対策債などの特例的な地方債の借入により地方債現在高が増加した影響で、地方債の元利償還金も増加しており、公債費に係る経常収支比率は類似団体平均を3.9ポイント上回っている。さらに下水道事業の元利償還金に係るものなど公債費に類似の経費を合わせると、人口1人当たりの決算額は類似団体平均を3,657円上回っており、公債費の負担は非常に重いものとなっている。今後、公債費は高止まりで推移することが予測され、将来に対する投資的な事業についても、緊急性や優先順位を十分検討し、公債費の抑制や平準化を図っていく。
令和元年度決算では、市民税や臨時財政対策債の減等により、分母となる経常一般財源総額が減少した影響もあり、人件費を除いて比率が増となり、前年度と比較して1.5ポイントの上昇となった。今後、類似団体平均と比較し高い水準のものについては、継続的に精査、見直しを行い健全な財政運営を行っていく。
(増減理由)令和元年度は寄附金の増加により「ふるさと取手応援基金」が127百万円の増、学校施設の老朽化対策に活用するための積み立てにより「学校施設整備基金」が35百万円増となったが、一方で法人市民税の大幅な減収に対応するための取崩し等により「財政調整基金」が591百万円の減、公債費の償還に対応するため「減債基金」の取崩しにより280百万円の減、公共施設の老朽化対策等への充当により「公共施設整備基金」が47百万円の減となったため、積立金現在高全体で755百万円の減となった。(今後の方針)法人市民税の先行きの不透明さや、公債費の増加傾向、老朽化の進む施設の改修等への充当の増加を考慮すると、基金残高の急激な増加は見込めないが、少しずつでも積み増しができるよう努めていく。
(増減理由)主な要因として法人市民税の大幅な減収に対応するための取崩し等により591百万円の減。(今後の方針)生産年齢人口の減少により個人市民税が伸び悩んでいること、法人市民税の先行きを見通すことが難しいことから、急激な基金残高の増加は見込めない状況にあるが、標準財政規模の10%を確保するよう努めている。
(増減理由)公債費の償還に対応するための取崩しにより280百万円の減。(今後の方針)満期一括償還が平成29年度で終了したことにより大きな取り崩しは見込まれないが、合併特例債及び臨時財政対策債により公債費は増加しているため、今後は基金残高が緩やかに減少することが見込まれる。
(基金の使途)公共施設整備基金:文化施設、社会福祉施設、その他の公共施設を円滑かつ効率的に整備することにより、市民の生活環境の向上を図り、健康で文化的なまちづくりを促進。みどりの基金:広く市民その他の積極的な参加と協力により、緑の保全と緑化の推進及び啓発を図り、健康で快適な生活環境づくりに寄与することを目的とする。(増減理由)公共施設整備基金:取手庁舎議会棟大会議室改修工事10百万円、取手駅西口エスカレーター改修工事9.5百万円、宮ノ前ふれあい公園改修工事7.9百万円、藤代スポーツセンター体育館給水ポンプ改修工事6百万、中谷津1号・新町2号ポンプ改修工事4.8百万円を充当したことによる減ふるさと取手応援基金:未来を担う子どもたちを応援する事業などに48百万円充当したものの、ふるさと取手応援寄附金の寄付額175百万円を積み立てたことによる増(今後の方針)市の所有施設は昭和40年代から50年代に整備されたものが多いことから、近年、公共施設整備基金や学校施設整備基金については、老朽化の進む施設の改修等への充当の増加に伴い、基金残高は減少傾向にある。当面はこうした厳しい状況が続くことが見込まれるが、基金残高の確保に努める。
平成27年度59.0%、28年度60.4%、29年度61.4%、30年度は62.0%、令和元年度は63.0%となり、公共施設への新規投資より資産の減価償却が上回った結果、前年度に比べ増加した。令和元年度の内訳として、事業用資産64.6%、インフラ資産61.8%と事業用資産においてより老朽化の程度が進んでいる。今後、人口構造の変化により公共施設等の利用需要が変化していくことが予想される中で、中長期的な視点のもとに、公共施設等の最適な配置(選択と集中)を進めていく必要がある。同時に、新規投資と更新投資のバランスを重視しつつ、資金の確保と更新時期を把握することで計画的に財政負担を軽減・平準化することが、安定的な行政経営に不可欠となる。
平成27年度は785.6%、平成28年度は941.5%、平成29年度774.5%、30年度は849.3%、令和元年度は935.3%であり、類似団体平均と比較すると高くなっており、経常的に確保できる資金に対して地方債等の債務負担が重い状況にあるといえる。これは、地方債残高が増加している中、業務収支における黒字分が大きくないことが要因である。今後、公共資産投資と地方債残高のバランスを考慮しながら、将来世代への負担の先送りが顕著とならないよう、安定的な財政運営を検討していく。
将来負担比率、有形固定資産減価償却率ともに、類似団体平均と比較して高くなっており、対前年度比較でみてもいずれも増加している。令和元年度については、将来負担額のうち組合等負担見込額は減となったものの、地方債残高や退職手当負担見込額等の増により、分子となる将来負担額合計が増となった。一方で、臨時財政対策債や標準税収入等については減となったが、普通交付税が大幅に増となったことから、分母全体でみても増となった。結果的に、分子・分母の値ともに増となったが、分子の増が分母の増を大幅に上回ったことから将来負担比率も大きく増加することとなった。なお、将来負担比率が類似団体平均と比較して特に高くなっている要因としては、区画整理事業や小中学校の大規模改造等の公共資産への投資を行っており、将来世代が便益を享受する資産を形成する一方で、財源としている地方債残高が増加しているためである。さらに、公共施設全体として老朽化の程度が進行しており、そのための改修を実施するなど将来世代への負担も増加しているといえる。今後は、中長期的に経年での推移のバランスを注視し、健全な財政運営を進めていく。
将来負担比率、実質公債費比率ともに、類似団体平均と比較して高くなっているが、実質公債費比率については対前年度比較でみるとやや低下している。これは、大規模事業の償還終了により公債費充当一般財源が減となったことや一部事務組合への負担金が減となったことによるものである。今後も公債費等の義務的経費の削減を中心とする行財政改革を進め、将来世代への負担を少しでも軽減するよう、新規事業の実施等に係る総点検を行い、財政の健全化に努めるとともに、適正な事業の選択・実施による地方債発行、償還年限の見直し等を行い、公債費の減額及び償還金の平準化を図る。
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