地域において担っている役割
町立大鰐病院は、過疎地域に指定されている当町において唯一の病院であり、回復期の一般病床30床を有する医療機関として、救急医療、在宅診療、災害時の対応、感染対策など「医療・福祉・健康」を提供する拠点病院の役割を担っている。また、隣接する弘前市の弘前大学医学部附属病院など圏域の医療機関と連携し、地域医療の確保に努めている。
経営の健全性・効率性について
人口減少による地域の医療需要に見合った施設規模とするため、平成31年2月に病床数を60床から30床に削減した。病床削減による療養費の加算、栄養指導管理加算など患者単価の改善を図りながら、療養サービスの向上等にも取り組んでいるところであるが、経常収支の改善要因は一般会計からの繰入れの増額によるものである。患者数の減少による純損失により累積欠損金が増加し、非常に厳しい状況となっているため、さらなる経営改善と患者サービスの向上を図りながら、経営の健全化及び効率性を高める取り組みが必要である。
老朽化の状況について
病院建屋については、築後50年以上経過しているため、老朽化が著しく、耐震基準を満たしていないため、早期の建て替えが望まれているところである。また、医療機器や設備機器においても老朽化により、施設の維持、修繕に多額の経費を要しているところである。地域医療構想による圏域の医療体制の見直し及び地域の医療需要に見合った施設整備として、令和4年度の開所に向け有床診療所を整備している。
全体総括
人口減少等に伴う患者数の減少により医療需要に見合った規模への見直しとして病床数の削減、その他経営改善を行っているところであり、各指標についてはやや改善したものの、依然として厳しい経営状況である。今後も地域の人口減少に伴い、患者数の減少は避けられないが、町福祉部門と協力し、健康診断や人間ドックなどを積極的に受け入れ、患者数を確保するとともに、診療単価を類似病院の平均値に近づけるなどの収益確保、経費削減などの改善を行い、さらなる経営健全化を図る必要がある。また、老朽化による施設の更新については、将来の医療需要を踏まえて、経営面から持続可能な施設規模とするため、有床の診療所に規模を縮小し、令和4年度中の開所に向け建替を行うこととしている。