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地方財政ダッシュボード

福岡県香春町の財政状況(2021年度)

🏠香春町

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

人口減少や少子高齢化に加えて、町の主要産業であったセメント産業が失われた後、これに代わる産業が育っていないため、財政基盤が弱く、類似団体を0.12ポイント下回っている。今後とも事務事業の効率化や経費節減に取り組み、歳出の削減に努めるとともに、企業誘致や産業振興施策、定住促進施策を推進することで財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

普通交付税等、経常的一般財源の伸びにより6.2ポイント改善した。しかしながら、この伸びはコロナ禍における経済対策等の影響によるものであり、一時的なものと考えられる。今後は、職員の平均年齢上昇に伴う人件費の増をはじめ、学校再編事業により莫大な起債を行ったことによる公債費の急増が控えているため、油断することなく、経常経費の更なる縮減に努めながら、新たな行財政改革の断行も検討していく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度と比較して7,059円減少し、類似団体と比較すると2,870円低い結果となった。主な減少要因は、学校再編事業の最盛期が過ぎたことにより、物件費が減少したためであるが、人件費は逆に増えており、引き続き抑制に努めていかなければならない。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度と同値となったが、類似団体平均との差は開き、1.2ポイント高い状態である。今後とも人員管理とともに給料の適正な管理に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

公立保育所、国土調査事業の影響から類似団体と比較して1.25ポイント高い状況である。少子化及び人口減少に備え、長期的観点から職員数の適正化を図っていく必要がある。

実質公債費比率の分析欄

投資的事業の抑制や計画的な繰上償還の実施により、公債費が低く抑えられている。類似団体と比較しても4.9ポイント低く、良好な状態といえる。しかし、今後は学校再編事業や公共施設長寿命化対策等よる過疎対策事業債の償還額が急増するため、比率が急激に悪化する見込みである。引き続き中長期的視点に立った地方債及び基金運用に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担額を充当可能財源等が上回っているため、将来負担比率は「数値なし」となっている。しかしながら、現在大型建設事業が続いており、地方債残高が大きく膨らむ一方で、基金残高が減少傾向にあるため、将来負担の状況は悪化していく傾向にある。今後とも地方債充当事業の厳選や計画的な基金への積立を行い、将来負担の軽減に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

充当財源の増により、3.3ポイント改善したが、類似団体平均と比較して1.6ポイント高い状態である。公立保育所、国土調査事業等の影響により職員数が多いことがその要因であるため、少子化及び人口減少に備え、長期的観点から職員数の適正化を図っていく必要がある。

物件費の分析欄

前年度と比較して1.3ポイント増加し、類似団体平均よりも高い状態となった。スクールバスの運行開始が主な要因であるが、今後とも経費節減に努めるとともに、新たな工夫や改善も進め、比率の低下を図っていく。

扶助費の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント減少したが、これは経常経費の減少ではなく、分母にあたる経常的一般財源等の伸びによるものである。類似団体平均と比較して2.3ポイント高い状態であり、特に社会福祉、児童福祉の分野で高い傾向が認められる。増加傾向が続いているため、対象者数の推計等により、今後の動向を注視するなど、中長期的視点からの財源確保が課題である。

その他の分析欄

前年度と比較して2.1ポイント減少したが、類似団体平均と比較すると、一貫して高い水準が続いている。これは、介護保険事業及び後期高齢者医療事業への繰出金が高水準であることによるため、今後も介護予防、健康増進事業を推進し、医療介護関係経費の抑制に努める。

補助費等の分析欄

補助費等については近年では一貫して類似団体平均より低くなっている。なお、全国、福岡県平均との比較では高くなっているが、これは塵芥処理事業や常備消防事業を一部事務組合で行っており、その負担金が補助費等に計上されるためである。

公債費の分析欄

類似団体平均と比較して5.3ポイント低く、良好な状況といえる。今後は過疎対策事業債の償還金が急増していくことから、起債対象事業のより一層の厳選と、計画的な繰上償還により、公債費の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

前年度と比較して5.4ポイント減少しているが、これは経常経費の削減ではなく、分母にあたる経常的一般財源等の伸びによるものである。なお、類似団体平均と比較すると、従来から一貫して高水準であることが分かる。これは、公債費を低く抑えてきたことが、それ以外の経費の増加を許容してきたことによるものであり、今後の公債費上昇を考慮すると、危険な状態である。それぞれの分析欄に記載した対策を着実に講じていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

議会費は類似団体平均と比較して1,223円高くなっている。◆民生費も類似団体平均と比較して高い状況が続いている。医療・介護に係る経費のほか、障がい者福祉や児童福祉に係る扶助費が高いことが影響しているものと思われる。◆また、教育費は類似団体平均と比較して28,153円高くなっているが、これは令和元年度からの学校再編事業の影響によるものである。なお、今後は義務教育学校1校となるため、再編の効果により経常経費が減少する見込みであり、注視したい。◆商工費は前年度と比較して71.9%増加した。これは新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業に取り組んだ結果であるが、それでもなお類似団体平均と比較して、13,473円低い状況であり、この分野での財政需要が低い傾向が認められる。◆公債費は地方債発行の抑制及び繰上償還の実施により、類似団体平均より低く抑えられているが、学校再編事業をはじめとする近年の大規模事業の影響により、今後は急上昇する見込みであるため、より一層慎重な財政運営を行っていく必要がある。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

主な構成項目である人件費は、3,060円増加している。現在、職員平均年齢が低いことから、今後10年程度は年齢上昇による人件費の上昇が見込まれ、また定年が段階的に延長されることもあり長期的な定員管理が必要になってくる。また、公立保育所民営化や事業費支弁の人件費についても適正化を図っていく必要がある。◆扶助費については、高齢化の影響から上昇傾向にある。今後10年程度はこの傾向が続くと予想される。なお、令和3年度は住民税非課税世帯等臨時特別給付金事業の影響により急増している。◆本町の特徴として、投資的経費の抑制と計画的な繰上償還の実施の経緯から、普通建設事業費及び公債費が低く抑えられ、その分、人件費、扶助費及び維持補修費が高いという傾向が認められてきた。しかしながらこの間、施設の老朽化が進んだため、今後は投資的経費を増加させざるを得ない状況である。令和2年度における普通建設事業の急上昇は、学校再編事業に伴う義務教育学校建設の影響であるが、その後も公共施設等の長寿命化事業のため、しばらくは従来の水準を上回る状況が続く。◆現状としては比較的良好な状況であるものの、公債費の急激な上昇は不可避であることから、さらなる行財政改革の断行も検討しながら、中長期的視点に立って、基金及び地方債の計画的運用を行っていく必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

実質収支額は10%前後で推移してきたが、令和3年度は、町税等の収入増及びコロナ禍による不用額増により大きく伸びた。財政調整基金残高は、30%を超え、健全な財政状況を維持している。なお、前年度と比べ残高は増加したが、分母である標準財政規模が伸びたため、比率は減少している。また、実質単年度収支は実質収支の伸びにより黒字となったが、今後の公債費増に備え、基金積立等の対応を実施する。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

全ての会計において黒字となっている。国民健康保険事業特別会計は平成20年度から財政健全化対策会議を設置し、段階的に国民健康保険税の見直しを行った結果、黒字決算を継続することができている。水道事業会計では老朽管更新などで現金が減少傾向にあり、経営戦略を令和2年度で策定済である。一般会計においても公債費が増加していくことが確定的であるため、今後とも健全な財政運営を心がけていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

実質公債費比率は3年平均3.1%と前年度から0.2ポイント減少しており、依然として低い水準を保っている。本町は公営住宅建設事業債以外は原則的に交付税算入がある地方債のみを借り入れており、同比率が低く抑えられている。しかし、学校再編事業により多額の過疎対策事業債を発行したこと、また町営住宅長寿命化事業、一部事務組合の施設更新等、大規模事業についての借り入れが予定されていることから、今後は実質公債費比率の急激な上昇が見込まれるため、これまで以上に公債費の適正化に努めていく。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

将来負担比率については充当可能基金や基準財政需要額算入見込額の合計が将来負担額を超えていることから、将来負担比率は「数値なし」となっている。これは、後年度負担に備え、計画的な基金の積み立てを行ってきたことにより、充当可能基金が多いこと、また、交付税算入のある地方債を厳選して借り入れてきたことにより、基準財政需要額算入見込額が多額であること、以上の理由により、将来負担額を上回る充当可能財源を確保していることによる。しかし、近年大規模事業が続いていることから、地方債発行が急増し、基金残高が減少する傾向にあり、将来負担比率の上昇が見込まれるため、今後とも財政の健全化に努める必要がある。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)全般的に、後年度負担に備え、運用益や剰余金の範囲で積み立てた。なお、ふるさとづくり基金については、ふるさと納税収入145百万円を積み立てている。主な取崩については、ふるさとづくり基金で、ふるさと納税返礼品等に62百万円、地域振興基金で役場庁舎長寿命化事業に43百万円充当した。積立総額520百万円に対し、取崩総額177百万円であったため、基金残高総額は343百万円の増となった。(今後の方針)今後とも大型建設事業が続くため、地方債発行とのバランスを取りながら目的基金の取り崩しを行っていく。また、計画的な繰上償還のため、減債基金及び財政調整基金を一定程度取り崩す予定としている。中期的な視点からは基金残高が大きく減少していく予定であるため、今後とも経費節減や事務事業の見直しに努め、可能な限り積極的な積み立てに努めていく。

財政調整基金

(増減理由)運用益0.4百万円を積み立て、微増となった。(今後の方針)標準財政規模の30%超に相当する額であることから、過剰な基金積立額であるという懸念もあるが、塵芥ごみ処理施設の負担金が10年程度増加することと、学校再編事業の公債費増加に対応する財源としており、今後取り崩さざるを得ない状況であるため、大幅に減少する見込みである。しかしながら長期的には5億円以下にならない運用を心がける。

減債基金

(増減理由)運用益、余剰金等積立により残高704百万円、前年比47百万円の増となった。(今後の方針)公債費の増加に備え、財源確保の対策として、今後数回の繰上償還を計画していることから、その財源確保に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)地域振興基金については、基本的に町が行う地域振興事業のうち施設整備を目的としている。特定農業施設管理基金については、臨時石炭鉱害復旧法(昭和27年法律第295号)に基づく鉱害復旧事業で設置し、町が管理する井堰及び揚水機の維持管理を目的としている。地域福祉基金については、高齢者の保健福祉の増進を図ることを目的としている。事務OA化基金については、事務OA化を実施することにより、事務を円滑かつ効率的に行うことを目的としている。ふるさとづくり基金については「自ら考え自ら実践する地域づくり事業」を円滑に推進することを目的としている。現在の運用では主にふるさと納税等の寄附金を積み立て、目的に応じた事業の財源としている。(増減理由)地域振興基金は、役場庁舎長寿命化事業、学校再編事業等により77百万円取り崩したが、後年度の財政需要に備え、剰余金等を271百万円積み立てたため、増加した。事務ОA化基金についても、システムリプレース事業で18百万円取り崩したが、後年度の財政需要に備え剰余金等を50百万円積み立てたため、増加している。ふるさとづくり基金は、ふるさと納税収入145百万円を積み立て、大幅に増加した。(今後の方針)地域振興基金は町営住宅更新や公共施設長寿命化対策などに充てるため、減少は避けられない。また、事務OA化基金は、システム更新予定を把握し、必要額の積み立てを行っていく。ふるさとづくり基金はふるさと納税を積立てており、積立額に応じ、政策的事業を展開している。今後もふるさと納税収入の確保に取り組んでいく。その他の基金については、充当事業を厳選し、目的に沿った活用を行い、特に果実運用型基金については、基金の元本を減少させないように運用する。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和3年度は58.3%であり、大幅に改善した。全国平均-1.4ポイント、福岡県平均-5.5ポイントとそれぞれ下回っている状況である。これは、学校再編事業に伴う義務教育学校建設により、有形固定資産が増加したことと、同事業による施設の除却があったこと等に伴い、減価償却累計額が減少したことが主な要因である。その他施設の老朽化は今後も進行していくが、長寿命化工事や不要となった施設の解体を進めていくように努めていく。

債務償還比率の分析欄

令和3年度は414.9%であり、前年度と比較して165.0ポイント改善した。なお、全国平均-61.4ポイント、福岡県平均-216.8ポイントと低い水準である。改善の主な要因は、普通交付税の増により経常一般財源等が増加したことにより、分母の額が増加したためである。今後は、公共施設等の長寿命化事業による町債発行が続くため、数値の悪化が見込まれるが、世代間の負担のバランスに留意しながら、健全かつ持続可能な財政運営を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

町債発行の抑制や計画的な繰上償還の実施等により、将来負担額に比して充当可能基金や基準財政需要額算入見込額が多いため、将来負担比率はマイナスである。他方で、有形固定資産減価償却率については、これまで公共施設の更新や大規模改修が抑制されてきたことにより、高い値で推移してきたところであるが、学校再編事業に伴い、義務教育教育学校を新設し、一部の廃校施設を解体したこと等により、令和3年度の値は大幅に改善した。今後とも、将来負担とのバランスに留意しながら、公共施設等総合管理計画に基づき老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

町債発行の抑制や計画的な繰上償還の実施等により、将来負担額に比して充当可能基金や基準財政需要額算入見込額が多いため、将来負担比率はマイナスである。実質公債費比率についても、交付税算入のある起債メニューを厳選して借り入れ、また計画的に繰上償還を実施したこと等により、類似団体平均よりも低く抑えられている。今後は大型事業である学校再編事業(R1~R4)のために借り入れた過疎対策事業債の償還本格化により、一定程度比率が悪化することが見込まれる。また公共施設の老朽化対策による起債も予定されていることから、これまで以上に償還財源の確保を前提とした町債運用に留意していく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

【道路】の償却率は平均を大きく超えているものの、定期的な点検などを行い、適宜補修工事を実施している。【認定こども園・幼稚園・保育所】については、再編を検討・実行中であり、幼稚園は令和2年度末に廃園済み、保育所2園のうち1園については民営化を予定しているため、新たな投資を行っていない状況で、償却率が高くなっている。【橋りょう・トンネル】の償却率は、全国平均よりも20.0ポイント低い状況である。今後とも計画に沿って長寿命化を図っていく。【学校施設】については、令和3年度に小中学校全6校を廃校し、新規建設の義務教育学校1校に再編したことから、償却率が大幅に改善されたが、廃校施設の除却や利活用が課題として残っている。【公営住宅】は全国的に見ても老朽化が進行しており、本町でも同程度の償却率となっている。今後は採算ベースを考慮した更新を行っていく予定としている。なお、人口に比して管理戸数が多く、一人当たり面積は平均を大きく超えている。【公民館】については、平成11年に建設された比較的新しい建物であるため、平均値を下回っている。今後は設備更新、定期点検による早期保全の実施などで長寿命化を図っていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

【一般廃棄物処理施設】は一部事務組合により運用しており、かなり老朽化が進んでいるが、田川広域で運用する新施設が建設中であるため、改善される見込みである。【体育館・プール】は体育センターが昭和50年代に建設され、大きな改修を行っていないことから償却率が高くなっている。【福祉施設】【消防施設】の償却率及び一人当たり面積は、類団平均に近い値となっている。なお、福祉施設については、これまで付帯設備等の算入が漏れており、新たに算入したため数値が悪化した。【市民会館】の償却率については、これまで付帯設備等の算入が漏れており、新たに算入した結果、数値が悪化し、類似団体平均と同水準となった。今後は設備更新、定期点検による早期保全の実施などで、長寿命化を図っていく。【庁舎】の償却率については、全国・県平均よりもかなり高い状態である。庁舎以外の施設よりも優先順位が低くとらえられ、対策が後回しになってきたことが要因であるが、町行政の中枢であることから、行政運営に支障が生じることがないように、今後は積極的に保全を図っていく必要がある。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等の資産は1,916百万円の増(+9.6%)、負債は873百万円の増(+12.2%)となっています。資産の増については、義務教育学校建設によるものであり、負債の増についても当該建設にかかる地方債の増額が主な要因です。今後は、施設の老朽化により資産の減少が見込まれるとともに、各種公共施設の長寿命化事業に係る負債のさらなる増加が懸念されます。負債の増については、次世代への負担が過剰にならないように注視していく必要があります。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等では純経常行政コストが2,544百万円の減(△35.0%)、純行政コストが790百万円の減(△10.8%)となっています。内訳をみると補助金等が1,130百万円減となっており、特別定額給付金事業費の減がその主な要因です。また物件費が1,400百万円減となっていますが、これは工事請負費を資産と費用とに分ける基準を見直したことによる影響と新型コロナウイルス感染症対策事業を臨時損失に計上することとしたためです。なお、純経常行政コストと純行政コストの差1,754百万円は、退職手当引当金の計上漏れ(1,051百万円)及び先述の通り新型コロナウイルス感染症対策事業(703百万円)を臨時損失として計上したことによるものです。コロナ対策により、一定期間は行政コストが通常より高水準となることが考えられますが、今後とも人件費の抑制に努め、さらなる事務事業の効率化、経費節減を行うことで、行政コストの低減を図ります。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等では、税収等及び国県等補助金の財源(5,895百万円)が、純行政コスト(6,493百万円)を下回っているため、本年度差額は△598百万円となりました。一方で、今回固定資産台帳の点検整理を行った結果、本年度純資産変動額は1,042百万円の増となりました。近年、学校再編事業により、有形固定資産は増加しましたが、本町の公共施設は総じて老朽化が進んでいることから、今後は再び減少していく見込みです。今後とも公共施設等総合管理計画の考え方に沿って、長寿命化及び除却等を進めていく必要があります。なお、連結に係る本年度純資産変動額が令和元年度、令和2年度に大きく変動しましたが、これは令和元年度の連結作業に不備があったためです。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等では、前年度と比較して業務活動収支が543百万円の増、投資活動経費が1,134百万円の増、財務活動収支が1,507百万円の減となっています。業務活動収支の黒字については、「行政コストの状況」でも述べたように、物件費及び補助金等が大きく減少したことによるものです。また、投資活動収支の大幅赤字については、赤字幅は半減したものの、依然として学校再編事業等の公共施設等整備費支出が多額であること、また後年度の財政需要に備えて基金積立金支出が増加したこと等によります。最後に、財務活動収支の黒字は、学校再編事業等に伴う地方債発行収入が地方債償還支出を上回っていることによるものです。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、義務教育学校建設に伴い、前年度と比較して11.1%増加したものの、類似団体平均値の8割弱となっています。資産額が少ない要因は、老朽化した公共施設を数多く抱えており、償却期間を超過した建物が多いためです。歳入対資産比率については、類似団体と比較して△0.7ポイントとなっています。分子(資産合計)が増加し、分母(歳入総額)が減少したことにより、数値が増加しました。有形固定資産減価償却率は、学校再編事業に伴う義務教育学校建設により有形固定資産が増加したことと、同事業による施設の除却があったこと等に伴い減価償却累計額が減少したことにより、大きく改善されました。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体と比較して△10.0ポイント、前年度と比較して△0.8ポイントとなっており、近年減少が続いています。前年度と同様、義務教育学校建設に伴い、資産合計が増加しましたが、それに伴う純資産の伸びよりも、負債の伸びの方が大きかったため、結果として純資産比率は減少となりました。将来世代負担比率は、前年度と比較して若干減少となりましたが、地方債残高は大きく増加しており、さらに今後とも公共施設の長寿命化に伴い過疎対策事業債の発行が続く見通しであるため、将来世代負担比率の増嵩に注意しつつ、繰上償還等も視野に、計画的な地方債運用に努めてまいります。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、類似団体平均値と比較して+4.1万円、前年度と比較して△6.6万円となっています。特別定額給付金の減等により、前年度と比較して減少しましたが、退職手当引当金の計上漏れ(1,051百万円)を臨時損失として計上した特殊事情のため、類似団体平均を上回ったものと考えられます。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、今回初めて類似団体平均値を上回りました(+5.8ポイント)。退職手当引当金の計上漏れ(1,051百万円)が判明し、今回から計上することとしたため、負債額は大きく増加しました。旧来から、本町では地方債残高が類似団体平均よりも低く抑えられてきたところですが、近年の大型建設事業により、急激に増加しており、さらなる数値の悪化が懸念されます。今後はより一層投資的経費の抑制と地方債発行の厳選に努め、長期的視点に立った財政運営に努めてまいります。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は前年度と比較して+3.3ポイントとなり、平成29年度の水準に戻った形です。コロナ禍にあって減少していた使用料等収入が回復したことと、経常費用が平年度化したことが要因です。なお、今回からコロナ対策経費を臨時損失に計上したことも比率回復に影響しています。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,