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財政力指数の分析欄財政力指数は低下傾向である。和歌山県平均と比較すると0.18ポイント、全国平均とでは0.33ポイント低く、その差がわずかに大きくなった。近年の人口減少や高齢化率の上昇などの自治体運営にとって厳しい状況のなか、町税をはじめとする自主財源の増収が実現されていないのが現状である。現在、地域経済の振興を図る施策として、まちづくりに資する事業を総合的に推進しているが、その経済効果については即効性を望めるものではなく、財政運営の財源を交付税に頼る傾向が続いている。今後は、これまで主に過疎対策事業債を活用し実施してきた先述の事業を財政力の向上に確実に結びつけるとともに、税の徴収強化を推進し自主財源の確保に努める。 | 経常収支比率の分析欄平成27年度までは86%台前半で推移していたが、これ以降は年々上昇しており、類似団体との比較では平均値を上回る状況が続いている。特に近年は、経常費用の増加に対し地方交付税額が小さくなっていること等により、比率が高くなる傾向がある。比率が上昇している要因は年度毎に様々であり、平成27年度は、地方消費税交付金及び交付税の伸びにより0.1%減少。28年度は人件費が減少する一方で、物件費、公債費、補助費等の増加が影響し、経常費用が大きく伸びた。29年度89.2%に対して30年度は95.2%と6.0%増となっている。歳出では公債費、維持修繕費、物件費、人件費等が伸びる中にあって、歳入では普通交付税が減額し、経常収支比率が押し上げられている。令和元年度では、普通交付税に算入される公債費の増加に伴い、普通交付税は増額しているが、その他の収入(臨時財政対策債、税収等)が減額して、経常一般財源等は前年度とほとんど変わらず、一方で人件費が増額したこと等が要因となり経常収支比率が上昇した。なお、29年度において錯誤等による交付税の増額があったため、29年度の比率は実質より低い値が出ている。今後も引き続き、歳入面では税徴収率の向上をはじめとする財源の確保、歳出面では事業の精査、効率化により経常経費の抑制に努める。 | 人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄平成27年度まで上昇傾向にあったが、以降横ばいであり、類似団体と同様の傾向を示している。令和元年度と平成30年度を比較した場合、人件費に関しては特別職の給与改定等により増額し、物件費についても、消費税の増額に加え、学校給食の無償化により増額している。類似団体平均との比較では176,471円下回っているが、和歌山県平均とでは176,872千円上回る。今後においても、適正な定員管理による人件費の抑制と物件費等の上昇を抑え一層の行政コスト縮減に努める。 | ラスパイレス指数の分析欄平成23・24年度において、東日本大震災関係の財源確保のため国家公務員給与の減額措置が実施されたことにより、ラスパイレス指数が大きく上昇した。この措置は25年度に元に戻されたため指数は、再び90%台前半に戻り、以降低い値を維持していた。平成29年度に指数が上昇したのは、職務の級を変更(職務給5級から6級に改正)し、適用する給与月額が上昇したためである。令和元年度は職員の経験年数等の階層分布に変動があり、団体規模が小さいため指数が1.0低下した。 | 人口1,000人当たり職員数の分析欄平成25年度以降、人口千人あたり15人前後の値で徐々に増加傾向にあるが、特に職員を増員しているわけではなく、これは主に人口減少が影響してのことである。類似団体平均と比べると8.5人下回っており、比較的低い水準である。本町では近年、退職者数に対して新規職員採用人数を抑制したり、賃金支弁による雇用を推進していること等により、類似団体と比較して職員数は比較的抑制されている。ただし、現時点の職員数ですでに行政運営上に最低限必要な水準に達していると考えられるため、今後人口の減少が進むに従い当該指数の上昇は避けがたい。退職等による職員の入れ替わりの時期を見据えたうえで、各種業務に必要な人員を見極め、適正な人員確保及び定員管理に努めていく。 | 実質公債費比率の分析欄昨年度より0.6ポイント上昇しているが、類似団体平均を2.7ポイントを下回っており比較的良好な数値を示している。平成22年度以降、過疎債を活用し大型公共工事等を実施するとともに、緊急防災・減災事業債を活用する消防救急デジタル無線の整備等の事業を行ってきた。これらの大型事業に係る地方債借入れに対する償還額が増えてきているため、今後もこの傾向が続く見込みである。近年の金利低下により利子分が1,830千円減額するが、まちづくりに資する事業として実施してきた各種大型事業に係る元金償還の開始により元金償還が17,317千円増額している。今後は、大型事業の元金償還の重複時期を迎え、交付税に算入される公債費の上昇とともに実質公債比率が上昇することとなる。そのため、起債を充当する事業にあっては、補助金の有無、実施時期の調整、精査や見直しにより数値の抑制に努める。 | 将来負担比率の分析欄平成30年度までは、将来負担比率については、これまで数値として現れていない状況が続いていたが、現在まちづくりに資する事業として過疎対策事業債等を活用し、大型事業を実施していることから令和元年度において0.3%となった。今後は償還額の上昇に伴い上昇傾向を示すものと考えている。今後も将来推計等状況を把握しつつ、後世への負担を少しでも軽減するよう財源措置のない地方債の発行を抑制し、公営企業への繰出金の縮減に努めるとともに、新規採用者を計画的に採用することにより将来の退職手当支給額等を抑えていく。また、新規事業の実施についても慎重な精査を行うとともに、実施時期と財政バランスを考慮し、財政健全化を推進する。 |
人件費の分析欄平成30年度は前年度から0.6%上昇した。類似団体平均比較では5.8%、和歌山県平均を6.9%上回っている。27年度は退職者3人に対して採用1人、28年度は退職者8人に対して採用5人とするなど人件費の抑制に努めてきた。平成29年度においては退職者1人に対し3人を新規採用したため人件費は若干増加した。30年度では退職に係る調整負担金等が減額されたが、退職3人に対して新規採用6人となったため増額している。令和元年度には特別職の給与改定等を行ったため、人件費が増加している。また、人件費の占める割合は財政規模の小さい団体ほど高くなる傾向にあるが、類似団体内順位では、64団体中平成28年度の50位から45位に上昇しており、人件費抑制施策の効果が表れている。当町は、これまで徹底した財政改善策を実施、特別職の給料削減及び期末手当廃止、職員の調整手当廃止、町議会議員期末手当の廃止、管理職手当の削減、職員給料改定による削減等を実施してきている。 | 物件費の分析欄物件費は近年上昇傾向を示している。令和元年度は前年度より2.0%上昇して22.9%となる。主な物件費としては、町内じゅんかんバスの運行経費、電算システム、インターネット等運用経費、施設の管理をはじめとする行政運営経費等が挙げられる。今年度は消費税の増額や、学校給食の無償化により物件費の上り幅が多きくなった。当町では職員の雇用抑制として賃金支弁による臨時職員の雇用を行っているため人件費の抑制と引き替えに物件費が上昇している。これが要因となり、類似団体平均より7.6%、和歌山県平均より9.4%高い数値となり、その差は前年度以前よりも大きくなった。物件費については、日々の行政運営を行うなかで経常費用の点検を行い、歳出削減に努める。 | 扶助費の分析欄各年度ごとに多少の増減があるがほぼ一定の値である。類似団体平均と比較した場合1.2%上回っており、和歌山県平均に対しては6.9%下回る。年度毎の推移状況は、類似団体においても似た傾向を示している。令和元年度も引き続き就学児医療費助成事業等を町単独で実施する等しながらも、前年度より障害福祉サービス等の利用が減少し、10,052千円減額した。当町の事業等の数値構成をみると、障害福祉サービス費等及び老人福祉施設入所措置費が大半を占めている。今後も高齢者人口の増加等により上昇傾向が続く見込みである。 | その他の分析欄近年は上昇傾向にある。類似団体平均を3.4%上回っている。平成29年度の繰出金は、介護保険、後期高齢者医療で増加したが一方で、下水道事業、くじらの博物館への繰出金が減少し差引きで減少となったため、一時的に僅かな率が減少したが、30年度は再び元の率に戻っている。今年度は一人あたりの医療費(または介護費)が増加しており、国保、後期高齢者医療保険、介護保険事業会計への繰出金がどれも2~3百万円ほど増加している。今後は、下水道事業の経費節減を推し進めるとともに、料金の見直し等を検討する等し、特別会計への繰出の抑制に努めていく。 | 補助費等の分析欄近年は若干の上昇傾向にあったが、令和元年度は減少した。類似団体平均比較では5.9%、和歌山県平均比較では5.3%下回っている。平成27年度に26年度と比べて1.0%上昇したことについては、社会福祉協議会への助成及び清掃費における一部事務組合への補助金によるもので、28年度は、国民宿舎事業への補助が皆減する中にあって、社会福祉協議会への助成が更に伸びるなどしたため上昇を示している。29年度、30年度も同様の決算状況である。今年度は、学校給食を無償化したため、これまであった給食費補助金がなくなる等し、値が0.7%下がった。団体内順位では、昨年度・本年度ともに64団体中12位と比較的上位である。今後も各種団体への補助金等を毎年見直すなど適正化する。 | 公債費の分析欄平成27年度以降公債費の上昇が続いている。類似団体より1.0%、和歌山県平均より1.1%下回っており、その差は徐々に小さくなっている。上昇の要因は過疎債を活用し規模の大きいまちづくり事業を継続的に実施しながら、緊急防災・減災事業債を活用した各防災対策事業等を実施してきたため、これに係る元金償還額が上昇しているからである。前年度との比較では、近年の金利低下により利子分が1,830千円減額するが、まちづくりに資する事業として実施してきた各種大型事業に係る元金償還の開始により元金償還が17,317千円増額(前年度は23,788千円の増額)している。年度間で事業実施時期の調整を行う等して、借入れの集中により財政を窮迫することのないよう、慎重な財政運営を行っていく。 | 公債費以外の分析欄令和元年度は前年度より1.6%上昇しており、近年は上昇が続いている。類似団体平均より12.1%高く、その差が開きつつある。当町における数値の推移は、26度まで類似団体と同じような状況にあったが、27年度以降はその差が大きく開く。令和元年度では、物件費及び人件費の増額その要因となっている。費目ごとの類似団体内の順位では、人件費は64団体中45位、物件費は56位となっている。今後も各費目において数値変動に注意し、その要因を分析するとともに、数値抑制に向けた取り組みを進めていく。 |
議会費労働費消防費諸支出金総務費農林水産業費教育費前年度繰上充用金民生費商工費災害復旧費衛生費土木費公債費 |
目的別歳出の分析欄各費目の決算額は前年度の実績に対して、議会費、民生費、商工費、土木費、災害復旧費等が減少した。一方で、総務費、衛生費、農林水産業費、消防費、公債費が大幅に増加している。総務費では、前年度からの繰越事業である森浦整備事業(252,134千円、補助事業)、特別職の給与改定(増額)等が主な要因となり、前年度は投資的事業が控え目だったことも影響して大きく増加した(290,133千円増額)。また、消防費では防災行政無線デジタル化整備工事のため198,728千円を支出している。これにより消防費は前年度から増加(199,855千円増額)した。次に衛生費について107,931千円増額しており、これの要因は水道事業会計に対する出資(100,000千円)である。老朽化した配水池を建替えるため、過疎債を財源に出資した。加えて、塵芥処理施設の分別施設整備工事(10,291千円)を実施し、維持修繕費用は減少(17,068千円減額)しているものの衛生費合計は増加している。民生費は平成30年度の歳出合計801,080千円に対して、令和元年度は730,086千円となり70,994千円減少している。内訳をみると、社会福祉費では、国保会計繰出金が増加(2,330千円増加)している(被保険者数が減少しながらも、医療費は増加)。また前年度は地域福祉センターの整備のため214,338千円を支出した。本年度も引き続き地域福祉センターの整備を行ったが支出額は93,445千円であり、大幅に減額(120,983千円減額)している。また、扶助費については、障害児通所サービス費が利用者の減少により前年度より減少(8,451減額)している。一方で老人福祉費は増加(7,970千円増額)している。要因として、介護保険及び後期高齢者医療保険事業への繰出金の増加(それぞれ3,998千円、2,155千円増額)が挙げられる。こちらも国保会計と同様に、医療費(または介護費用)の増加がその要因である。次に児童福祉費では、特にこども園における普通建設事業費が増加した。本年度は災害時発電装置を整備する等して39,265千円支出し、36,295千円増額した。以上のように老人福祉費、児童福祉費では歳出の増加があったものの、社会福祉費において前年度に実施した普通建設事業との差額で民生費全体では減少(70,994千円減額)した。その他、公債費が増額(15,575千円増額)しており、要因はまちづくりに資する事業のための地方債(過疎対策事業債)の償還額が近年増加を続けているためである。償還金の顕著な増加傾向は令和7年度から10年度頃をピークにして今後も続く見込みであり、これを踏まえて事業を計画する。 |
人件費補助費等災害復旧事業費投資及び出資金物件費普通建設事業費失業対策事業費貸付金維持補修費普通建設事業費(うち新規整備)公債費繰出金普通建設事業費(うち更新整備)積立金前年度繰上充用金 |
性質別歳出の分析欄歳出合計は平成30年度2,487,704千円に対して令和元年度は3,015,180千円となり527,476千円増額した。扶助費や維持修繕費等を除き、多くの項目で前年度から支出額が増えている。義務的経費については、特別職の給与改定等により人件費が増額、扶助費は障害児通所サービス等の利用が減少したため減額し、一方で公債費が年々増額している。まちづくりに資する各種大型事業に係る元金償還の開始により元金償還額が17,317千円増額した(前年度は23,788千円の増額)。投資的経費について、近年の主な事業を挙げると、補助事業ではまず28年度に着手した道の駅整備事業の大部分が翌年度へ繰越しとなり29年度に200,992千円を計上した。30年度には森浦湾整備事業を実施したが大部分を翌年度に繰越している。単独事業については、29年度にこども園建設事業545,691千円を実施し、30年度に旧梛施設の福祉機能を強化した改修工事214,338千円(一部繰越)を実施した。令和元年度には災害復旧事業費が皆減したが、森浦湾整備事業、防災行政無線デジタル化整備事業等の実施により前年度から386,639千円増額している。その他の経費では、前年度に塵芥処理施設の修繕費が多かったことと、台風等による修繕もあり、令和元年度には維持修繕費が減少している。物件費は、消費税の増額、並びに学校給食の無償化等の影響で増額した。補助費等は、次年度の会計年度任用職員制度導入に関連した臨時職員に対する退職報償金の支払等により24,782千円増額した。繰出金は、公共下水道事業会計に対して減少したが、国保事業、後期高齢者医療保険事業、介護保険事業会計に対しては増加している。下水道事業会計では、人員配置や泥処理設備を導入により処理費用を抑制している。令和元年度は前年度と比べて投資的経費の増加が顕著で、行政コストも年々増額している。 |
基金全体(増減理由)基金現在高について、全体額(土地開発基金を除く)で平成30年度1,503,319千円に対して令和元年度1,448,744千円となり54,575千円減額した。内訳としては、財政調整基金と減債基金を合わせて50百万円減額、特定目的基金のうち石垣記念館運営積立基金が4百万円減額している。現在、まちづくりに資する事業を積極的に行っており、起債に加え状況に応じて基金を活用している。(今後の方針)基金の適正な積立額について、適正と考える対標準財政規模比等はないが、今後まちづくりのために活用していくため、将来的には取り崩していくこととなる。基本的な考え方としては、負債(主に地方債)を担保する基金を確保したいと考えており、将来の世代に負担を残さないために基金を運用する。現時点ではその他特定目的基金については今後積極的に積立額を増やす予定はなく、それほど大きく基金残高は増減しないと思われる。現在、各種施設の建設等、まちづくりに資する事業を主に地方債を財源として進めているため、将来の償還に備えて可能な限り減債基金の積立額を増やしていく。 | 財政調整基金(増減理由)令和元年度は「森浦湾整備事業」、「防災行政無線デジタル化整備事業」等を実施したこと等により普通建設事業費が大幅に増額し、決算剰余金を積み立てることができず、取崩額が積立額を上回った。(今後の方針)今後も、まちづくりに資する事業費の増加が見込まれるため、この財源として積み立てる。また事業の実施に伴い地方債の借入れが増えており、将来の償還開始に備えて、減債基金への振替えも想定している。決算状況が許す限り積立てることが望ましいが、少なくとも基金残高が大きく減少することがないように運用していく方針である。 | 減債基金(増減理由)平成22年度以降、過疎債や緊急防災・減災事業債を活用し、まちづくりに資する事業を実施してきた。これらの地方債償還額が年々増加しており、今年度は減債基金を取り崩すこととなった。(今後の方針)現在の地方債残高が約39億円で前年度末から6億円増加した。地方債借入額の約8割について地方交付税の収入を見込んでおり、残りの一般財源負担が約7.8億円となる。現時点では、この一般財源部分の額を積立額のおおよその目標とする。ただし、現在、各種施設の建設等、まちづくりに資する事業を地方債を財源として進めているため、可能な限り積立額を増やすことが望ましいが、事業実施の可否等ついては財政状況を見極め、総合的に判断するため目標値は事業の実施状況によって変動する。 | その他特定目的基金(基金の使途)「塵芥処理場建設資金基金積立金」は新たに塵芥処理場を建設するための財源を積立てることを目的としているが、当初の建設計画が変更となったため、現時点では具体的な使用予定はない。「石垣記念館運営積立金」は太地町石垣記念館の運営費用に充てることを目的としている。太地町ふるさと創生事業積立金は太地町の歴史、伝統、文化、産業等を活かし、独創的、個性的な地域づくりを行うふるさと創生事業の財源を積み立てる。「太地町地域福祉基金積立金」は高齢化社会における高齢者の在宅福祉の向上、健康づくり、ボランティア活動の活発化等図るため民間団体が行う高齢者保健福祉推進事業に、この基金から生ずる運用益金でもって助成することを目的とする。「太地町福祉基金」は高齢化社会における地域福祉活動の促進、生活環境の形成等図ることを目的とする。(増減理由)「石垣記念館運営積立金」からは当記念館の運営費に充てるため、毎年度約4~5百万円を取崩している。(今後の方針)その他特定目的基金については今後積極的に積立額を増やしてく予定はなく、地域振興及び地域福祉の充実等を実現するため、これらの限られた財源を最大限有効に運用していく。 |
有形固定資産減価償却率の分析欄本庁舎をはじめとして、既に多くの施設が建設から相当の年数が経過している。修繕等による長寿命化を施設管理の基本方針としているため、今後も減価償却率の上昇が見込まれる。ただし、全体的に減価償却率が高い中にあって、防災・消防施設については防災施策を推進してきた結果として減価償却率が低くなっている。その他の施設のうち一部は、津波対策の施設移転等が必要であり、平成29年度末に、幼稚園と保育所を高台に移転させる形で、新たにこども園を建設した。このような方策により、今後の減価償却率の上昇は抑制される見込みである。平成29年度に減価償却率が大幅に低下しているのは、固定資産台帳を修正したためである。 | 債務償還比率の分析欄現在、まちづくりのために投資的な事業を積極的に進めており、財源として地方債を活用している。このため、自治体規模に対して実質債務の額が高く、上昇を続けており、債務償還比率が類似団体と比較して高くなっていると考えられる。ただし、地方債の借入れについては、基金残高や、経常収支比率等の指標を参照し、適切な範囲で行っている。 |
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析将来負担額のうち、大半を「一般会計等に係る地方債の現在高」が占めている。道路新設等の大型事業の実施に伴う起債により、平成25年度以降、地方債残高の上昇が顕著である。今後数年間はまちづくりのための投資的事業を積極的に行うため、増額傾向の継続が見込まれる。ただし、起債に際しては財政措置率の高いものを選択しているため、基準財政需要額算入額が増加する。昨年度までは充当可能財源等が将来負担額を上回っていたが、今年度において、はじめて将来負担比率が数値化された。今後も、地方債を活用する方針であるため、将来負担比率は更に上昇する。有形固定資産減価償却率の高さが示すとおり、本庁舎をはじめとして多くの公共施設が建設から相当の年数が経過している。一方で観光開発等を積極的に行っており、新規施設整備事業を推進しているが、これと並行して災害に対応した施設整備も進めていかなければならない。新規の投資的事業の実施にあたっては、既存の公共施設の維持コストとのバランスに配慮しながら推進していく。 |
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分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析実質公債費比率は近年減少傾向を示していたが、平成22年度以降まちづくりのための投機的事業のため過疎債を中心に多額の借入れを行っており、平成29年度より元金償還額が大幅に増加している。これにより今後、実質公債費比率は上昇が続く。また、「公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還に充てたと認められる繰入金」について、国民宿舎事業の会計廃止により26年度で償還が完了し、現在は下水道事業のみとなっている。下水道事業においては、近年借入れがないことから償還額は減少しているが、下水道施設の老朽化が懸念事項となっている。将来負担比率については先述のとおり、主に地方債の借入れにより今後の上昇が見込まれるため、新規事業の実施についてはより慎重に判断していく。 |
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道路橋りょう・トンネル公営住宅港湾・漁港認定こども園・幼稚園・保育所学校施設児童館公民館 |
施設情報の分析欄類似団体との比較では、特に公営住宅、港湾・漁港施設、学校施設の減価償却率が高い。公営住宅は町内に2箇所あり、今後も随時補修を行うことにより長寿命化を図る。港湾・漁港施設も建設から年数が経っているが、平成27年度に、太地漁港機能強化策定事業として現状の機能を検査し、平成28年度には漁港施設の老朽箇所を把握するための点検を実施したうえで、「漁港機能保全計画」を策定した。この計画に基づいて、昨年度に引き続き改修及び補強工事を実施した。今後も同様に、順次改修を進めていくことで減価償却率は下がる見込みである。幼稚園、保育所の園舎は老朽化が進み、平成28年度までは減価償却率が高かったが、この2施設を統合する形で平成29年度末に新しいこども園が完成したため、減価償却率は大きく低下した。学校施設については、現在小・中学校が一校ずつある。特に小学校は建設から年数が経過していること等から、今後、中学校との統合を検討していく。また、人口に対して各種施設が多過ぎるという状況ではないため、今後は施設数を維持しつつ長寿命化を図ることを施設管理の基本方針とする。 |
図書館体育館・プール福祉施設市民会館一般廃棄物処理施設保健センター・保健所消防施設庁舎 |
施設情報の分析欄近年、防災施設の整備を積極的に進めてきたことから、消防施設等の減価償却率はその他の施設と比べて大幅に低くなっている。一方で、庁舎は他のすべての施設の中でも特に建築年が古いことから老朽化が目立つ。また海に隣接して建っていることから、津波対策として移転等の検討が必要である。また、一般廃棄物処理施設は、ごみ処理による機械設備類の摩耗が著しく、経常的に機械等の修繕や取替が必要であるため、他の施設と比較し維持コストが高くなっている。今後は廃棄物処理のコスト低減を実現するため、ごみ処理方法の変更を検討し、これに合わせて施設の改修を進めていく。令和元年度には老朽化したごみの分別処理施設を改修したことから、減価償却率の上昇が抑制されている。 |
資産合計負債合計 |
1.資産・負債の状況一般会計においては、資産総額のうち有形固定資産の割合が約78%となり前年度より僅かに増加した。有形固定資産が前年度から460百万円増加しており、これの主な要因は、前年度から繰越した森浦湾整備事業が完成したこと等による。建物の資産額5,515百万円に対し、建物減価償却累計額は△3,160百万円であり、近年新規の施設整備を進めているとはいえ、大半の建物は建設からかなりの年数が経過している。このため、今後は維持管理・更新等の費用が多く発生すると見込まれる。施設管理計画において、修繕等による長寿命化を図ることを基本方針としているため、今後も減価償却率は上昇していくことが予測される。一方、負債の部については、地方債残高が固定・流動負債あわせて3,865百万円であり、前年度末から540百万円増加している。主な新規地方債の借入れの内容は、「森浦湾整備事業」のための183百万円、「防災行政無線デジタル化整備事業」のための199百万円などが挙げられ、地方債の残高は前年度に引き続き増加している。今後も継続して、施設整備を進める計画があるため、地方債の増加傾向は続くと予想されるが、流動資産と流動負債を比較すると、流動資産の方が多くなっているため、現時点で財務の安全性は保たれていると思われる。また、前年度末から純資産の額がやや減少していることから、地方債により負債が増加し、純資産の多くを固定資産に投資している状況であることが読み取れる(資産合計のうち固定資産の占める割合は92%と高い)。 |
純経常行政コスト純行政コスト |
2.行政コストの状況前年度と比較すると、新規取得の固定資産により減価償却費が増加(253百万円から266百万円に増額)し、令和元年度は人件費の増加(前年度比123百万円増加)や、他会計への繰出金も増加(特に介護保険事業)しため、純行政コストは増加した(前年度比+83百万円)。経常費用1,973百万円のうち266百万円が減価償却費となっており、過年度に取得した固定資産により、実質的に年間約2.7億円の費用がかかっていることを示している。また、令和元年度の施設整備等への投資額が減価償却費の2.6億円を上回っていることから、施設の老朽化以上に設備投資を実施しており、この傾向が継続している。純資産変動計算書によると、純行政コス1,844百万円に対し税収・補助金等の財源が1,850百万円(前年度比で税収等の額に大きな増減はなく、資本的国県補助金が大幅に増加している)であり、収支がわずかにプラスで均衡している。 |
本年度差額本年度末純資産残高本年度純資産変動額 |
3.純資産変動の状況純資産残高が前年度との比較で4,239百万から4,261百万円に増加した(前年度は減少していた)。行政コストに対し税収・補助金等の財源は1,850百万円(前年度比+143百万円、資本形成に係る国庫補助金の大幅な増加が主な要因)となり、収支はわずかにプラスとなった。令和元年度中に森浦湾整備事業を実施したこと等により、有形固定資産の額が増加している。これは地方債の発行による資産形成であるため、純資産のうち固定資産等形成分が8,547百万円、純資産不足分が△4,286百万円となり3年連続して不足額が大きくなった。純資産の額が前年度末よりやや減少していることから、資金の多くを固定資産へ投資していることが読み取れる。 |
業務活動収支投資活動収支財務活動収支 |
4.資金収支の状況令和元年度の一般会計において、業務活動収支は114百万円であり、前年度から50百万円減少したが、通常の行政サービスの財源は確保された状況を保っている。投資活動収支は△643百万円で、令和元年度は森浦湾整備事業等の投資を行ったことから、固定資産への投資が増えた。年度間で比較すると投資額に増減はあるものの、積極的に施設整備等を進めていることは一貫しており、これに同調するように地方債の発行収入額も推移している。財務活動収支については先述の事業の資金調達のために新規の地方債を発行したため、償還支出の245百万円を上回る786百万円が収入に計上され、541百万円のプラスとなった。投資活動については、「森浦湾整備事業」を実施したこと等から収支は△643百万円とマイナスが大きくなった。以上により、積極的に施設整備に投資していることを示す結果となりながら、本年度末の現預金残高は122百万円となり、前年度末とほぼ同程度を確保している。 |
①住民一人当たり資産額(万円)②歳入額対資産比率(年)③有形固定資産減価償却率(%) |
1.資産の状況令和元年度末時点で、資産総額のうち78%を有形固定資産が占めている。これらの有形固定資産の多くは、建設から相当の年数が経過した施設である。よって、本庁舎をはじめ、建物全般の減価償却率は類似団体と比較すると高い。住民一人あたりの資産額が比較的低いのは、各施設の老朽化(減価償却)が進んでいることが一因として挙げられる。また一方では、町の面積が小さいため、無駄の少ない施設配置ができていることの表れとも考えられる。なお、令和元度中に森浦湾整備事業等を実施し、前年度より固定資産の額が増加している。 |
④純資産比率(%)⑤将来世代負担比率(%) |
2.資産と負債の比率社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、類似団体平均より高い数値を示している。これと関連して純資産比率に目を向けると、地方債を財源として施設整備を進めている結果、資産合計に対する純資産の比率が比較的低い。以上を考え合わせると、現在保有している資産は地方債等の将来世代の負担が少なくない財源に依っているものが多い傾向にあるといえる。今後も、まちづくりに資する事業(施設整備)を実施するにあたり、地方債の活用を続けていく方針であるため、地方債発行残高は更に増加する見込みである。新規の投資的事業の実施にあたっては、既存の公共施設の維持管理にかかる財政負担とのバランスに配慮し、将来世代に負担が偏ることのないよう計画する。 |
⑥住民一人当たり行政コスト(万円) |
3.行政コストの状況当町は面積が狭く、このため効率良く行政サービスの運用ができていることが、行政コストが比較的低いことの一因であると考えられる。減価償却費が増加傾向にあるが、人件費や他会計への繰出金が増加するなどして、純行政コストは増加しているが、類似団体平均との比較においては、住民一人当たりの行政コストはかなり低い水準を保っている |
⑦住民一人当たり負債額(万円)⑧基礎的財政収支(百万円) |
4.負債の状況負債のうち地方債については、平成25年度の過疎債借入れ以降、増加傾向が継続しており、今後も地方債を活用し、まちづくりに資する事業(施設整備)を積極的に実施していくため、更なる負債の増加が予測される。令和元年度においては森浦湾整備事業等の資産形成のために新たに地方債を発行している。現時点で、類似団体平均との比較においては、住民一人あたりの負債額は低い数値を示していることから、地方債の発行状況は健全なものであると考えられる。ただし、新規の投資的事業の実施にあたっては、将来世代に負担が偏ることのないよう計画する必要がある。 |
⑨受益者負担比率(%) |
5.受益者負担の状況受益者負担比率は類似団体平均を下回る。経常収益のうち使用料・手数料については、料金値上げ等による増収がほとんど望めない状況であるため、歳出の面から、老朽化した施設の維持管理を適正な方法で行い、可能であれば減少した人口に見合った規模の施設へと集約・縮小するなどして維持費等の経常費用の削減に努める。 |
出典:
財政状況資料集
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統一的な基準による財務書類に関する情報
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