北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

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地方財政ダッシュボード

和歌山県太地町の財政状況(2020年度)

🏠太地町

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は低下傾向である。和歌山県平均と比較すると0.18ポイント、全国平均とでは0.33ポイント低く、その差に変化はなかった。近年の人口減少や高齢化率の上昇などの自治体運営にとって厳しい状況のなか、町税をはじめとする自主財源の増収が実現されていないのが現状である。現在、地域経済の振興を図る施策として、まちづくりに資する事業を総合的に推進しているが、その経済効果は即効性が小さいため、財政運営の財源を交付税に頼る傾向が続いている。今後は、これまで主に過疎対策事業債を活用し実施してきた先述の事業を財政力の向上に確実に結びつけるとともに、税の徴収を強化し、自主財源の確保に努める。

経常収支比率の分析欄

平成27年度までは86%台前半で推移していたが、これ以降は年々上昇しており、類似団体との比較では平均値を上回る状況が続いている。令和2年度においても公債費が増加が継続しているが、これに伴い普通交付税も同様に増額しており、更に税の滞納分徴収により税収が増加する等して、比率が若干改善している。なお、29年度において錯誤等による交付税の増額があったため、29年度の比率は実質より低い値が出ている。今後も引き続き、歳入面では税徴収率の向上をはじめとする財源の確保、歳出面では事業の精査、効率化により経常経費の抑制に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

平成27年度までの上昇傾向の後は横ばいだったが、再び上昇傾向を示している。令和2年度と前年度を比較した場合、会計年度任用職員制度の導入に伴う人件費の増加と、ふるさと納税に関する業務委託の開始等により指標が上昇している。前年度の上昇要因は消費税の増額、学校給食の無償化、特別職の給与改定等であった。類似団体平均との比較では166,210円下回っており、人口が減少していることを考えあわせると、適正な水準を保っていると考えられる。今後も適正な定員・事業管理のもと、行政コストの縮減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

平成23・24年度において、東日本大震災関係の財源確保のため国家公務員給与の減額措置が実施されたことにより、ラスパイレス指数が大きく上昇した。この措置は25年度に元に戻されたため指数は、再び90%台前半に戻り、以降低い値を維持していた。平成29年度に指数が上昇したのは、職務の級を変更(職務給5級から6級に改正)し、適用する給与月額が上昇したためである。令和2年度は職員の経験年数等の階層分布に変動があり、団体規模が小さいことも影響し指数が1.1上昇した。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成25年度以降、人口千人あたり15人前後で徐々に増加傾向にあるが、職員を増員しているわけではなく、これは主に人口減少が影響してのことである。類似団体平均と比べると7.9人下回っており低い水準である。退職者数とのバランスを考慮して新規職員採用人数を調整してきたが、現時点で職員数は行政運営に最低限必要な水準に達しているため、今後は人口の減少が進むに従い当該指数は上昇していくと思われる。退職による職員の入れ替わり時期を見据えたうえで、各種業務に必要な人員を見極め、適正な人員確保及び定員管理に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

前年度より0.4ポイント上昇しているが、類似団体平均を2.9ポイント下回っており比較的良好な数値を示している。平成22年度以降、過疎債等を活用し大型公共工事等を実施してきた。これらに係る償還額が年々増加しており、令和10年度前後までこの傾向が続く見込みである。今後は、大型事業の元金償還の重複時期を迎え、交付税に算入される公債費の上昇とともに実質公債比率が上昇することとなる。よって起債を充当する事業については、補助金の有無、実施時期の調整、見直しにより数値の抑制に努める。

将来負担比率の分析欄

平成30年度まで将来負担比率は数値として現れない状況が続いていたが、現在まちづくりに資する事業として過疎対策事業債等を財源にして大型事業を実施していること等が要因となり、前年度0.3%、令和2年度には13.9%となった。償還額の増加に伴い今後も上昇傾向が続く見込みである。将来推計を適正に把握し、後世への負担を軽減するよう財源措置のない地方債の発行を抑制し、公営企業への繰出金の縮減に努めるとともに、新規採用者を計画的に採用することにより将来の退職手当支給額等を抑えていく。また、新規事業の実施についても慎重な精査を行うとともに、実施時期と財政バランスを考慮し、財政の健全化を推進する。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

前年度から4.5ポイント上昇し、類似団体を8.7%上回っている。令和元年度の特別職の給与改定、令和2年度の会計年度任用職員制度の導入などにより人件費が増加している。これまで特別職の給料削減及び期末手当廃止、町議会議員期末手当を廃止する等してきたが、支給を再開することで今後更に増加する見込みである。

物件費の分析欄

主な物件費は、町内じゅんかんバスの運行経費、電算システム、インターネット等運用経費、施設の管理をはじめとする行政運営経費等がある。前年度は消費税の増額や、学校給食の無償化により物件費が増加したが、令和2年度は会計年度任用職員制度を導入したため、賃金だったものが報酬として計上される等して物件費が減少した。類似団体と比べて、従来は人員のうち賃金支弁者の割合が大きかったが、これが解消され平均との差が小さくなっている。物件費については、日々の行政運営を行うなかで経常費用の点検を行い、歳出削減に努める。

扶助費の分析欄

各年度ごとに多少の増減があるがほぼ一定の値である。類似団体と比較すると0.8ポイント上回っている。令和2年度も引き続き就学児医療費助成事業等を町単独で実施する等しながら、前年度より障害福祉サービス等の利用も増加したが、一方で児童手当、老人福祉施設入所措置費が減少している。扶助費を占める事業の構成は、障害福祉サービス費等、児童手当及び老人福祉施設入所措置費が主なものである。令和2年度は減少したが、高齢者人口の増加等により今後は上昇傾向が続く見込みである。

その他の分析欄

平成29年度の繰出金は、介護保険、後期高齢者医療保険で増加したが、一方で下水道事業、くじらの博物館への繰出金が減少し差引きで比率は一時的に減少した。令和2年度は、後期高齢者医療保険事業、介護保険事業への繰出金が増加しているが、一方で塵芥処理施設の修理費等が減少し、比率が改善された。今後は、下水道事業の経費節減を進めるとともに料金の見直し等を検討し、特別会計への繰出の抑制に努めていく。また、塵芥処理施設の運営コストを下げるよう、ごみの処理方法を変更する。

補助費等の分析欄

近年は若干の上昇傾向にあったが令和2年度は減少した。類似団体を6.5%下回る。主な補助費等は、社会福祉協議会への助成金、清掃費における一部事務組合の負担金等である。前年度は、学校給食を無償化したため、これまであった給食費補助金が無くなるなど減少し、令和2年度は保育の措置費用、し尿処理に係る負担金等が減少している。今後も各種団体への補助金等を毎年見直すなど適正化する。

公債費の分析欄

上昇が続いており、類似団体との差がなくなった。過疎債を財源とするまちづくり事業を継続しながら、緊急防災・減災事業債を活用した各防災対策事業を実施してきたことが要因である。前年度との比較では、近年の金利低下により利子分が1,353千円減額するが、各種大型事業に係る元金償還の開始により元金償還が19,201千円増額(前年度は17,317千円の増額)している。年度間で事業実施時期の調整を行う等して、借入れの集中により財政を窮迫することのないよう、慎重な財政運営を行っていく。

公債費以外の分析欄

令和2年度は前年度より3.0ポイント減少したが、類似団体平均よりは9.6ポイント高い。26年度までは類似団体と同じように推移していたが、27年度以降はその差が大きくなりはじめた。前年度では、物件費及び人件費の増額その要因となっている。令和2年度では類似団体内の順位は、人件費は67団体中55位、物件費は53位と低い。今後も各費目において数値変動に注意し、その要因を分析するとともに、数値抑制に向けた取り組みを進めていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

各費目の決算額は前年度の実績に対して、議会費、民生費、衛生費が減少し、その他はすべて増加している。総務費では、特別定額給付金事業(事業費302,891千円、補助事業)をはじめとした新型コロナウィルス対策費用を支出したこと、ふるさと納税業務委託料(14,929千円)等が新たに計上されたこと等により増加した。また、消防費では防災行政無線デジタル化整備事業の繰越分を実施し、さらに駅舎防災複合施設を建設する等したため増加した。衛生費では、新型コロナウィルス対策事業を行い、当該分の支出が増加しているが、一方で水道事業会計への出資金(建設改良に係るもの)が273,797千円減額する等して、合計で衛生費は減少している。民生費は前年度から31,955千円減少した。内訳をみると、社会福祉費では、前年度に実施した地域福祉センター改修事業費が減少している。老人福祉費では、介護保険事業への繰出金が大幅に増額した(17,413千円の増)。次に児童福祉費では、前年はこども園に非常用発電機を整備する普通建設事業を実施したため、令和2年度は減少している。以上のように老人福祉費は増加したものの、社会福祉費、及び児童福祉費がの投資的経費が減少し、民生費全体では減少(110,551千円減額)した。その他、公債費が増額(17,953千円増額)しており、要因はまちづくり事業の財源とした地方債(過疎対策事業債)の償還額が増加を続けているためである。償還金の顕著な増加傾向は令和10年度前後に至るまで継続する見込みであり、これを踏まえて事業を計画していく。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出合計は令和元年度3,015,180千円に対して令和2年度は3,703,558千円となり688,378千円増額した。義務的経費については、児童手当、老人福祉施設入所措置費等が減少したため扶助費は減額したが、一方で会計年度任用職員制度の導入により人件費が増額した。公債費は年々増加が続いており、大型のまちづくり事業の財源とした地方債の元金償還により令和2年度は償還額が19,201千円増額した(元金分、前年度は17,317千円の増額)。投資的経費について、近年の主な事業を挙げると、補助事業では28年度に着手した道の駅整備事業の大部分が翌年度へ繰越しとなり29年度に200,992千円を計上した。30年度には森浦湾整備事業を実施し大部分を令和元年度に繰越している。単独事業については、29年度にこども園建設事業(545,691千円)を実施し、30年度には宿泊施設(梛)を地域福祉センターに改修する事業(214,338千円(一部繰越))を実施した。令和元年度には防災行政無線デジタル化整備事業を行った。その他の経費で主なものは施設修繕費である。令和30年度は塵芥処理施設の修繕費が多かったことと、台風等による修繕が重なったため、令和元年度には相対的に維持修繕費が減少し、令和2年度には塵芥処理施設の修理費は更に減少した。物件費は、令和元年度中の消費税の増額、並びに学校給食の無償化等の影響で増額していたが、令和2年度には会計年度任用職員制度の導入により賃金が減少し、更に新型コロナウィルス感染症の流行の影響で旅費が大きく減少したこと等が重なり減少した。補助費等は、臨時的なものが増加しており、令和2年度には特別定額給付金等が計上されている。繰出金は国保事業に対して減少したが、後期高齢者医療保険事業、介護保険事業会計に対しては増加した。特に介護保険事業に対する繰出額が増加しているため、介護保険料の見直しが必要であると思われる。下水道事業会計では、人員配置や泥処理設備を導入により処理費用を抑制している。令和2年度は前年度と比べて投資的経費(水道事業の建設改良のための資金を含む)の増加が顕著である。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

標準財政規模に対する財政調整基金残高は減少傾向にある。平成27年度までは、標準財政規模が僅かに大きくなり減少していたが、28年度は国勢調査人口の減少に伴い標準財政規模が低下した。近年は投資的事業の財源として基金を取崩しており、令和2年度も同様である。実質収支については平成27・28年度は、繰越事業に係る翌年度に繰越すべき一般財源の計上に加え、基金の積立てにより10%を下回った。29年度は投資的事業の実施により剰余金が減少し6.85%に低下し、これ以降も同様の理由により実質収支の低下が続いている。今後は、より慎重に基金を運用をしていく。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

一般会計について、平成28年度は翌年度に繰越すべき一般財源が多いことに加えて、基金を積立てたため黒字額は小さかった。29年度は、こども園の建設、夏山園地整備事業、道の駅の完成等、投資的事業の実施により黒字額が減少している。30年度は前年度よりも投資的経費が減少し、令和元年度は防災行政無線デジタル化整備事業、森浦湾整備事業等の投資的事業を実施した。このとおり、まちづくり事業を継続しており、その事業費は年度によって差があるが、年度末に基金を積立てることにより収支額はほぼ一定になっている。水道事業について、平成26年度は水道料金の値上げにより以降収支が改善している。29年度は経営戦略策定業務委託料を支出したことで一時的に6.85%に低下した。経費の節減に努めている。くじらの博物館事業は、独立採算の事業である。平成28年度は入館者数等の営業収益の減少に加え、動物飼育関係経費の高騰もあり1.14%に減少したが、29年度には動物の売上収入により10.47%に上昇している。30年度においても前年度の事業を継続した結果、黒字を伸ばし、令和元年度もほぼ同様の収支状況だったが、令和2年度は新型コロナウィルス流行の影響を受け利益が縮小した。介護保険事業は、一般会計からの繰入により財政運営を行っている。一般会計からの繰出金の額は増え続けており、平成27年度に保険料を値上げし改善したが、サービス利用の増加に伴い繰出金額は再び上昇している。国民健康保険事業は、一般会計からの繰入により財政運営を行っている。29年度は28年度に比べ、結果的に医療費が低くなったこと等により2.27%に上昇した。後期高齢者医療事業は、一般会計からの繰入で財政運営を行っている。上記の保険事業については共通して、医療費等の上昇により財源が不足しており一般会計からの繰入によって運営している状況が続いている。都市計画公共下水道事業は、一般会計からの繰入で財政運営を行っている。数年前から人員配置と新規処理設備の導入などにより、経費の抑制に努めている。これにより近年は繰出金額は減少しており、さらに経営体制の改善を進めていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

元利償還は平成22年度以降、過疎債を活用し、大型公共工事等を実施するとともに、緊急防災・減災事業債を活用する事業を実施しており、これらに係る元金償還額が増加している。これらの償還金は交付税に算入される率が高いため、実質公債費比率の急な上昇は避けられている。公営企業債の元利償還金は下水道事業会計分の元利償還金である。これは一般会計からの繰出金により償還を行っている。下水道事業においては近年は起債していないため、償還が進んでいる。今後も大型事業のため発行した過疎債の償還金の額が大きくなるが、同時に交付税算入公債費等も増額するため、実質公債費比率の上昇は急激なものとはならない。ただし、償還額の上昇は確実に見込まれるため、上昇率の抑制に向け事業内容の精査等、慎重な財政運営を行っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

将来負担額は、大半を一般会計等に係る地方債の現在高が占めており、次いで退職手当負担見込額、公営企業債等繰入見込額となっている。これらの推移をみた場合、一般会計の現在高は大型のまちづくり事業の実施に伴い、平成25年度から顕著な上昇をみせており、今後も同様の事業を実施していくため上昇が見込まれる。公営企業債繰入見込は、平成27年度に将来推計の算定値として計上したため上昇に転じるが、近年、起債発行をしていないため年々減少傾向にある。しかし、下水道施設の老朽化が進行しており、今後財政負担の要因として懸念される。また、平成25年度新たに計上したものとして組合等見込額があるが、これは老人福祉施設建設に伴う市町村負担金となっている。次に、充当可能財源等は、充当可能基金及び基準財政需要額算入見込額によって構成され、合計で将来負担額を下回るようになった。今後もまちづくり事業の財源として地方債の活用を予定しているため、将来負担額における地方債現在高が更に伸びる。過疎債の償還は財政措置されるため現在高の上昇にあわせて交付税算入され、財政需要額が大きくなるが、一般財源も必要なため、基金の取崩しは避けられない。今後は将来負担比率の状況に注意し、堅実な財政運営を念頭に慎重に起債の発行を行っていく。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)基金現在高について、全体額(土地開発基金を除く)で令和元年度1,448,744千円に対して令和2年度1,453,204千円となり4,460千円増額した。内訳としては、減債基金が16百万円増額、特定目的基金のうち石垣記念館運営積立基金が5百万円減額、ふるさと創生基金が7百万円減額した。現在、まちづくりに資する事業を積極的に行っており、起債に加え状況に応じて基金を活用している。(今後の方針)基金の適正な積立額について、適正と考える対標準財政規模比等はないが、今後まちづくりのために活用していくため、将来的には取り崩していくこととなる。基本的な考え方は、負債(主に地方債)を担保する基金を確保したいと考えており、将来の世代に負担を残さないために基金を運用する。現時点ではその他特定目的基金については今後積極的に積立額を増やす予定はなく、それほど大きく基金残高は増減しないと思われる。現在、各種施設の建設等、まちづくりに資する事業を主に地方債を財源として進めているため、将来の償還に備えて可能な限り減債基金の積立額を増やしていく。

財政調整基金

(増減理由)令和2年度は「太地町冷凍施設整備事業」等を実施したこと等により普通建設事業費が大幅に増額したため基金を取り崩したが、新型コロナウィルス感染症流行の影響で物件費等の支出が減少したことで取崩額と同額を積み立てることができた。(今後の方針)今後も、まちづくりに資する事業費を実施するため、この財源として積み立てる。また事業の実施に伴い地方債の借入れが増えており、将来の償還開始に備えて、減債基金への振り替えも想定している。決算状況が許す限り積み立てることが望ましいが、少なくとも基金残高が大きく減少することがないように運用していく方針である。

減債基金

(増減理由)平成22年度以降、過疎債や緊急防災・減災事業債を活用し、まちづくりに資する事業を実施してきた。これらの地方債償還額が年々増加しており、基本的には減債基金を取り崩すこととなるが、令和2年度は新型コロナウィルス流行の影響で物件費等が減少した分、積立が可能となった。(今後の方針)現在の地方債残高が約44億円で前年度末から5億円増加した。地方債借入額の約75%について地方交付税の収入を見込んでおり、残りの一般財源負担が約11億円となる。現時点では、この一般財源部分の額を積立額のおおよその目標とする。ただし、現在、各種施設の建設等、まちづくりに資する事業を地方債を財源として進めているため、可能な限り積立額を増やすことが望ましいが、事業実施の可否等ついては財政状況を見極め、総合的に判断するため目標値は事業の実施状況によって変動する。

その他特定目的基金

(基金の使途)「塵芥処理場建設資金基金積立金」は新たに塵芥処理場を建設するための財源を積立てることを目的としているが、当初の建設計画が変更となったため、現時点では具体的な使用予定はない。「石垣記念館運営積立金」は太地町石垣記念館の運営費用に充てることを目的としている。太地町ふるさと創生事業積立金は太地町の歴史、伝統、文化、産業等を活かし、独創的、個性的な地域づくりを行うふるさと創生事業の財源を積み立てる。「太地町地域福祉基金積立金」は高齢化社会における高齢者の在宅福祉の向上、健康づくり、ボランティア活動の活発化等図るため民間団体が行う高齢者保健福祉推進事業に、この基金から生ずる運用益金でもって助成することを目的とする。「太地町福祉基金」は高齢化社会における地域福祉活動の促進、生活環境の形成等図ることを目的とする。(増減理由)「石垣記念館運営積立金」からは当記念館の運営費に充てるため、毎年度約4~5百万円を取崩している。(今後の方針)その他特定目的基金については今後積極的に積立額を増やしてく予定はなく、地域振興及び地域福祉の充実等を実現するため、これらの限られた財源を最大限有効に運用していく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本庁舎をはじめとして、既に多くの施設が建設から相当の年数が経過している。修繕等による長寿命化を施設管理の基本方針としているため、今後も減価償却率の上昇が見込まれる。ただし、全体的に減価償却率が高い中にあって、防災・消防施設については防災施策を推進してきた結果として減価償却率が低くなっている。その他の施設のうち一部は、津波対策を含む施設移転が必要であり、平成29年度末には幼稚園と保育所を高台に移転させる形で、新たにこども園を建設した。このような方策により、今後の減価償却率の上昇は抑制される見込みである。平成29年度に減価償却率が大幅に低下しているのは、固定資産台帳を修正したためである。

債務償還比率の分析欄

現在、まちづくりのために投資的事業を積極的に進めており、その財源として地方債を活用している。このため、自治体規模に対して実質債務の額が高く、債務償還比率が類似団体と比較して高くなっていると考えられる。ただし、地方債の借入れについては、基金残高や、経常収支比率等の指標を参照し、適切な範囲で行っている。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担額のうち、大半を「一般会計等に係る地方債の現在高」が占めている。道路新設等の大型事業の実施に伴う起債にはじまり、平成25年度以降、地方債残高の上昇が顕著である。今後数年間はまちづくりのための投資的事業を積極的に行うため、増額傾向の継続が見込まれる。ただし、起債に際しては財政措置率の高いものを選択しているため、基準財政需要額算入額が増加する。平成30年度までは充当可能財源等が将来負担額を上回っていたが、昨年度において、はじめて将来負担比率が数値化された。今後も、地方債を活用する方針であるため、将来負担比率は更に上昇する。有形固定資産減価償却率の高さが示すとおり、本庁舎をはじめとして多くの公共施設が建設から相当の年数が経過している。一方で観光開発等を積極的に行っており、新規施設整備事業を推進しているが、これと並行して災害に対応した施設整備も進めていかなければならない。新規の投資的事業の実施にあたっては、既存の公共施設の維持コストとのバランスに配慮しながら推進していく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は近年減少傾向を示していたが、平成22年度以降まちづくりのための投資的事業のため過疎債を中心に多額の借入れを行っており、平成29年度より元金償還額が大幅に増加している。これにより今後、実質公債費比率は上昇が続く。また、「公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還に充てたと認められる繰入金」について、国民宿舎事業の会計廃止により26年度で償還が完了し、現在は下水道事業のみとなっている。下水道事業においては、近年借入れがないことから償還額は減少しているが、下水道施設の老朽化が懸念事項となっている。将来負担比率については先述のとおり、主に地方債の借入れにより今後の上昇が見込まれるため、新規事業の実施についてはより慎重に判断していく。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体との比較では、特に公営住宅、港湾・漁港施設、学校施設の減価償却率が高い。公営住宅は町内に2箇所あり、今後も随時補修を行うことにより長寿命化を図る。港湾・漁港施設も建設から年数が経っているが、平成27年度に、太地漁港機能強化策定事業として現状の機能を検査し、平成28年度には漁港施設の老朽箇所を把握するための点検を実施したうえで、「漁港機能保全計画」を策定した。この計画に基づいて、昨年度に引き続き改修及び補強工事を実施した。今後も同様に、順次改修を進めていくことで減価償却率は下がる見込みである。幼稚園、保育所の園舎は老朽化が進み、平成28年度までは減価償却率が高かったが、この2施設を統合する形で平成29年度末に新しいこども園が完成したため、減価償却率は大きく低下した。学校施設については、現在小・中学校が一校ずつある。特に小学校は建設から年数が経過していること等から、今後、既存中学校との統合を検討していく。また、人口に対して各種施設が余っている状況ではないため、今後も施設数は維持しながら長寿命化を図ることを施設管理の基本方針とする。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

近年、防災施設の整備を積極的に進めてきたことから、消防施設等の減価償却率はその他の施設と比べて大幅に低くなっている。一方で、庁舎は他のすべての施設の中でも特に建築年が古いことから老朽化が目立つ。また海に隣接して建っていることから、津波対策として移転等の検討が必要である。また、一般廃棄物処理施設は、ごみ処理による機械設備類の摩耗が著しく、経常的に機械等の修繕や取替が必要であるため、他の施設と比較し維持コストがかなり高くなっている。このコストの高さを改善するため、令和3年度以降ごみ処理方法を変更する。これに対応した施設にするため改修を行うことにより、修繕費の抑制と同時に、減価償却率が改善される見込みである。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計においては、資産総額のうち有形固定資産の割合が約77%となり前年度より僅かに減少した。有形固定資産が前年度から456百万円増加しており(前年度と同程度の増加)、これの主な要因は、前年度から繰越した冷凍施設が完成したこと等による。建物の資産額5,992百万円に対し、建物減価償却累計額は△3,299百万円であり、近年新規の施設整備を進めているとはいえ、大半の建物は建設からかなりの年数が経過している。このため、今後は維持管理・更新等の費用の増加が見込まれる。施設管理計画においても、修繕等による長寿命化を図ることを基本方針としているため、今後も減価償却率は上昇していくことが予測される。一方、負債の部については、地方債残高が固定・流動負債あわせて4,358百万円であり、前年度末から493百万円増加した。主な新規地方債の借入れの目的は、「太地町冷凍施設」や「駅舎防災複合施設」の建設等であり、地方債の残高は前年度に引き続き増加している。今後も継続して施設整備を進める計画があるため、地方債の増加傾向は続くと予想されるが、流動資産と流動負債を比較すると、流動資産の方が多く、現時点で財務の安全性は保たれていると思われる。また、前年度末から純資産の額がやや増加しているが、地方債により負債が増加するとともに、純資産のうち不足分の負の値が大きくなっていることから、より固定資産への投資が進んだことが読み取れる(資産合計のうち固定資産の占める割合は93%と高い)。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計について前年度と比較すると、新規取得の固定資産により減価償却費が増加(266百万円から284百万円に増額)し、令和2年度は人件費の増加(前年度比127百万円増加)や、他会計への繰出金の増加(くじらの博物館会計に対するコロナ対策に係る繰出金等)したため、純行政コストは増加した(前年度比+522百万円。臨時損失として計上した特別定額給付金を含む)。経常費用2,107百万円のうち284百万円が減価償却費となっており、過年度に取得した固定資産により、実質的に年間約2.8億円の費用がかかっていることを示している。また、令和2年度の施設整備等への投資額が減価償却費2.8億円を上回っていることから、施設の老朽化以上に設備投資を実施しており、この傾向が継続している。純資産変動計算書によると、純行政コスト△2,366百万円に対し税収・補助金等の財源が2,534百万円(前年度比で税収等の額に大きな増減はなく、資本形成に係る国県補助金及びコロナ対策に係る国庫補助金が大幅に増加している)であり、収支はプラスで均衡している。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計の純資産残高は、前年度との比較で4,261百万円から4,501百万円に増加した。純行政コスト△2,366に対し、税収・補助金等の財源は2,534百万円(前年度比+684百万円)となり、収支はプラスとなった。財源の増加要因は、資本形成に係る国庫補助金、並びにコロナ対策に係る国庫補助金の増加、また、ふるさと納税の促進等が挙げられる。令和2年度中に太地町冷凍施設が完成したこと等により、純資産のうち固定資産等形成分が9,290百万円に増加し、純資産不足分が△4,790百万円となり、4年続けて不足額が大きくなった。これは地方債の発行による資産形成であり、資金の多くを固定資産へ投資していることが読み取れる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

令和2年度の一般会計において、業務活動収支は225百万円で、前年度から111百万円増加しており、通常の行政サービスの財源は確保された状況を保っている。投資活動収支は△700百万円で、令和2年度は太地町冷凍施設の建設等、前年度の金額を上回る投資を行った。年度間で比較すると投資額に増減はあるものの、積極的に施設整備等を進めていることは一貫しており、これに同調するように地方債の発行収入額も推移している。財務活動収支については先述の事業の資金調達のために新規の地方債を発行したため、償還支出の264百万円を上回る756百万円が収入に計上され、492百万円のプラスとなった。以上のように、積極的に施設整備に投資していることを示す結果となりながらも、本年度末の現金預金残高は134百万円となり、前年度末より増額し確保している。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

令和2年度末時点で、資産総額のうち77%を有形固定資産が占めている。これらの有形固定資産は、本庁舎をはじめ、建設から相当の年数が経過した施設が多いが、近年施設整備を推進しているため、減価償却率は年を追うごとに徐々に低下している。建物全般の減価償却率は類似団体の平均値に近い。また、住民一人あたりの資産額が比較的低いことの一因として、行政面積が小さく、施設配置に無駄ができにくいためと考えられる。令和2度中に冷凍施設の建設等を行い、前年度より固定資産の額が増加している。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、地方債を財源として施設整備を進めた結果、類似団体平均より高い数値を示している。今後も、まちづくりに資する事業(施設整備)を実施するにあたり、地方債の活用を続けていく方針であるため、地方債発行残高は更に増加する見込みである。新規の投資的事業の実施にあたっては、既存の公共施設の維持管理にかかる財政負担とのバランスに配慮し、将来世代に負担が偏ることのないよう計画する。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

当町は面積が狭く、このため効率良く行政サービスの運用ができていることが、行政コストが比較的低いことの一因であると考えられる。減価償却費が増加傾向にあるが、人件費や他会計への繰出金が増加するなどして、純行政コストは増加しているが、類似団体平均との比較においては、住民一人当たりの行政コストはかなり低い水準を保っている。なお、令和2年度は特別定額給付金の事業費を計上したこと等により純行政コストが増額している。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

負債のうち地方債については、平成25年度の過疎債借入れ以降、増加傾向が継続しており、今後も地方債を活用し、まちづくりに資する事業(施設整備)を積極的に実施していくため、更なる負債の増加が予測される。令和2年度においては冷凍施設等の資産形成のために新たに地方債を発行している。現時点で、類似団体平均との比較では、住民一人あたりの負債額は低い数値を示していることから、地方債の発行状況は健全なものであると考えられる。ただし、新規の投資的事業の実施にあたっては、将来世代に負担が偏ることのないよう計画する必要がある。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均を下回る。経常収益のうち使用料・手数料については、増収がほとんど望めない状況であるため、歳出の面から、老朽化した施設の維持管理を適正な方法で行い、可能であれば減少した人口に見合った規模の施設へと集約・縮小するなどして維持費等の経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,