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地方財政ダッシュボード

奈良県桜井市の財政状況(2019年度)

🏠桜井市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

この数年の数値はほぼ横ばいで推移しているが、令和元年度においては0.54と、人口の減少や高齢者人口の増加に加え、市内に大きな法人がないこと等により、財政基盤が弱く、類似団体平均を下回っている。そのため、第1次行財政改革(平成16年度~平成20年度)、第2次行財政改革(平成21年度~平成25年度)に引き続き、新たな行財政改革アクションプラン(令和元年度~令和5年度)を着実に実施し、財政の健全化に努めているところである。

経常収支比率の分析欄

令和元年度は前年度より改善されたものの、類似団体平均を大きく上回っており、硬直的な財政状況であることに変化はない。改善の主な要因は、歳出面では退職者数の減少により退職手当が減少したことが大きく、また歳入面で市税の伸びはあったものの、今後は新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の縮小により減少が見込まれるため依存財源に左右される状況は変わらず、主体的な改善とは言い難い状況である。そのため、新たな行財政改革アクションプランに基づき、定員管理計画の確実な実施及び更なる職員数の抑制等、人件費及びその他の経費の徹底した削減に取り組むとともに、税の収納率向上対策による自主財源確保に努めるなど、行財政改革に取り組んでいる。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和元年度は退職手当の減少により人件費が減少したことで前年度より改善はしたものの、類似団体平均を上回っている。本市においては、し尿処理やごみ処理等の単独実施や4箇所の公立保育所の運営が、慢性的に人件費・物件費を押し上げる要因となっている。人件費については、新たな行財政改革アクションプランに基づき、定員管理計画の確実な実施及び更なる職員数の抑制を行うとともに、物件費等についても徹底した経費の削減に取り組んでいる。

ラスパイレス指数の分析欄

令和元年度においても前年度同様、類似団体平均をやや上回っているものの、平成26年度以降は国の給与とほぼ同水準で推移している。今後も引き続き給与の適正化を図り、指数の抑制に努めていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

令和元年度においても前年度と同様、類似団体平均を上回っている。本市においては、し尿処理やごみ処理等を単独で行っており、公立保育所も4箇所運営していることが、職員数が多い要因となっている。また、近年は人口の減少傾向に歯止めがかからない状況も要因の一つに挙げられる。このため、新たな行財政改革アクションプランに基づき、定員管理計画の確実な実施及び更なる職員数の抑制を行い、定員管理の適正化に努めているところである。

実質公債費比率の分析欄

令和元年度決算において7.5%と、平成30年度からは改善しているが、今後は施設の老朽化に伴う建替えや耐震化、統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるため、中長期的な見通しのもと計画的に事業を行い、起債の発行を抑制することで、比率の改善に努めていく。

将来負担比率の分析欄

令和元年度については、前年度とほぼ横ばいの数値となっており、依然として類似団体平均を大きく上回っている。その主な要因としては、地方債残高は着実に減少しているものの、それ以上に奈良県広域消防組合の起債に伴う負担増や、基金残高や都市計画税収の減少が影響していることが挙げられる。今後は、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるため、中長期的な見通しのもと計画的に事業を行い、起債の発行を抑制することで、比率の改善に努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

平成26年度からは常備消防の広域化により数値は低下し、類似団体平均とほぼ同水準で推移していたが、平成28年度、平成30年度はやや上昇している。これは、当年度の定年退職者数が極端に多かったためであり、平成29年度、令和元年度はほぼ類似団体平均と同水準に落ち着いた。今後も引き続き、定員管理の適正化に努めていく。

物件費の分析欄

数値は近年上昇傾向にあり、類似団体平均を上回っているが、慢性的に数値が高くなっている主な要因としては、各施設の運営経費(需用費や指定管理料)やごみ焼却炉等の管理運営委託にかかる経費が考えられる。平成30年度からは、新学校給食センターの運営経費が物件費をさらに押し上げている。物件費についても行財政改革に基づき、引き続き徹底した経費削減に取り組んでいるところである。

扶助費の分析欄

扶助費は全国的に増加傾向にあり、本市も同様の傾向を示しているが、例年類似団体平均を上回っており、平成28年度よりその乖離がさらに大きくなっている。これについては、高齢者の割合、障害者福祉サービスの利用率などが類似団体よりも高く、社会保障関連経費が増加していることが主な原因と考えられる。

その他の分析欄

令和元年度は平成30年度より大きく改善している。要因は、下水道事業会計の公営企業法に基づく繰出金の性質変更に伴うものある。令和元年度に改善し類似団体平均とほぼ同水準となっているものの、平成27年度から数値がやや高くなっている主な要因は、扶助費同様、社会保障関連経費の増加に伴い、介護保険や後期高齢者医療等の特別会計への繰出金の増加していることが挙げられ、高齢化の進行により今後も増加傾向となることが予想される。その他の経費についても、行財政改革に基づき、徹底した歳出削減に取り組んでいるところである。

補助費等の分析欄

令和元年度は3.4%悪化しているが、要因は下水道事業の公営企業法適用化に伴う繰出金の性質変更によるものであるため、逆に繰出金を含むその他の項目では改善している。前述の理由により悪化はしたものの、類似団体平均を下回っている。例年数値が低い要因としては、本市がし尿処理やごみ処理等を単独で行っているため、一部事務組合加入に伴う負担金等が抑制されていることが挙げられる。逆に、人件費や物件費の数値が高くなっているのはこのためである。

公債費の分析欄

近年、数値は類似団体平均を上回っているが、平成30年度にはごみ処理施設建設に伴う起債が完済したことにより減少し、令和元年度は横ばいとなっている。今後も厳しい見通しとなるが、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるため、中長期的な見通しのもと計画的に事業を行い、起債の発行を抑制することで、比率の改善に努めていく。

公債費以外の分析欄

例年、数値は類似団体平均をやや上回っているが、平成28年度からは特にその乖離が大きくなっている。慢性的に数値が高い要因としては、し尿処理、ごみ処理施設等の単独運営、4箇所の公立保育所の運営、高齢者の割合や障害者福祉サービスの利用率が高いこと等が挙げられる。第2次及び新たな行財政改革プログラム・アクションプランに基づき、特に人件費・物件費は徹底した経費削減に取り組んでいく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体平均と比較すると、議会費は近年同水準であったが、平成27年度は市議会議員改選に伴う議会共済会負担金が、平成28年度からは議会映像配信の開始に伴う経費がそれぞれ増額となったため、やや上昇している。総務費が令和元年度に上昇している主な要因は、新庁舎建設工事に着工したことによるものである。民生費については、平成27年度より平均を上回っている。これは、高齢者数、障がい者福祉サービスの利用の増加により、扶助費等が年々急激な伸びを示していることから、その伸び率が類似団体より大きいことによるものと考えられる。令和元年度は、幼稚園・保育所の無償化による影響も増加の要因である。衛生費については、近年平均をやや上回って推移しているが、平成27・28年度に増加している主な要因には、リサイクルセンターの爆発火災に伴う修繕料の増加が挙げられる。なお、平成29・30年度の増加は、旧焼却施設の解体によるものである。商工費については、例年類似団体と同水準で推移しているが、平成30年度は、駅前再開発ビルの改修工事により大幅に上昇している。消防費については、平成26・27年度は常備消防業務の広域化に伴う初期費用等が増加している。教育費については、平成29年度は学校給食センターの整備に伴い大幅に平均を上回っている。また、令和元年度は公立小中学校への空調設置に伴い増加している。公債費については、ごみ処理施設建設に伴う起債や、平成25年度の土地開発公社解散に伴う第三セクター等改革推進債の償還により、平均を上回っていたが、平成29年度にごみ処理施設建設の起債が完済し平成30年度からは減少している。その他の費目については、近年概ね平均を下回って推移している。目的別歳出としてもやはり、単独で行っているし尿処理やごみ処理に伴う衛生費の増加や、高齢者数や障がい者福祉サービスの利用の増加などに伴う民生費の増加が目立っており、これらが財政硬直化の要因と考えられる。これにより、土木費、教育費で計上される道路や学校など公共施設の老朽化対策等が先送りとなっている状況であることが分かる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

類似団体平均と比較すると、本市は単独で行っているし尿処理やごみ処理、公立保育所4箇所の運営等により、補助費等は抑制されている反面、人件費や物件費は上昇している。さらに、扶助費や繰出金についても、高齢者の増加、障がい者福祉サービスの利用率の上昇などにより、比較的高額となっている。総じて、これらが経常収支比率を押し上げ、財政を硬直化させている要因と言える。一方、普通建設事業費や維持補修費、積立金が比較的低水準で推移しているが、これは本市がそのような硬直化した財政構造のため、それらに支出する財政的余裕がなく、施設の老朽化対策等の解決すべき課題が積み残されている状況であることを示している。なお、令和元年度に大きく数値が変動している補助費等、繰出金については、下水道事業の公営企業法適用化による繰出金の性質変更によるものである。財政は今後も厳しい見通しとなるが、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業も見込まれるため、中長期的な見通しのもと計画的に事業を行うと同時に、新たな行財政改革アクションプランに基づき、徹底した経費削減に取り組むことが必要である。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

平成22年度決算以降、実質収支・実質単年度収支がともに黒字であったが、平成28・29・30年度及び令和元年度決算は実質単年度収支で赤字となっており、財政調整基金残高・実質収支額ともに余力のない状況になりつつある。そのため、抜本的な改革・見直しを掲げた第2次行財政改革プログラム・アクションプランに引き続き、新たな行財政改革アクションプランを実施し、経費の削減や収入の確保に努めているところであるが、今後は、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれることから、基金の積立を行い、財政需要に対応していく必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

連結実質比率に係る赤字・黒字の構成を見ると、駐車場事業特別会計と住宅新築資金等貸付金特別会計は慢性的な赤字となっており、前者については利用促進対策や運営の効率化、後者については貸付金回収の強化を講じているところである。水道事業会計においては、安定した収益を確保しており、例年黒字となっているものの、人口減少による給水量の減少や、老朽化した基幹管路等の水道施設の改修が今後の課題となっている。国民健康保険特別会計や介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計においては、生産年齢人口の減少や高齢者人口の増加などにより厳しい財政運営となっているが、例年かろうじて黒字を確保している。本市においては、第1次行財政改革(平成16年度~平成20年度)に引き続き、抜本的な改革・見直しとして第2次行財政改革プログラム(平成21年度~平成25年度)を策定し、一般会計だけではなく、各特別会計においても経費の削減や収入の確保に努めている。現在も財政健全化にむけて、新たな行財政改革アクションプランに取り組むとともに、これまでの取り組みも継続して行っているところである。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

元利償還金は、平成12年度から平成14年度にかけて実施したごみ処理施設建設に伴う起債の償還により、元利償還金が高額となる状況が平成29年度まで続いている。さらに、臨時財政対策債の発行額が高水準で推移していることに伴い、算入公債費等も同様に高水準を維持し続けている。今後は、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるため、中長期的な見通しのもと計画的に事業を行い、起債の発行の抑制に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

将来負担額について、一般会計等に係る地方債の現在高は、起債を抑制しつつ着実に償還を進めているため、減少傾向にあるが、平成29年度には学校給食センターの更新に伴い現在高は増加した。組合等負担等見込額は、平成26年度から常備消防業務の広域化に伴い増加している。退職手当負担見込額は、定年退職者が増加する一方、採用抑制により職員数が減少しているため、見込額は減少傾向にある。設立法人等の負債等負担見込額は、平成25年度に土地開発公社の解散を行ったことから、皆減となった。また、充当可能財源等については、地価の下落に伴う都市計画税の減収、基準財政需要額算入対象の地方債の完済等により、概ね減少傾向にある。本市は、継続的に行財政改革を進め、新規発行の市債を極力抑制し、財政の健全化に向け取り組んでいる。今後は、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるが、計画的に事業を行い、将来負担が過度にならないよう財政運営に努めているところである。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)平成29年度末と比較すると、新庁舎建設に向け市有施設最適化整備更新基金の残高が2億4,300万円増加した一方、財政調整基金で2億7,900万円取り崩したこと等により、基金全体としては平成29度より3,300万円の減少となった。(今後の方針)基金残高は低水準であり、また財政状況が厳しく積立額の増加は見込めない。今後も、新庁舎の建設等もあり基金残高は減少傾向にあるが、新たな行財政改革アクションプランに基づき経費削減を行い、基金の残高の維持に努める。

財政調整基金

(増減理由)平成29年度末と比較すると、国勢調査の人口減少による普通交付税の減額分や社会保障関連経費の一般財源を補填するため、財政調整基金を取り崩していることにより、減少している。(今後の方針)財政調整基金残高は大幅に低い水準であるが、今後も減少していく見込である。新たな行財政改革アクションプランに基づき経費削減を行い、財政調整基金の残高の維持に努める。

減債基金

(増減理由)残高が増加した要因としては、県とのまちづくり連携協定に基づき、県からの補助金を積み立てたことによる。(今後の方針)まちづくり連携協定に基づき実施した事業の元利償還金に対して計画的に取り崩していく。

その他特定目的基金

(基金の使途)市有施設最適化整備更新基金:市有施設の最適化整備及び更新に必要な財源を確保し、将来にわたる市財政の健全な運営に資することを目的とする地域公共事業積立基金:財産区財産を処分することにより発生する金銭を当該財産区住民の福祉を増進する目的をもって行う公共事業の資金卑弥呼の里・桜井ふるさと基金:個人又は団体から広く寄附金を募り、これを財源として各種事業を実施し、桜井市の特色を生かした、個性豊かで魅力に満ちた「夢と希望とロマン」にあふれるまちづくりと次世代へ美しいふるさとを託すために資することを目的とする戒重集会所管理基金:戒重集会所の管理に要する資金森林環境整備促進基金:森林環境の整備、担い手の育成・確保、普及啓発等の促進に資することを目的とする(増減理由)市有施設最適化整備更新基金:新庁舎建設等(H30~R4)の財源として積み立てたことによる増加地域公共事業積立基金:住民の福祉を増進するため取崩したことによる減少卑弥呼の里・桜井ふるさと基金:寄附金を積み立てたことによる増加戒重集会所管理基金:戒重集会所の維持管理のために取り崩したことによる減少森林環境整備促進基金:森林環境譲与税を積立てたことによる増加(今後の方針)市有施設最適化整備更新基金:新庁舎建設事業のため(H30~R4)、令和4年度まで毎年積立予定地域公共事業積立基金:財産処分代金から処分に係る必要経費を差し引いた額を積立予定卑弥呼の里・桜井ふるさと基金:毎年1億円程度を積立予定戒重集会所管理基金:基金の運用から生ずる収益を積立予定森林環境整備促進基金:森林環境譲与税収入額より当該年度に発生する必要経費を差し引いた額を積立予定

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は全国平均、類似団体平均ともに上回っているが、これは昭和40年代から50年代にかけて整備した公共施設が耐用年数を迎えつつあるからである。本市では、平成27年度に策定した公共施設等総合管理計画において、長寿命化対策を図るとともに、複合化・除却等により公共施設の延べ床面積を32.2%縮減することを目標に掲げている。令和元年度は、新庁舎等建設事業や公衆便所建替事業を実施した。今後も各施設のあり方を検討し、計画的に施設の更新、集約、除却等を行っていく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は全国平均、類似団体平均ともに上回っている。人口減少による歳入減少、高齢化に伴う扶助費の増加等の要因により厳しい財政状況が続いており、基金残高が減少している。今後も歳入の増加は見込めず、また、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれる。事業の選択や計画的な執行を行い、比率が過度にならないように財政運用に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率、有形固定資産減価償却費率は類似団体平均を上回っている。将来負担比率を押し上げている要因については、老朽化した施設の更新により地方債が増加したことや、充当可能基金残高、基準財政需要額算入見込額が減少したことによる。有形固定資産減価償却率が高いことから、今後も老朽化した施設の改修費用等が必要となり、将来負担比率の増加が見込まれるため、公共施設等総合管理計画に基づき、計画的に事業を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

類似団体平均は概ね左肩下がりとなっていることから、地方債残高が年々減少し、着実に財政の健全化が図られているものと推測される。特に、平成26年から27年にかけて、将来負担比率及び実質公債費比率とともに大幅に改善されているのは、双方に共通する分母の数値である標準財政規模が増加したことによるものであると考えられる。一方、本市においては、総じて類似団体平均を上回っている。実質公債費比率については類似団体と同様、着実に地方債残高を減少させていたが、平成25年度に第三セクター等改革推進債を据置期間なしで起債したことにより、その減少分が相殺されたため、平成27年度まではほぼ横ばいで推移している。とはいえ、将来負担比率から見れば、設立法人等の負担額負担見込額が地方債残高へ振り替わったことにより、実質的には将来負担を前倒しで解消していることとなる。また、平成28・29年度については、地方債残高の減少に伴い、実質公債費比率は減少したものの、将来負担比率は、広域消防組合による消防署整備にかかる地方債が増加したことや、充当可能域金残高等が減少したことにより、前年度より悪化した。今後は、施設の老朽化に伴う更新や統廃合などの建設事業にかかる起債も見込まれるが、計画的に事業を行い、これらの比率が過度にならないよう財政運営に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、施設ごとにみると、類似団体平均と比べ、認定こども園・幼稚園・保育所、公営住宅、及び公民館が高く、道路、橋りょう・トンネルが低く、学校施設はほぼ同水準となっている。類似団体平均より高い認定こども園・幼稚園・保育所、公営住宅、公民館及びほぼ同水準の学校施設は、今後もあり方が検討されている施設である。認定こども園・幼稚園・保育所及び公営住宅は、一人当たり面積も類似団体平均を上回っていることや、今後の人口減少も考慮し、施設の規模を検討し更新、集約化等に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、施設ごとにみると、類似団体平均と比べ、図書館、一般廃棄物処理施設、体育館・プール、福祉施設、消防施設、市民会館、及び庁舎が高く、保健センター・保健所が低くなっている。庁舎については令和元年度より新庁舎等建設工事に着手しているため減少が見込まれる。その他の施設については、公共施設等総合管理計画、公共施設再配置方針、及び個別施設計画に基づいて更新・統廃合・改修に努めていく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から31百万円の増加となった。金額の変動の大きいものとして新庁舎建設事業において発生した建設仮勘定を含む事業用資産の建設仮勘定が818百万円増加したことがあげられる。資産総額のうち有形固定資産の割合が86.1%となっており、これらの資産は将来の(維持管理・更新等の)支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画や公共施設再配置方針に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努める。基金は財政調整基金等を積み立てたことにより、基金(流動資産)が54百万円増加した。負債総額は前年度から312百万円増加しており、負債のうち地方債(固定負債)は前年度末より19百万円増加し19,063百万円となっており負債総額の76.3%と高い割合になっている。インフラ資産等の更新には多額の費用が必要であることや各世代間の負担を公平にするという観点からその財源として地方債を今後も活用していく予定ではあるが、将来世代へ多大な負担を強いらないように適切な地方債の管理を行う。また、桜井市社会福祉協議会、奈良県広域消防組合等を加えた連結では、奈良県広域消防組合の消防庁舎や緊急車両等の資産を計上している等によって一般会計等より資産総額が31,821百万円多くなっている一方で、負債総額も前述設備の整備に関して地方債を活用していること等により27,285百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用に対して人件費、物件費等の業務費用が52.4%、補助金や社会保障給付等の移転費用が47.6%を占めている。最も金額が大きいのは社会保障給付で経常費用全体に対して23.9%を占めており、今後も高齢化の進展によりこの傾向は続くと見込まれるため、事業の見直しや介護予防の推進等により経費の抑制に努める。次いで物件費の金額が大きく、18.8%を占めている。経費の削減のため、公共施設の集約化・複合化等の適正管理に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が1,631百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が10,045百万円多くなり、純行政コストは10,514百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が2,315百万円多くなっている。一方、社会保障給付費が7,557百万円多くなっているなど、経常費用が21,411百万円多くなり、純行政コストは、19,120百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(19,279百万円)が純行政コスト(19,311百万円)を下回っており、本年度差額は▲31百万円となり、純資産残高は280百万円の減少となった。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が5,065百万円多くなっており、本年度差額は518百万円となり、純資産残高は5,852百万円の減少となった。連結では、奈良県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が19,576百万円多くなっており、本年度差額は424百万円となり、純資産残高は5,947百万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,707百万円であり、新庁舎建設事業等により公共施設等整備費支出が1,044百万円増加し、投資活動収支については、1,908百万円となった。また、財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、53百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から254百万円減少し、218百万円となった。人口減少を影響とした税収の減少等による収入の減少も予想されることから、持続可能な行財政運営のため、行財政改革を進めていく。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より918百万円多い、2,625百万円となっている。投資活動収支は▲2,743百万円、財務活動収支は▲6百万円とそれぞれなり、本年度末資金残高は前年度末より124百万円減少し、2,159百万円となった。連結では、業務活動収支が一般会計等と比べて963万円多くなり2,670百万円となっている。投資活動収支は▲2,759百万円、財務活動収支は▲47百万円となり、本年度末資金残高は前年度末より135百万円減少し、2,488百万円となった。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が類似団体平均値を大きく下回っているが、当団体では、道路底地等の取得価格が不明であるため、備忘価格1円で評価しているものが多数あることが主な要因である。また、当市では住民基本台帳人口を令和2年3月31日時点で算定したため公表数値と差異が生じている。歳入額対資産比率については類似団体平均値を大きく下回っている。有形固定資産減価償却率については、当市の公共施設の約5割が整備後30年以上経過しており老朽化が進んでいるため類似団体平均値を上回っている。今後も有形固定資産減価償却率は上昇すると考えられるが、老朽化した施設については耐震化や長寿命化、統廃合等の検討を進め、公共施設等の適正管理を図る。また、当市では償却資産に物品も含めて算定しているため、公表数値と差異が生じている。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値を下回り、純資産額は前年度末純資産残高より280百万円減少している。また、将来世代負担比率は、類似団体平均値を上回っている。新規に発行する地方債の抑制を行うとともに、高利率の地方債の借換を行うなど、地方債残高を圧縮し、将来世代の負担の減少に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たりの行政コストは類似団体平均値を上回っていある。特に、高齢者の割合が高く、また高齢化が進展していること等により社会保障給付が増加しているため、行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。今後も高齢化の進展等により今後もこの傾向が続くと考えられることから、事業の見直しや介護予防の推進等により経費の抑制に努める。また、当市では住民基本台帳人口を令和2年3月31日時点で算定したため公表数値と差異が生じている。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均値を上回っている。今後も公共施設更新等に地方債を財源として活用する予定ではあるが、計画的に事業を実施することで各世代に均一的な負担となるよう努める。また、当市では住民基本台帳人口を令和2年3月31日時点で算定したため公表数値と差異が生じている。基礎的財政収支は、基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を下回ったため、154百万円となっている。類似団体平均を下回っているが、投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して、新庁舎建設事業など公共施設等の必要な整備を行っているためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、昨年度より減少したが、類似団体平均値を上回っている。令和元年10月からの消費税率の引き上げに伴う経費の増加への対応や受益者負担の適正化の観点から手数料・使用料の料金改定を行った。手数料・使用料収入の中で最も多いのが、ごみ処理経費やし尿処理といった衛生手数料である。今後も受益者負担の適正化に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,