経営の健全性・効率性について
令和元年度決算は33,713千円の純利益を計上し、平成29年度に公営企業会計に移行して以来、初の黒字決算となりました。黒字決算となったのは、平成30年度に策定した経営戦略の投資財政計画に基づき、令和元年7月に下水道使用料を改定したことが主な要因となっており、これによって各種指標も改善しております。(丸数字は左図に対応)①経常収支比率:黒字決算のため、100%を上回りました。②累積欠損金比率:令和元年度の黒字で累積欠損金を補てんしましたので、比率が下がっております。③流動比率:使用料収益が増えたことで、資金が増加したため、流動比率が上昇しております。⑤経費回収率:年度途中からの使用料改定となったため、令和元年度決算では汚水処理経費の全額を使用料収入でカバーすることはできませんでしたが、状況は着実に改善しております。費用面を見てみると、「⑥汚水処理原価」については82.83円と、類似団体平均179.63円及び全国平均136.15円と比較して大幅に小さい値となっていること、また、水洗化率が97.08%と高い水準にあることから、効率的事業経営が図られているものと考えます。また、「④企業債残高対事業規模比率」については、類似団体平均及び全国平均と比べて低い状況となっていますが、今後、施設更新が控えており、経営の硬直化を防ぐため、投資の平準化と企業債発行の抑制を検討してまいります。
老朽化の状況について
北谷町においては法定耐用年数である50年を超過した管渠は無いものの、敷設後30年を経過した管渠を対象に下水道長寿命化計画を策定し、平成26年度から工事に着手しております。「③管渠改善率」0.34%は類似団体及び全国平均に比して高い値となっておりますが、管渠の耐用年数(50年)を考慮すると、決して十分な改善率ではないと認識しております。前2年と比較して率が低下しているのは、管渠(下水道管)の改築ではなく、謝苅第二中継ポンプ場の改築に取り組んだことも影響しております。現在、ストックマネジメント計画を策定中であり、より計画的な施設の更新に努めてまいります。
全体総括
令和元年7月に経営戦略に基づいた使用料の改定を行なったことで、全体的に良好な経営状況になっており、各種経営指標にもそれが表れております。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度においては米軍施設や大型宿泊施設といった大口需要家の排水量が大幅に落ち込んだことに伴い、下水道使用料収益も減少しており、非常に厳しい経営状況となっております。新型コロナウイルス感染症の今後の影響については不透明な状況が続くことが予想されますが、このような状況下でも安定した経営を維持できるよう、ストックマネジメント計画や経営戦略の策定・見直しに一層力を入れて取り組んでまいります。