経営の健全性・効率性について
経常損益については、「経常収支比率」が100%以上を維持しており、収支状況が黒字であることを示しています。前年度、「料金回収率」が100%を下回りましたが、経費負担の区分の見直しにより回復しました。「流動比率」については、100%を上回る値で推移していますが、当該年度は類似団体の平均値を下回りました。事業費の増加に伴い現金の減少傾向が続き、料金収入の減少が避けられない中、資金の確保に向けた取組みが課題となります。「企業債残高対給水収益比率」については、施設の統合事業による事業費の増加に伴い、企業債を活用したことから前年度より31.11ポイント上昇しました。類似団体と比較すると高い比率であるため、資金残高との調整を図りながら、今後の更新・耐震化事業を計画的に進めてまいります。「給水原価」は、類似団体より低い状況にあります。経年と比較しても概ね安定しており、費用の効率性は図られている状態ですが、今後も更新投資等に充てる財源の確保のため、更なる費用の削減などに努めていく必要があります。「施設利用率」は類似団体の平均を上回って推移しており、適正な規模と考えられます。「有収率」は昨年度より0.94ポイント低下し、大きな改善はみられていません。老朽管の計画的な更新を継続しながら、漏水調査について新たな手法を検討し、「有収率」の向上に努め、供給した配水量の効率性を高めていく必要があります。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」が昨年度より1.73ポイント低下したこと、及び「管路更新率」が前年度より増加したのは、施設・管路の新設及び更新によるものですが、類似団体と比較すると平均より低い水準にあります。また、「管路経年化率」が年々増加傾向にあることからわかるとおり、施設の老朽化は進んでいる状況です。現在まで行ってきた漏水調査や老朽管の計画更新を継続しつつ、アセットマネジメントに基づき、大規模な老朽施設の更新についても計画的に推進してまいります。
全体総括
経営については、現在まで概ね健全な数値を保持し、適正な状況を継続してきました。しかし、給水人口の減少や節水型家電の普及などを背景に、給水収益は年々減少傾向にある一方、老朽施設の更新や耐震化など施設投資の需要は増加していくなど厳しい状況を迎えていることから、更なる費用削減を図っていく必要があります。また、施設投資については、限られた財源の中で計画的かつ効率的に推進していくために、施設の長寿命化対策やアセットマネジメントの活用を図っていく必要があります。経営戦略については、平成28年度に策定済みです。