経営の健全性・効率性について
「経常損益」については、「経常収支比率」が100%以上を維持しており、収支状況が黒字であることを示しております。また「累積欠損」も発生しておらず、「料金回収率」も100%を超えていることから、「料金水準の適切性」が図られた健全な経営状態が保たれているといえます。「流動比率」については、年度によって増減があるものの、当該値は常に100%を超えており、十分な「支払能力」を有しています。「債務残高」については、今後の老朽施設の更新や耐震化などの大規模事業に備えて資本の増蓄を意識的に行ってきたため、「企業債残高対給水収益比率」は類似団体の平均を上回る状況にありますが、企業債の逓減を図りつつ、経営戦略をもとに、今後の大規模事業を計画的に推進して参ります。「給水原価」は、類似団体より低い状況にあります。経年を比較しても概ね安定しており、「費用の効率性」は図られている状態ですが、今後も更新投資等にあてる財源の確保のため、更なる費用の削減などに努めていく必要があります。「施設の効率性」については、「施設利用率」に表れているとおり、適正な規模となっています。「供給した配水量の効率性」については、「有収率」が示しているとおり、88%台で推移しており、大きな改善はみられていません。漏水調査や老朽管の更新などを計画的に継続して行い「有収率」の向上に努めることで、「効率性」を高めていく必要があります。
老朽化の状況について
「施設全体の減価償却の状況」や「管路の経年化の状況」については、「有形固定資産原価償却率」、「管路経年化率」が年々増加傾向にあることからわかるとおり、施設の老朽化が進んでいます。また、「管路更新率」に表される「管路の更新投資の実施状況」は類似団体と比較しても遅れている状態です。現在まで行ってきた漏水調査や老朽管の計画更新を継続しつつ、アセットマネジメントに基づき、大規模な老朽施設の更新についても計画的に推進して参ります。
全体総括
経営については、現在まで概ね健全な数値を保持し、適正な状況を継続してきました。しかし、給水人口の減少や節水型家電の普及などを背景に、給水収益は年々減少傾向にある一方、老朽施設の更新や耐震化など施設投資の需要は増加していくなど厳しい状況を迎えていることから、更なる費用削減を図っていく必要があります。また、施設投資については、限られた財源の中で計画的かつ効率的に推進していくために、施設の長寿命化対策やアセットマネジメントの活用を図っていく必要があります。