経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、営業収益のうち使用料収入は事業所の使用水量の減少により微減となり、営業外収益は、経営の見直しにより財源不足の充当ルールを変更し基金繰入金を286千円が減となった。対する総費用が微増したため、予算規模が少ない本事業においては、7.48%の減少となった。④企業債残高対事業規模比率については、企業債の全額を一般会計から繰入しているため数値は0となっている。⑤経費回収率は72.54%で前年比6.42%の減となっている。事業所の使用水量の減少と費用の微増により、数値が悪化した。全国平均及び類似団体平均よりは高い値となっているが、今後使用料の増は見込めないために、回収率維持のため費用の削減が必要となる。また、収支不足については一般会計繰入金により賄っている。債務残高はH22をピークに減少しているが、その財源は全額を一般会計繰入金で賄っている。⑥汚水処理原価は、全国平均及び類似団体平均より低い値で推移している。汚水処理費はほぼ横ばいである一方で事業所の使用水量の減少などの影響により有収水量が減少し、原価が高くなった。⑦施設利用率は事業所の使用水量の減少などはあったものの横ばいとなった。⑧接続している住戸のすべてが水洗便所を設置している。今後は、維持管理費の削減を図り、施設修繕等の財源確保のための料金改定を検討する必要がある。
老朽化の状況について
本市は地方公営企業法非適用につき、会計上の固定資産の減価償却を行っていないため、有形固定資産減価償却率の数値は出ていないが、実質は減価償却を行っており、この数値は法適用後に年々上昇していくと推測される。また、当施設はH14に供用開始し、比較的管路が新しいために、老朽管の更新などはまだ行っていなので、管渠老朽化率の数値は出ていない。今後は、既存施設の長寿命化を図っていくとともに、施設更新の際は、将来需要の予測を踏まえて、施設・設備の性能の合理化などを検討していく必要がある。
全体総括
小規模集合処理区は1処理区で、中規模の合併処理浄化槽90人槽1基で処理している。H14.2に供用開始して整備事業は完了している。整備した区画のすべてが接続された。R1は料金改定により一定の使用料収入増となった。しかし、処理区域内の人口は減少の一途となり、料金改定による使用料収入増以外、急激な収入増は見込めない状況にある。収支の均衡を保つために一般会計からの繰入金に依存しており、その経営体質は地方公営企業法を適用後も変わらないと予想される。施設は19年を経過しており、施設の長寿命化対策及び更新への投資が必要となってくる。その費用を賄うため、中長期的な視点で、適正な料金設定について検討し、持続可能な施設となるよう、経常経費の削減など経営改善に向けた取り組みが必要である。今後は、経営に企業会計方式を早期に導入して、さらなる経営の効率化と改善を図っていく。