経営の健全性・効率性について
地方公営企業法適用2年目のため、前年と比較し分析しました。①経常収支比率他会計からの繰入が増加したため、上昇した。また、他会計から企業債元利償還相当額の繰入を受けていますが当事業だけでは不足するため、農業集落排水事業から補填して賄っています。平成8年11月に供用開始し、電気・機械設備の更新時期を迎えていますが、投資に充てる財源は確保されていません。地理的要因により、更に人口減少が進むと推測します。使用料収入及び他会計繰入金では収入が不足しています。健全経営を継続するため、維持管理費の削減や更新投資等の抑制が必要です。しかし、高齢化率が高く組合員の日常管理も困難な状況にあり、これ以上の維持管理費の削減は難しい状況です。②累積欠損金比率他会計繰入金、農業集落排水事業からの補填により欠損金は生じませんでした。しかし、人口減少による使用料収入は減少、維持管理費は増加傾向にあります。使用料収入や他会計繰入金だけでは欠損金が生ずる状況です。③流動比率企業債元金償還の大半が終了し、令和7年度に企業債償還が終了します。減少していきます。④企業債残高対事業規模比率人口規模に比して事業規模が大きく、事業費が高かったと判断します。⑤経費回収率使用料収入が50万円程度のため、維持管理費を最大限削減しても経費回収率の上昇は困難と判断します。適正な使用料には2倍近い改定が必要であり現状困難なことから、公平性の観点から下水道事業として同一の使用料体系が限度と判断します。⑥汚水処理原価処理人口が少なく一定の経費は削減できないため、特環や農集に比して高額となっています。今後、有収水量の減少、修繕等の維持管理費用の増加が見込まれるため、更に上昇すると推測します。人口増加は見込めず健全経営は困難であり、下水道事業内での補填と他会計繰入金に依存するしかありません。⑦施設利用率事業計画人口が過大であったこと、地理的要件等による人口減少のため過大スペックとなっています。更新投資等の際には処理水量に見合ったダウンサイジングとするか個別合併浄化槽への事業変更とするかを検討する必要があります。⑧水洗化率100%を達成しています。人口増加は見込めず使用料収入増加には使用料改定しかありません。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率地方公営企業法適用時に減価償却累計額がリセットされたため、低い水準にあります。②管渠老朽化率法定耐用年数を超えた管渠はありません。今後、長寿命化対策が必要です。③管渠改善率更新した管渠はありませんが、雨天時の処理水量が増加することから、不明水の浸入対策が必要です。今後は、長寿命化対策が必要になります。
全体総括
本町下水道事業は、特定環境保全公共下水道事業、農業集落排水事業、小規模集合排水処理施設整備事業、個別排水処理施設整備事業の4つの事業からなります。令和2年度から地方公営企業法の財務適用等を適用して、4つの事業を1つの会計で運営しています。少子高齢化による人口減少が予測されることから、下水道広域化推進総合事業により農業集落排水事業を特定環境保全公共下水道事業へ統合し、維持管理費の削減や処理場更新費用の抑制を図っています。令和3年4月1日から農業集落排水事業2地区を特環へ接続し、統合しました。しかし、地理的要因等により広域化が困難な地区や事業があり、下水道事業会計の中で維持管理費や更新費用の財源を確保する必要があります。今後は、平成20年度に作成した生活排水処理区統廃合基本計画を見直し、耐震化計画やストックマネジメント計画を策定し、持続可能な下水道事業の運営と更新投資等の平準化を図っていきます。