経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、比較的良好に推移していますが、これは国で定められた一般会計からの繰入金と基準外の繰入金を多く含むためで、総収益の9割以上を繰入金が占めています。また、経費回収率に影響する汚水処理原価については、企業債にかかる元金償還に対して繰り入れを行う費用は含まれないものの、事業規模が極めて小さいことから、営業費用のスポット的な増減により大きく変動するとともに現在の使用料収入では大幅に総費用が賄えない状況となっています。企業債残高対事業規模比率については、一般会計からの繰入分を除いているため、類似団体や全国平均との比較では良好な数値となっていますが、企業債の償還は大部分が一般会計からの繰り入れによるもので、今後も一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況となっています。施設利用率については、類似団体や全国平均と比較しても大きな差はありませんが、事業の規模が小さく、今後、人口減少等による有収水量の減小により利用率も低下すると考えられます。水洗化率は100%となっていますが、事業規模が小さいこともあり転出・転入等の人口増減により大きく影響されると思われますが、人口減少等により使用料に反映される有収水量は減少していくことが見込まれます。
老朽化の状況について
小規模集合排水処理施設事業は、平成10年度から整備事業を開始し、平成13年度より供用開始していることから、管渠や建物等は法定耐用年数を超えておらず、老朽化施設とはなっていません。なお、浄化槽設備・上屋建物等のスポット的な修繕については随時実施しています。
全体総括
小規模集合排水処理施設事業は、処理区域人口30人程度の汚水処理を行う事業であり、総費用を使用料収入のみで賄うことは将来的にも不可能であるため、料金値上げも必要と考えられますが、飛騨市の下水道事業は平成23年度より料金が統一されており下水道事業全体の経費回収率を考慮して適正な料金設定を行う必要があります。今後も必要最低限の一般会計からの繰り入れを行いながら、維持管理費の削減に向けた取り組み等を行っていきます。また、施設利用率の状況等も踏まえ、施設の廃止や個人設置型浄化槽への転換等、アクションプランに基づく事業の効率化についても検討した上で、今後の人口減少の影響を考慮した長期的な『経営戦略』を農業集落排水施設事業及び簡易排水施設事業と併せ、平成29年3月に策定しており令和4年3月に見直しを行いました。