経営の健全性・効率性について
・水源を確保するためにダムを建設したため、給水原価が全国に比べて高い状況にあるものの、H23に水道料金を20円/㎥引き下げても、料金回収率が100%を上回っており、適正な水道料金の設定ができている。また、水需要を踏まえた先行投資を行うなど施設利用率に対して高い最大稼働率(H27は91.1%)を維持し、責任水量制度の採用などにより、100%以上の有収率を確保するなど着実に収入へと結びつけている。費用においては、浄水場の運転管理委託等による民間活力の導入や薬品等の一括購入などにより、費用の低減にも努めている。その結果、経常収支比率は100%以上を確保しており、累積欠損金もないなど、安定した健全経営が維持できている。・さらに、高利率な企業債の繰上償還や、計画的な企業債の償還を行うなど、十分な内部留保を確保しつつ、将来的な債務負担は着実に減少してきた。H26には公営企業会計制度の改正により流動比率が大幅に減少したものの、200%以上を維持しており、十分な短期の支払能力を維持している。また、長期の債務残高の程度を示す企業債残高対給水収益比率も着実に減少して全国平均を下回るなど、短期・長期ともに安定的な経営状況である。
老朽化の状況について
・他団体と比べて比較的遅く給水を開始した(S54~)ため、有形固定資産減価償却率が全国に比べて低く、浄水場・管路など有形固定資産の多くは比較的新しい。また猪名川、東播磨、西播磨の3地区を集中的・一体的に整備したため、H26に法定耐用年数を迎えた管路が一気に増加し、管路経年化率が全国平均を上回った。・こうした課題に対応するため、大規模な漏水事故の発生抑制、機器故障による給水停止リスク回避、施設更新時期の分散化を盛り込んだ「アセットマネジメント推進計画」をH20に策定し、施設点検の強化を図るとともに施設ごとに使用目標年数を定め、投資コストの平準化を図りつつ、計画的な施設更新を進めている。
全体総括
・今後とも、経営の合理化や効率性に努めるとともに、「アセットマネジメント推進計画」による施設の長寿命化等を図り、経営の健全性を確保していく。・また、県全体として、人口減少等の課題に対応して、将来にわたり安全・安心な水道用水を供給するために、広域化などの手法により、県内の水道事業全体がより一層の経営基盤の強化を図る必要がある。そのためには、末端給水を行っている県内市町水道への支援が重要であり、県水への転換や、技術者不足等の市町水道の課題解決に向けた技術支援方策を検討する必要がある。