経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成26年度以降、新会計基準から新たに発生した長期前受金の影響により急激に増加しています。平成28年度は100%を超えているものの、管路の除却に係る費用等が増加したため、類似団体平均値を下回っている状況です。企業債残高対給水収益比率は、老朽施設の更新に取り組むために借入額を増額しており、平成28年度は前年度比9.69ポイント上昇しています。料金回収率が類似団体平均を下回っているのは、給水収益以外の旧簡易水道施設の維持管理費等にかかる繰出金や、富田林市との共同施設(浄水場)の運営経費にかかる負担金収入が多いことによるものです。給水原価については、本市はダム水をはじめとして自己水の割合が高く、高低差の多い地形条件のため浄水配水施設を多く所有し、それらの施設の減価償却費が高いため、元来、給水原価は高くなっています。ただし、これらの資産は開発団地からの受贈による資産が多く、平成26年度からの新会計基準適用により、急激に給水原価が低下しました。平成28年度は有収水量が減少している一方で、管路の除却に係る費用等が増加しているため、給水原価は上昇しています。施設利用率が類似団体平均に比べて低くなっているのは、高度成長期の人口急増に合わせて施設の整備をしてきたため、現在の人口規模に対して施設規模が過大になっていることが考えられます。
老朽化の状況について
本市の有形固定資産減価償却率は50%を超えており、施設の老朽化が相当進んでいることを示しています。施設の老朽化対策等については、平成25年度に水道施設整備計画を策定しており、基幹施設の耐震化事業や重要給水施設への管路の耐震化を順次実施しています。管路経年化率が平成25年以降上昇しているのは、本市は昭和40年~50年代頃に大規模な住宅団地の開発が進み、その時期の配水管が更新時期を迎えているためです。管路更新率については、重要管路を優先して更新を行っているため、類似団体平均を下回りました。
全体総括
本市水道事業は高低差の多い地形の特徴から多くの施設を有しており、その多くが更新時期を迎えていることから、今後の更新投資の増加は避けられません。しかしながら、人口減少傾向も止まらず、給水収益の増収は望めない状況の中、健全経営を維持していくためには更なるコスト意識を高めて経営していく必要があります。現在、平成30年度を目標として、災害対策や施設を適切な規模に縮小すること等も組み込んだ施設整備計画の見直しや料金改定を含めた経営戦略の策定等に取り組んでおります。その計画を基に施設や管路の更新を推進しつつ、住民に理解を得られるよう安全で健全な経営維持に努めてまいります。