経営の健全性・効率性について
令和元年度の経常収支比率は、前年度と比較して滝畑ダムの取水制限のため受水費は増加しましたが、人件費や除却費などが減少し、0.32ポイント改善しました。しかしながら、依然として、類似団体平均値を下回っている状況です。流動比率は前年度と比較し、未払金が増加したため、下降しました。企業債残高対給水収益比率は、大規模施設更新工事の完了により企業債残高は昨今減少しており、令和元年度は、前年度比1.89ポイント下降しました。料金回収率が類似団体平均値を下回っているのは、給水収益以外の旧簡易水道施設の維持管理費等にかかる繰出金や、富田林市との共同施設(浄水場)の運営経費にかかる負担金収入が多いことによるものです。給水原価については、本市はダム水をはじめとして自己水の割合が高く、高低差の多い地形条件のため浄水配水施設を多く所有し、それらの施設の減価償却費が高いため、元来、給水原価は高くなっています。施設利用率が類似団体平均値に比べて低くなっているのは、人口減少等の水道使用量減少により施設規模が過大になっていることが考えられます。
老朽化の状況について
本市の有形固定資産減価償却率は50%を超えており、施設の老朽化が相当進んでいることを示しています。令和元年度は、重要給水施設などへの耐震化を実施するとともに、老朽化施設や設備の更新を進めるため、中央監視施設や配水池の再構築に係る基本計画を策定しました。管路経年化率が平成27年度以降上昇しているのは、昭和40年代の大規模な住宅団地の配水管路の老朽化が進んできていることによるものです。管路更新率については、類似団体平均値を下回っていますが、重要給水施設管路を優先して更新をすすめていることから、口径が大きく費用的にも大きくなることから、更新延長の伸びに影響が出ています。
全体総括
本市の水道事業は、高低差の多い地形の特徴から多数の施設を有しており、その多くが更新時期を迎えているため、今後の更新に係る投資の増加は避けられません。また、施設利用率は、類似団体平均値と比較して低く、今後も人口減少が見込まれるため、浄水場の統廃合やダウンサイジングを進めていく必要があります。管路更新率は、現在のペースで更新すると約192年かかるため、重要な管路から計画的に更新・耐震化を進め、漏水事故や災害時の被害低減を図っていく必要があります。以上のことを踏まえ、平成30年度に策定した広域化や水道料金の適正化など健全な経営を行うために、投資の方向性や財政計画を示した経営戦略の要素を組み込んだ河内長野市上下水道ビジョンの中で定めた上下水道の将来像を着実に実行するため、令和元年度は、中央監視制御機能を再構築するための基本計画や配水池の統廃合の基本設計を行いました。今後、さらに計画の進捗管理を行いながら、施策の推進に努めていきます。