経営の健全性・効率性について
経常収支比率を見ると、平成26年度は前年度と比較して11.12ポイント上昇しており、経営状況は改善しているように見えますが、これは新会計基準から新たに発生した長期前受金の戻入収益の増加によるもので、給水収益については人口減少や節水意識の高まりなどから減少傾向が長く続いています。また、企業債残高対給水収益比率は平成22年度から平成24年度まで新たな借入を行っていなかったため減少していますが、平成25年度以降は老朽施設の更新に取り組むため、新規借入を再開したことにより上昇しています。料金回収率が類似団体平均を下回っているのは、給水収益以外の旧簡易水道施設の維持管理費等にかかる繰出金や、富田林市との共同施設(浄水場)の運営経費にかかる負担金収入が多いことによるものです。給水原価については、本市はダム水をはじめとして自己水の割合が高く、高低差の多い地形条件から浄水配水施設を多く所有していることから、減価償却費が高くなっており、元来、給水原価は高くなっています。ただし、これらの資産は開発団地からの受贈による資産が多く、平成26年度からの新会計基準適用により、長期前受金戻入収益が発生し、給水原価の算定で減価償却費から長期前受金戻入見合い額を控除することで急激に給水原価が低下しました。施設利用率が低くなっているのは使用水量の減少によるもので、今後は危機管理面を考慮したうえで施設を適切な規模に縮小することも検討していく必要があります。
老朽化の状況について
本市の有形固定資産減価償却率をみると、50%を超えており、施設の老朽化が進んでいることを示しています。施設の老朽化対策等については、平成25年度に水道施設整備計画を策定しており、順次、基幹施設の耐震化事業や重要給水施設への管路の耐震化を重点として、計画的に実施しています。管路経年化率が平成25年に上昇しているのは、本市は昭和40年~50年代頃に大規模な住宅団地の開発が進み、その時期の配水管が更新時期を迎えているためです。大規模団地の更新については、更新時期が重なっていることや、規模が大きいため、他の施設の更新計画も踏まえ、順次計画的に行っていきます。
全体総括
本市水道事業は多くの施設を有しており、その多くが更新時期を迎えていることから、安全に水道水を供給するためには、今後の更新投資の増加は避けられません。しかしながら、人口減少傾向も止まらず、給水収益の増収は望めない状況の中、健全経営を維持していくためには、費用についての更なるコスト意識を高めて経営していく必要があります。具体的には、現在までに職員数減による人件費の削減や修繕については修繕引当金の積極的な活用などにより費用の削減に取り組んできましたが、人件費についてはこれ以上の人員削減は危機管理や施設の安全な維持管理を行ううえで難しく、今後は災害に強く、安全な水道を維持していくためにも、料金改定も視野に入れ、民間のコスト意識を参考に住民の理解を得られるよう健全な経営を行っていきます。