経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成26年度以降、新会計基準から新たに発生した長期前受金の影響により急激に増加しています。平成29年度は100%を超えているものの、水道施設の管理運営を含む包括的な委託拡大を行ったため、類似団体平均値を下回っている状況です。企業債残高対給水収益比率は、大規模施設更新工事の完了により借入額が減少したため、平成29年度は、前年度比2.51ポイント下降しています。料金回収率が類似団体平均値を下回っているのは、給水収益以外の旧簡易水道施設の維持管理費等にかかる繰出金や、富田林市との共同施設(浄水場)の運営経費にかかる負担金収入が多いことによるものです。給水原価については、本市はダム水をはじめとして自己水の割合が高く、高低差の多い地形条件のため浄水配水施設を多く所有し、それらの施設の減価償却費が高いため、元来、給水原価は高くなっています。ただし、これらの資産は開発団地からの受贈による資産が多く、平成26年度からの新会計基準適用により、急激に給水原価が低下しました。平成29年度は有収水量が減少している一方で、委託料等が増加しているため、給水原価は上昇しています。施設利用率が類似団体平均値に比べて低くなっているのは、人口減少等の水道使用量減少により施設規模が過大になっていることが考えられます。
老朽化の状況について
本市の有形固定資産減価償却率は50%を超えており、施設の老朽化が相当進んでいることを示しています。施設の老朽化対策等については、平成25年度に水道施設整備計画を策定しており、基幹施設の耐震化事業や重要給水施設への管路の耐震化を順次実施しています。管路経年化率が平成25年以降上昇しているのは、本市は昭和40年~50年代頃に大規模な住宅団地の開発が進み、その時期の配水管が更新時期を迎えているためです。管路更新率については、類似団体平均値と同程度ですが、重要管路を優先して更新を行っています。
全体総括
本市の水道事業は、高低差の多い地形の特徴から多数の施設を有しており、その多くが更新時期を迎えているため、今後の更新に係る投資の増加は避けられません。また、施設利用率は、類似団体平均値と比較して低く、今後も人口減少が見込まれるため、浄水場の統廃合やダウンサイジングを進めていく必要があります。管路更新率は、現在のペースで更新すると約102年かかるため、重要な管路から計画的に更新・耐震化を進め、漏水事故や災害時の被害低減を図っていく必要があります。以上のことを踏まえ、広域化や水道料金の適正化など健全な経営を行うために、投資の方向性や財政計画を示した経営戦略の要素を組み込んだビジョンを策定し、平成31年度より事業を進めていきます。