地域において担っている役割
当院は、富士保健医療圏で最大の総合病院であり、またICU・NICUを有するなど高度急性期医療を担うほか、結核、感染症、救急、精神医療等の不採算部門を背負うなど地域の中核病院として、住民の生命を持続的に守ることで、安心・安全な社会づくりの一翼を担っている。また、地域がん診療病院として、専門的ながん医療の提供、相談支援や情報提供などの役割を担っている。さらに、令和2年8月より県から新型コロナウイルス感染症重点医療機関の指定を受け、主に中等症以上の患者受入れを行うなど、その役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
令和2年度に医業収支比率の急激な下落が生じた。これは主に、新型コロナウイルス感染症重点医療機関としてコロナ対応を図るため、一般病床の制限を行った結果、入院収益の大幅な減が生じたことによるものである。しかしながら、この医業収益の減を上回るコロナ関連補助金を受け入れたことにより黒字化を果たし、経常収支比率や累積欠損金比率が改善されることとなった。コロナ以前の経年変化に着目すると、病床利用率が下落傾向にあり、職員給与費対医業収益比率が上昇傾向にあることから、職員配置に見合う収益化が得られていないと分析できる。このため、集患対策や手術件数の向上により増収を図ると共に、職員数の適正化を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
現病院は開設から35年が経過しているため、有形固定資産減価償却率が75%程度と平均値より相当に高く、類似病院に比べて老朽化が進んでいることを示している。今後は新病院建設を見据え、現施設の長寿命化対策を施す必要性があるため、限られた予算の中でより効率的・計画的に施設、設備の更新を図っていく。器械備品減価償却率は、電子カルテの償却状況に応じて大きく変動しているが、こちらも類似病院より老朽化の傾向があるため、備品購入時において価格競争が促されるような機種選定をするなど効率的な予算執行を図っていく。
全体総括
当院の施設老朽化は著しいため、今後は施設長寿命化経費の増加(短期的課題)と新病院建設に向けた資金確保(長期的課題)という両側面から多額投資に向けた準備が必要となる。これらを実施するためにも、増収対策や資源活用の効率化が必須であり、他病院とのベンチマークデータや経営支援業者なども活用しながら経営改善を図っていく。同時に、地域医療支援病院として、また新型コロナウイルス感染症重点医療機関として、一般医療とコロナ医療の両立体制を確保し、地域完結型医療体制構築の更なる推進を図れるよう職員一丸となって推進していく。