地域において担っている役割
市立島田市民病院は、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして、二次救急対応や政策的な医療(結核病床8床、感染症病床6床を有する)を提供し、他の公立病院と連携して急性期医療を中心に担っている。また、島田市唯一の病院であり、地域医療支援病院として、地域医療を担うかかりつけ医等を支援し、診療所等と密接な連携を図っている。さらに、静岡空港が立地する医療圏にあって、唯一の第二種感染症指定病院としての役割も果たしている。また、災害拠点病院としての指定を受けており、DMAT1チームを有している。
経営の健全性・効率性について
令和2年度においては、常勤医師不在のため入院診療を休止していた診療科の常勤医師の赴任等により、医業収益が前年度より改善し、医業収支比率は、類似病院平均値を上回るところまで回復した。しかしながら、依然として一部の診療科の医師の不足により十分とは言えない診療体制が続いているため、医師の招聘がなお望まれる。費用については、職員給与費対医業収益比率は類似病院比率を上回っているが、医業収益の増加、適切な人員配置による効率的な運営についての検討がさらに必要である。材料費対医業収益比率は、類似病院と比べれば低い数値となっているため、購買監査や共同購入など費用を抑える努力を今後も継続したい。
老朽化の状況について
耐震性や施設の狭隘化、動線の複雑化の問題等を解決すべく、新病院建設事業が現在進められている。令和3年春の新病院開院予定を控え、令和2年度中に新病院建物の引き渡しを受け固定資産に計上した。既存建物の除却については令和3年度を予定しているため、有形固定資産が大幅に増加し、その影響で有形固定資産減価償却率も減少となった。
全体総括
令和2年度は、引き続き一部診療科における医師不足に加え、新型コロナウイルス感染症対応に奔走した一年であった。その中において、事業収益は改善した。新病院が令和3年春に開院することを見据え、医療設備の整備や合同説明会での当院のPR、修学資金活用の周知や大学訪問の実施、また医療秘書活用等の働きやすい環境づくりの取り組みにより医師を招聘したい。また、新病院においては新たな施設基準の取得に加え、市内・郡内の病診連携を一層強化し、志太榛原圏域やその周辺の医療機関との新たな病病連携を目指す。以上により医業収益の増加、経常収支比率等の改善を図り、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして地域医療の貢献に努めたい。