地域において担っている役割
本院は、町立病院として地域包括ケアシステムの一翼を担うと共に、町内唯一の病院として地域医療を提供している。受診する患者数の多くは高齢者であり、内科・整形外科中心の診療体制を維持提供することが求められている。また、近年では周辺病院で眼科体制が縮小傾向にある中、地域の高齢者の白内障手術の需要が高まっている。二次医療圏内では基幹病院との役割分担を明確化し、後方支援としての役割を求められている。主には在宅医療の提供、救急医療体制の維持、入院医療においては回復期から慢性期を対象としている。また、地域の障害者施設や老人介護施設、在宅患者への往診や、地域企業の産業医としての予防活動、中学校部活動に係る障害予防、町の実施する集団健康診断などの各種予防活動に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、昨年度より2.7%改善し99.0%となった。患者数では入院で前年度を1,076人、外来では903人下回った。外科系医師1名の退職による影響もあったが、引続き内科・整形外科医師の獲得に努め、病床利用率の増加を図りながら医業収支比率の改善も目指す。⑥外来患者1人1日当り収益が、1,644円下回ったのは、令和元年7月から完全院外処方化による薬品収入の減少による外来収益減(△90,116千円、△22.6%)であるが、医業費用の薬品費減(△105,083千円、△67.7%)で相殺されている。職員給与費については、前年度比△5.2%であったが、院外処方化による外来収益減少により、⑦は昨年度と同様の比率となった。外来については、適切な間隔による診療回数の増加を図るとともに、適切な受診時検査の実施により、外来収益の増加を図る。材料費等については、引き続き後発医薬品への積極的切替えを行い、経費の削減に努める。前記した入院収益増加対策及び外来収益増加対策を積極的に行い、単年度収支を黒字化することにより、年々増加している③累積欠損金比率の低減を目指す。
老朽化の状況について
当院では、平成25年度から平成28年度にかけて、施設の大規模改修と電子カルテシステムの導入が行われた。また、耐用年数の過ぎた医療機器の更新事業がここ数年続いている。このため、減価償却費は年々微増の傾向にあり、医療機器の更新については長期財政計画のもと計画的な購入に心がけているものの、1台1台が高額なため減価償却率は年々増加傾向にある。
全体総括
令和元年度は、外科医師の途中退職等もあり、入院患者数が減少傾向にあるものの、入院1人1日当たりの収益は整形外科の手術等もあり、前年度より増加(746円、2.9%)増加した。令和元年7月からの完全院外処方化及び後発医薬品への切替えの影響により収益面では減収となっている。経費面では、ここ数年職員の育児休暇取得者が続き、欠員補充のための臨時職員の雇用が増えている。今後医師や看護師の働き方改革により、経費面では人件費が増大することが予想される。職員個々の資質を向上させ接遇面や技術面で研鑚し、地域での信頼度を高めるための研修に今後取り組んでいきたい。