地域において担っている役割
「地域全体で一つの病院」として機能するため、当院は高齢者を中心とした回復期の医療提供を行い、急性期病院や近隣開業医、介護施設を連携させる機能を担っている。今後、当医療圏域における超高齢化の更なる進行を踏まえ、在宅医療、へき地医療、認知症医療、終末期医療など、高齢者を支える医療を提供するとともに、住民健診、事業所健診、人間ドックなど総合健診事業を行い、地域住民の健康増進・予防活動に積極的に取り組んでいく。
経営の健全性・効率性について
医療再編により病院規模を縮小することとなり、平成26年度から建物の一部及び周辺設備の解体撤去工事並びに院内改修工事など、医療再編に関連する整備を行ってきたが、当年度でほぼ完了したことから、平成29年度以降は経常費用を抑制できると見込んでいる。また、当年度は病床の一部を地域包括ケア病床に転換し、地域ニーズに即した医療を提供して増収を図るとともに、診療報酬の上位加算に対応した医療体制の構築に取組んでおり、今後は医業収支比率の改善が見込まれる。なお、電子カルテ、MRI装置など高額な医療機器については、南魚沼市民病院と共同利用することで、効率的かつ経済的な運用に努めている。
老朽化の状況について
築40年が経過し、施設の老朽化が進んでいることから、医療再編時に高圧電気設備、通信回線設備、医療ガス設備、防災設備など主要設備の更新を行った。その他施設・設備については、日常的に保守点検及び修繕を行いながら長寿命化に努めている。また、医療機器については、耐用年数経過後も定期的に保守点検を行い、必要な修繕をしながら長寿命化に努めている。医療再編により病床規模を縮小したものの、施設の規模は大きく変わっていないことから、有形固定資産減価償却率、1床あたり有形固定資産が類似病院の平均値を大きく上回り、施設の利用効率が悪い状況となってる。
全体総括
当市の人口については、全体としては今後も減少が進むものの、高齢者人口は2025(H37)年まで増加を続け、その後2040(H52)年までは現在よりも高水準で推移すると推計している。このことから、当院が担う高齢者を中心とした回復期の医療については、長期間にわたり高いニーズが見込まれる。また、医療再編に関連した施設整備がほぼ完了したことから、平成29年度以降は経常収支比率を改善するとともに、累積欠損金を減らし、類似病院平均値を大きく上回る累積欠損金比率についても改善するよう努める。ただし、施設の老朽化が進行していることから、事業継続等についての抜本的な検討が必要となっている。