地域において担っている役割
埼玉県の都道府県がん診療連携拠点病院に指定されている、がん診療専門の医療機関である。平成25年度には103床増床し、より多くのがん患者を受け入れる設備が整っている。また、がん医療技術の発展に伴い、さらなる高度医療の提供に取り組んでおり、平成30年度にはがんゲノム医療連携病院に指定されている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率と②医業収支比率は、平成25年度の新病院建設により低下したが、以降は着実に上昇している。今後必要な医療スタッフを確保し、業務フローの改善に努めることでさらなる比率の上昇を見込む。③累積欠損金比率は新病院建設後の平成25年度から増加している。今後収支を改善することで累積欠損金を解消していく。④病床利用率は、入院期間の短縮や外来化学療法などの新しい治療法により患者数が伸び悩んでいる。⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益はほぼ横ばいであるが、外来での術前検査や入院期間の適正化を徹底するなど、引き続きDPCの適正運用に努めていく。⑦職員給与費対医業収益比率は医業収益の増加により減少傾向である。⑧材料費対医業収益比率は近年増加傾向である。今後はSPDをさらに活用し材料費を削減していく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成25年度に病院を新築したこともあり、類似病院よりも比率は低くなっている。②器械備品減価償却率は、新病院オープンのため購入した備品の償却が進んでおり、比率は上昇している。③1床当たり有形固定資産は平成27年度から器械備品の償却が進み減少傾向であったが、平成28年度以降は横ばいとなっている。今後、新病院オープン時に整備した医療機器が数年後同時に更新時期を迎えることから、更新に備えて十分な医業収益を確保していく必要がある。
全体総括
平成25年度に103床増床したが、周辺の医療機関にがん治療の均てん化が進み、新規患者数が伸び悩んでいる。近年は主に術前患者をサポートする周術期センターの運用を拡大するなど、患者が安心してスムーズに治療できる環境の整備に努めている。また、化学療法が入院から外来にシフトしているため、通院治療センターのさらなる充実を図っている。今後は希少がん患者の受入れや手術用支援ロボット活用による低侵襲手術を始めとして、がんゲノム医療連携病院としてがんゲノム医療も充実させていく。