地域において担っている役割
当院は、旧小牛田町と旧南郷町の合併により、平成18年から美里町立南郷病院と名称を改め、南郷地域(旧南郷町)唯一の医療機関(歯科診療所を除く)として、救急告示病院の役割も担っている。不採算地区病院の要件第2種を満たす状況にあるが、慢性疾患を抱える高齢者の定期受診や町民を対象とした人間ドック、二次救急までの対応など、地域で必要とされる医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
医業収益のすべてで前年度より減少し、年延患者数は、前年度と比較して入院患者と外来患者のいずれも減少という状況である。また、患者一人一日当たりの診療収入は入院で増加、外来で減少している。患者数の減少については、人口減少など地域の実情が影響しており、不採算地区病院を対象とした一般会計からの繰入金が必要不可欠となっている。なお、令和元年度の収益的収支における一般会計からの繰入金は、前年度と同額の2億円となっている。経常収支比率は、一般会計からの繰入金が前年度と同額であったため、前年度より1.1ポイント下がった状況となっており、美里町病院事業新改革プランに基づき、必要に応じて一般会計からの繰入金を弾力的に増額することは引き続き必要な状況である。
老朽化の状況について
器械備品減価償却率は、類似病院平均値を超えており、類似病院と比較し、更新が進んでいない状況となっている。経常収支比率は99.6%であり、器械備品を含めた施設の老朽化に対して、経常収益では更新費用を賄えない状況が続いている。病院本体を建設した際の企業債償還が令和6年度までとなっており、資本的収支において、資金減少が大きく生じる状況となっているため、一般会計からの繰入金は、美里町病院事業新改革プランに基づき、弾力的な増額が必要となっている。
全体総括
令和元年度の入院患者1人1日当たり収益は、前年度より増加したが、年延入院患者数は前年度より減少している。年延外来患者数は平成24年度から毎年減少し、減少の原因として確認できたのは、地域の人口減少であり、不採算地区病院としての環境がさらに厳しくなっている。医業収支比率がさらに上昇することは望ましいが、不採算地区病院の要件第2種を満たす状況にあって、収入で支出が賄えず、不足する金額に対しては、一般会計からの繰入金が欠かせない状況である。美里町病院事業新改革プランに基づき、必要に応じた弾力的な増額は、今後も必要となる。