地域において担っている役割
大崎・栗原医療圏における「回復期・慢性期」医療を中心とした,岩出山地域のかかりつけ医機能を担う。
経営の健全性・効率性について
当院は,過疎化が進む不採算地区病院であり,多くの指標で平均値を下回っていることから,経営は厳しい状況にある。平成28年度における医業収支比率は63.8%と平均値を5.7p下回り,医業収支の不足額については一般会計繰入金にて補填されるものの,経常収支比率においても平均値を3.1p下回った。平成27年度比で経常収支比率が5p悪化したことにより累積欠損金比率も上昇したが,平均値比では△9pであった。病床利用率は平均値を上回ったが,1人1日当たり収益は入院・外来ともに平均値を下回っている。一方費用では,平成27年度比で診療応援医師の減により医業収益が減少したため,給与費比率が増加した。今後の課題としては,本院から状態が安定した患者を受け入れることにより収益を確保するとともに,費用削減に取り組み,収支不足額の縮減に努めたい。
老朽化の状況について
平成28年度における有形固定資産減価償却率は,34.1%であり平均値比で△18.6pとなっている。これは旧施設の老朽化に伴い,平成23年度に実施した建替が影響している。また,機械備品減価償却率については,建替時に更新した各種機器の耐用年数が近づいており年々上昇している。なお,平成28年度で平均値と比較すると△2.4pとなっている。1床当たりの有形固定資産としては,平均値と比較し△7.5百万円であるが増加傾向にある。今後は,新大崎市民病院改革プランにおいて,在宅復帰支援を目的としたリハビリテーション訓練室の整備を計画しており,1床あたりの資産額は増加する見込みであるが,高度な検査が必要となる場合は本院で実施するなど,病院事業内の連携により,収益性を考慮し,施設規模に即した設備整備を実施していきたい。
全体総括
前述のとおり,当院は不採算地区病院であり,経営状況は同規模病院と比較し厳しい傾向にある。今後は,新大崎市民病院改革プランで示すように,地域包括ケア病床の設置や,新たなリハビリテーション機能の導入により,住み慣れた地域や自宅で過ごせるよう,地域包括ケアシステムの一助を担っていく。本設備投資により減価償却費をはじめとした費用の負担は増加するものの,容態が安定した患者を本院などから積極的に受け入れることで,一定数の患者を確保し,収支不足額の減少に努め,市民が安心できる医療を継続的に提供できるよう経営改善を図っていきたい。