地域において担っている役割
当町は743㎢の広大な地域に約2,500世帯、人口が約5,000人居住している過疎地域であり、町内における医療機関は当該病院のほか、約30㎞離れた地区に、嘱託医師が週2日診察にあたっている診療所が1施設しかない状況です。このような状況から、当該病院は地域における医療を確保するために不可欠な病院であり、救急指定病院としてもその役割は大変重要です。
経営の健全性・効率性について
本業である医業収支は、職員給与費が医業費を上回るほど高いことに加え、患者1人当たりの収益が低いことから、大変厳しい状況で推移しており、病院活動全体の経常収支は、収支不足分を一般会計から繰出すことにより、何とか欠損金を解消している状況が続いております。材料費は、毎年、見積合わせにより最も安い購入業者を細かく選定し節減を図っており、一定の成果が出ていると考えます。
老朽化の状況について
当該病院は昭和38年に建設され、平成8年に大規模改修を行いましたが、建設から55年が経過しており、安全面から建替工事を進め、平成31年1月末に竣工しました。完成した新病院は、旧病院に隣接する敷地内に移転し、医療機器や一般備品の入替え、周辺環境も整備しながら、令和元年7月1日より開院したところです。
全体総括
過疎地域での病院経営は依然厳しい状況ではありますが、民間医療機関の参入は見込めず、最寄りの医療機関への距離も遠いことから、地域で医療体制を確保するには、町が病院を開設運営せざるを得ない状況です。高い人件費と低い患者単価から生じる収支不足分を一般会計からの繰出金で補填することは、一般会計の財源からも最小限に抑制したいと考えますが、取り巻く環境から抜本的な打開策は見あたらないのが現状です。新病院の運営が既にスタートし、病床数の減(48床➝42床)、眼科外来が10月に開設しました。新たな医療設備や機器等に要する保守料など、経費増が想定されますが、地域での医療体制を安定的に維持できるよう、経営改善に努めます。