地域において担っている役割
本町は、平成28年4月1日現在で人口3,560人、高齢化率は42%を超える過疎地域で、道内でも高齢化率の高い自治体である。町立病院は、町内唯一の入院病棟を備えた医療機関であり、平成7年4月からは救急医療機関の指定を受け、町民が安心して入院や診察を受けることのできる公的医療機関としての役割を担っている。また、近年では健診業務の充実にも努めており、健診受診率が道内でも上位となるなど予防医療においても重要な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
本町の病院事業については、表②から医業収支が類似団体と比較しても減少傾向にある。これは表④~⑥の外来患者および入院患者の減少も影響しているが、救急医療や不採算医療の提供によるところが大きい。さらに、表③の累積欠損金においては類似団体と比較しても非常に少なく、表①からも地域の医療提供体制の役割を果たし、持続可能な経営を維持していることがわかる。表⑦の職員給与費対医業収益比率においては、類似団体と比較すると割合が高くなっているが、公立病院として地域の医療提供体制を維持しつつ今後も適切な支出に努める。表⑧の材料費対医業収益比率については、類似団体と比較しても健全な割合で推移している状況である。
老朽化の状況について
表①~②の有形固定資産及び機械備品の減価償却率については、類似団体と比較しても少ない数値で推移していることから、これまで実施してきた計画的な備品等の更新により老朽化を未然に防いでいることがわかる。表③の1床当たり有形固定資産においては、類似団体と比較をしても同等程度で推移しており、過大な投資とはなっていない。全体的に施設および備品が老朽化しすぎないよう計画的な更新に努めていることから病院運営の過大な負担とはなっていないと考える。
全体総括
地域における公的な医療機関として、地域医療提供体制の確保のため、病院経営の健全化は今後も必須である。引き続き地方公営企業法の一部適用により運営し、人口や患者数の減少などの動向を見据えながら、将来のあり方について検討する必要があると考える。