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地方財政ダッシュボード

福岡県直方市の財政状況(2020年度)

🏠直方市

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

人口の減少・高齢化傾向が続き、旧産炭地を脱却するほどの基幹的産業もないことから、本市の財政力指数は0.56と、類似団体と比較しても低い水準が続いている。財政基盤強化のため、雇用を創出し、移住・定住を促進させることで、地方税等の自主財源確保に努めるとともに、歳出面でも支出の削減を図ることで、国県等からの歳入や市債に頼らない自立した財政運営を目指す。

経常収支比率の分析欄

令和2年度は人件費である退職手当が減少したことにより、経常収支は3.1ポイント改善した。しかし、大型の建設事業が開始となったことにより公債費が増加に転じ、扶助費に関しても、障がい、児童、高齢者等、全般的に年々増大している。今後も公債費が増加見込みであるため、税収等の経常的一般財源の確保、DXの推進等よる事務の効率化に努め、経常経費の削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

物件費については、ふるさと納税の寄付の減少等、減少要因はあったが、新型コロナウイルス感染症対策に係る委託費等の増額により、前年度比10.0%増となった。人件費については、退職手当の減少により、微減となった。本市は人口が減少傾向にあることから、人口1人当たりの経費としては大きな削減が困難な状況である。例年、類似団体平均値とも大きな差はないが、他市町村の状況を調査し、効果が見込めるような事例・取り組みは積極的に導入を検討していく。

ラスパイレス指数の分析欄

例年、類似団体の平均値よりも1~2ポイント高い数値で推移している。近隣市町村の状況を考慮しながら、適正な水準を維持できるように努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

例年、類似団体平均値とも大きな差はない状況ではあるが、組織・定員管理計画に基づいた適切な配置とDXの推進やアウトソーシングの活用を図ることで内部管理事務の改善を図っていく。

実質公債費比率の分析欄

昨年度まで事業費の削減と市債発行の抑制に努めた結果として、3年平均では0.2ポイントの改善となっている。しかし、大型の建設事業の財源とした地方債の償還が開始され、市債償還金が増加(元金+0.7億円、利子-0.2億円)に転じた。これにより、単年度では0.8ポイント増加となっており、令和3年度以降は悪化が見込まれている。近年では下水道事業会計における準元利償還金が大きな負担となっている。今後も事業についての取捨選択を厳格に行い、地方債発行の抑制に努める。

将来負担比率の分析欄

令和元年度から大型の建設事業の財源とした地方債の新規発行が続き、地方債残高が8.0%増加したことにより、将来負担比率は3.8%悪化した。今後も老朽化した公共施設の更新等の事業により地方債残高が増加していく見込みとなっている。土地開発公社が先行取得した土地の残地(124,885㎡、4.6億円)を計画的に買い戻し、将来負担比率の改善を図る。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

平成30年度から令和2年度にかけて職員数に大きな変更はない。職員の新陳代謝により一般職員給は前年度より2.4億円減、退職手当は退職者減により0.7億円減額となった。さらに、新型コロナウイルス感染症対策等による臨時的職員が増加したことにより、経常収支比率としては前年度より1.8ポイント改善した。今後も、適切な職員配置と業務の見直し・民営化の促進に取り組む。

物件費の分析欄

物件費については、3.4億円の増額となったが、新型コロナウイルス感染症対策によるもので、増額分のほとんどが臨時的なものであった。このため、経常収支比率としては横ばいとなっている。類似団体及び県の平均値との比較では下回っている。しかし事業の民間委託化に伴い物件費が増加傾向となっており、扶助費及び特別会計への繰出金が年々増加している中、全体の経常収支比率を抑えるためには、物件費を抑制・削減せざるをえない状況であると言える。

扶助費の分析欄

本市財政を圧迫する最も大きな要因であり、類似団体と比較してもワーストに位置する。障がい児通所事業費が0.7億円の増(前年度比+14.9%)となり毎年同程度の割合で増加している。その他の扶助費に係る支出も依然高止まりしており、支出抑制に有効な対策もなく、苦慮している状況である。扶助費の適正な給付を徹底し、市単独で実施している事業についての見直しも視野に入れることで、支出の抑制を図る。

その他の分析欄

令和元年度から大きく数字が改善しているが、下水道事業の企業会計化により、繰出金が補助費等への計上となったことによるもので、実質的な改善とはなっていない。急速に進む高齢化により、介護保険、後期高齢者医療保険事業への繰出金が年々増加している。医療及び介護の給付抑制に結びつくような健康増進事業に積極的に取り組む。

補助費等の分析欄

令和元年度に下水道事業が企業会計へ移行したことに伴い、類似団体及び県平均との差は縮まっているものの、依然下回っている支出である。前年度との比較では、60.5億円の増額となっているが、特別定額給付金による増額が大きく、増額分のほとんどが臨時的なものであった。経常的な補助費等の支出割合は6%ほどに過ぎず、本市財政にさほど大きな影響は与えていない。本市に関係する一部事務組合等への負担金が令和2年度決算額で0.3億円ほどと、他市町村と比較しても小規模であることが大きな要因である。

公債費の分析欄

大型の建設事業の財源とした地方債の償還が開始となり、市債償還金が増加(元金+0.7億円、利子-0.2億円)に転じた。大型建設事業の支出は続いており、令和3年度以降も増加となる見込みであり、地方債の発行と償還のバランスを考慮しながら、事業の取捨選択を厳格に行っていく。

公債費以外の分析欄

本市の経常収支比率(総合)は92.6%となっており、前年度との比較により3.1ポイント改善したが、新型コロナウイルス感染症対策により経常的な支出を抑えたことが要因のひとつに挙げられる。公債費以外の要素についても、扶助費、繰出金が経常収支比率を押し上げていることから、扶助費及び繰出金の適正な支出に努めなければならない。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別の歳出状況を類似団体と比較した場合、住民一人あたりの民生費のコストが類似団体平均のおよそ1.5倍と著しく高額である。また、本市の令和2年度決算においては決算総額の37.7%が民生費からの支出となっている。民生費の中では、障がい・高齢者・児童・生活保護に係る扶助費、及び国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療各特別会計への繰出金の合計がその90.5%を占めており、ここ数年右肩上がりに上昇している。今後も高齢化に伴って増え続ける見込みであり、支出抑制が非常に困難なものとなっている。総務費が大幅に増加しているが、特別定額給付金によるもので一時的な支出増である。教育費・消防費の増加についても、新型コロナウイルス感染症対策に関する支出が多くを占めている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり610,206円となっている。主な構成項目である扶助費が類似団体内でも最も高い数値となっている。近隣市町村においても軒並み高い数値となっており、旧産炭地域としての産業基盤の惰弱さと、急速な高齢化や働き手の流出といった、地域の特性も大きく影響している。扶助費増加の要因としては、障がい福祉サービスの給付費が年々増加している。また、急速に進む高齢化により、介護保険、後期高齢者医療保険事業への繰出金が増加している。普通建設事業費の増加については汚泥再生処理センターおよび市営住宅建設に伴う一時的な増加であるが、今後も老朽化した施設の更新等を控えているため、公共施設等総合管理計画に基づき、事業の取捨選択を徹底していくことで、事業費の減少を目指す。また、市税を主とする自主財源の増加も見込めない中、財源を捻出するために、その他の経費を抑制・削減せざるをえないのが現状である。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

令和2年度決算において実質単年度収支は9.0億円の黒字となった。歳入面での地方交付税(+148,843千円)及び地方消費税交付金(+222,016千円)が増額となったことが要因である。また、財政調整基金の残高が令和2年度末で30.9億円、全基金の合計が47.8億円と県内の他市と比較しても少額であり、今後実質収支の赤字が続くような状況が発生した場合は、その赤字を補う余力も限られていることが不安材料である。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

国民健康保険特別会計については、前期高齢者交付金の平成25年度交付分が超過交付となり、その精算で発生した赤字を令和元年度まで解消できなかったが、新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えなどもあり、令和2年度はプラスに転じている。しかし、被保険者数の減少に伴い国民健康保険税も減収となる一方で、県へ納付する事業費納付金は増額になる状況は変わっておらず、再び赤字となる可能性も孕んでいる。一方、水道事業は令和2年度も約19.8億円と、例年15億円を超える剰余額を出しており、安定した財政運営となっている。全会計連結では、今後数年は水道事業の黒字を超過するほどの赤字が発生することはないと見込んでいるが、今後も実質赤字比率を算出することのないように、健全な財政の運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

・大型の建設事業の財源とした地方債の償還が開始され、市債償還金が増加(元金+0.7億円、利子-0.2億円)に転じた。・地方交付税の基準財政需要額へ算入される公債費に係る償還額、臨時財政対策債が減少したことにより、算入公債費の額は約0.4億円減少した。・下水道事業の償還額が年々増加しており、普通会計においても大型建設事業の償還開始により今後も増加が見込まれている。地方債の発行と償還のバランスを考慮しながら財政運営することによって、継続的な改善を図っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

・普通会計の地方債残高は、平成30年度に増加に転じ、以降増額が続いている。令和2年度は、緊急防災・減災事業債や国土強靭化債等、防災関連や、継続事業の汚泥再生処理センター建設事業、市営住宅建て替え事業等の大型建設事業の借入を行い、大幅な増額となっている。・職員の退職手当負担見込み額については、職員構成の変動により前年度より8百万円の減となっている。・基準財政需要額について、令和2年度は下水道費、道路橋りょう費、小中学校費等が事業費減に伴い減額となったが、汚泥再生処理センター建設事業の同意額が大幅増(+4.6億円)となったことが主な要因となり、約6.7億円増額となっている。・基準財政需要額算入見込額等、充当可能財源は増額したが、地方債残高が大幅に増額となった影響が大きく、将来負担比率の分子は悪化した。今後も老朽化した公共施設の更新等の事業により地方債残高が増加していく見込みとなっているため、事業実施の適正化を図り、財政の健全化に努める。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)令和2年度は前年に引き続き、財源調整を必要としない黒字決算となったため、財政調整基金の取り崩しはせず、元金(同和会計)3.1百万円、利息1.2百万円を積立てた。特定目的基金では、ふるさと応援基金へ41百万円の積立を行ったが、退職勧奨制度に基づく退職手当へ充当するため、職員退職手当基金116百万円の取崩しがあった。令和2年度末の基金残高は、普通会計で4,784百万円となり、全体として95百万円の減となった。(今後の方針)・財政調整基金及び減債基金については、今後実質単年度収支が赤字となる見込みの中、元金積み立ての見通しは立っていない。取崩しについては、今後発生する財源不足を補うために実施するものと見込んでいる。・その他特定目的基金については、「直方市いこいの村整備基金」「直方市ふるさと応援基金」「直方市庁舎整備基金」で運用益以外の元金積立を例年実施しているが、これ以外の基金については運用益以外の積立予定はなく、決算余剰金が出た場合においても、まず財源調整の基金を優先する方針である。取崩しについては、新型コロナウイルス感染症対策や施設整備等、今後充当が必要な事業について精査し、事業実施に合わせ計画的に取崩しを行っていく予定である。

財政調整基金

(増減理由)・令和2年度の基金残高は3,099百万円となっており、前年度から約5百万円の増加となっている。・令和2年度においては取り崩しはせず、元金(同和会計)3.1百万円、利息1.2百万円の積立を行った。(今後の方針)・歳入歳出の決算余剰金を生じた場合に、財政状況を加味し、可能な範囲で積立を行うこととしているが、現状としては基金利子のみ積立をおこなっている状況である。・今後庁舎の老朽化対策に備えるため、決算余剰が生じなかった場合でも財政調整基金を取り崩し庁舎整備基金への積み替え(30百万円)を毎年度行うこととしている。

減債基金

(増減理由)・基金利息のみを積立て(今後の方針)・歳入歳出の決算余剰金を生じた場合に、財政状況を加味し、可能な範囲で積立を行うこととしている。

その他特定目的基金

(基金の使途)・直方市ふるさと応援基金:魅力あるふるさとづくりの事業の実施・直方市排水機場等維持管理基金:排水機場の維持管理及びその施設更新並びに排水機場等の属する水系の施設の維持管理・直方市職員退職手当基金:直方市職員の退職手当に充てるため・直方市環境整備基金:廃棄物の処理及び資源回収、環境の整備及び保全に係る調査・研究等に関すること、その他環境の整備及び保全に関する事業の推進・庁舎整備基金:庁舎の老朽化対策に備えるため(増減理由)・直方市ふるさと応援基金:魅力あるふるさとづくりの事業へ充当するため45百万円を取崩し、寄附金及び利息の41百万円を積立・直方市排水機場等維持管理基金:各排水機場の維持管理経費に充当するため9百万円を取崩し、利息を積立・直方市職員退職手当基金:退職勧奨制度に基づく退職手当へ充当するため116百万円を取崩し、利息を積立・直方市環境整備基金:利息のみを積立・庁舎整備基金:方針として当面の間、毎年30百万円の積立を実施(今後の方針)・直方市庁舎整備基金:庁舎建設から20年以上が経ち、今後の老朽化対策に係る費用として、当面の間毎年30百万円を積み立てることとしている。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の有形固定資産減価償却率は類似団体の平均を上回っており、施設の老朽化が進んでいる。施設の管理については、令和4年3月に改訂した公共施設等総合管理計画において、施設総量の約30%を削減することを目標とし、約2.5億円の費用削減を目指している。総合管理計画、各施設の個別施設計画に基づき、適正な施設管理を図る。

債務償還比率の分析欄

本市の債務償還比率は772.8%となり、類似団体の平均を上回っている。地方消費税交付金、普通交付税等の増加により充当可能財源が増となり、大幅な改善となったが、依然として高い水準となっている。大型事業の償還開始に伴い市債償還金額は増加に転じており、将来負担額は今後増加する見込みである。今後も事業についての取捨選択を厳格に行い、地方債発行の抑制に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和元年度から大型の建設事業の財源とした地方債の新規発行が続き、将来負担比率は増加に転じている。市債残高も依然として高く、類似団体との比較においても高い水準である。また、有形固定資産減価償却率についても、類似団体の平均値を上回っており、施設の老朽化が進んでいる。今後は、各施設の個別施設計画に基づき、公共施設等の適正管理の取組を進めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は、昨年度まで事業費の削減と市債発行の抑制に努めた結果、改善しており、類似団体と比較して低い水準であるが、将来負担比率は上昇傾向にある。将来負担比率の上昇要因としては、平成29年度から行っている汚泥再生処理センター建設事業、令和元年度から行っている市営住宅建設事業において地方債の新規発行が続いたことが考えられる。これらの地方債の償還が令和3年度から本格的に始まるため、実質公債費比率も上昇していく見込である。今後も事業についての取捨選択を厳格に行い、地方債発行の抑制に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

【橋りょう・トンネル】は類似団体平均を下回っているが、ほとんどの類型において、有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っている。【公営住宅】については、令和元年度から建て替えが進み、3.4ポイントの改善となっているが、一人当たりの面積においては類似団体平均の3倍超となっている。【保育所】では類似団体平均よりも24.2イント高い水準であり、老朽化が著しい。今後は、各施設の個別施設計画に基づき、公共施設等の適正管理の取組を進めていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

【図書館】、【市民会館】、【消防施設】、【庁舎】では有形固定資産減価償却率が類似団体平均を下回っており、老朽化は進んでいない一方、【一般廃棄物処理施設】、【体育館】の項目で類似団体平均を大幅に上回っており、老朽化が進んでいる。特に、【体育館】では類似団体平均より37.6ポイント高い水準となっており、老朽化が著しい。令和3年度からアリーナ、外壁等の改修を行い、老朽化対策に取り組むこととしている。また、【一般廃棄物処理施設】では類似団体平均よりも20.4ポイント高い水準であるが、施設の更新を進めており、令和3年度供用開始を予定している。今後は、各施設の個別施設計画を策定し、公共施設等の適正管理の取組を進めていく。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等において、資産総額が前年度と比べて3,272百万円の増加(+5.1%)となった。大型の投資事業(市営住宅、庁舎空調設備、汚泥再生処理センター)により有形固定資産が約2,000百万円増加となったことが主な要因である。ただし、築30年以上の公共施設が79.7%にのぼり、資産全体の老朽化は進んでいるため、今後は公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努めていく。負債については、1,762百万円の増加(+7.1%)となった。先に述べた大型の投資事業の財源となった地方債が約1,700百万円増加したことが主な要因である。今後は事業の取捨選択を厳格に行い、地方債発行の抑制に努める。全体では、下水道事業会計、水道事業会計等を加えており、資産総額は前年度と比較して3,403百万円増加し、負債総額は前年度と比較して1,224百万円増加している。直方市土地開発公社、福岡県後期高齢者医療広域連合を加えた連結では、前年度と比べて資産総額が3,603百万円、負債総額が1,222百万円それぞれ増加している。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等において、経常費用は23,809百万円となり、前年比253百万円の増加(+1.1%)となった。人件費等の業務費用は10,289百万円、補助金や社会保障給付費等の移転費用は13,521百万円であり、移転費用の方が業務費用よりも多くなっている。最も金額が大きいのは社会保障給付(9,048百万円、前年度比+0.3%)であり、純行政コストの31.2%を占めている。年々増加している障害福祉サービス費が悪化要因となっている。社会保障給付費の適正な給付を徹底し、市単独で実施している事業について見直しも視野に入れることで、支出の抑制を図る。全体においても、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が1,560百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が10,048百万円多くなり、純行政コストは、11,283百万円多くなっている。連結では、連結対象企業等の事業収益を計上しているため一般会計等と比べて経常収益が1,621百万円多くなっている。経常費用についても、補助金等の影響により一般会計等と比べ20,917百万円多くなり、純行政コストは19,305百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(30,492百万円)が純行政コスト(28,980百万円)を上回っており、本年度差額は1,512百万円となり、純資産残高は1,510百万円の増加となった。本年度は主にふるさと応援寄附金、国県等補助金が増加したため、本年度差額がプラスとなっている。しかし、社会保障給付費、他会計への繰出金等の移転費用が類似団体と比較しても多くなっている状況であり為、今後は扶助費の適正な給付を徹底し、市単独で実施している事業についての見直しも視野に入れることで、支出の抑制を図る。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が11,518百万円多くなっており、本年度差額は1,747百万円となり、純資産残高は2,179百万円の増加となった。連結では、福岡県後期高齢者医療広域連合の税収等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が19,756百万円多くなっており、本年度差額は1,962百万円となり、純資産残高は2,380百万円の増加となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等において、業務活動収支は1,856百万円となっているが、投資活動収支については、市営住宅、汚泥再生処理センター建設、庁舎空調設備改修を行っていることにより2,285百万円となった。財務活動収支については、地方債発行収入が地方債償還支出を大幅に上回っていることにより1,731百万円となっており、本年度末現金預金残高は1,838百万円となった。全体では、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計等の税収等が含まれていること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より1,028百万円多い2,884百万円となっている。投資活動収支では、下水道管の整備を行っているため△2,906百万円となっている。財務活動収支は、地方債発行収入が地方債償還支出を大幅に上回ったことから1,388百万円となり、本年度末資金残高は前年度から1,367百万円増加し、3,308百万円となった。連結では、後期高齢者医療広域連合の税収等収入や補助金支出が含まれることから、業務活動収支は、一般会計等より1,239百万円多い3,095百万円となっている。投資活動収支は△2,893百万円となり、財務活動収支は1,388百万円となったことから、本年度末資金残高は前年度から1,587百万円増加し、3,820百万円となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率は、合併を行っていないことにより、類似団体よりも保有している資産が少ないため下回っている。一方で有形固定資産減価償却率では、類似団体平均より高い水準にあり、固定資産への投資よりも減価償却費が上回っている状況である。今後施設の更新・改修等の費用の増大が見込まれる。公共施設等総合管理計画に基づき、今後40年間の取り組みとして公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより、施設の更新・改修等の費用の削減に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

合併を行っていないことにより資産額が類似団体よりも下回っているのに対して負債(将来世代負担比率)が類似団体よりも上回っているため、純資産比率が類似団体平均値を下回っている。負債の大半を占めているのは、地方交付税の不足を補うために特例的に発行している臨時財政対策債である。仮に臨時財政対策債を負債残高から除いた場合、純資産比率は、71%となる。将来世代負担比率は、類似団体平均を上回っている。また、大型の建設事業の財源とした地方債の新規発行が続いており、昨年度と比べて2.5%増加している。今後も事業についての取捨選択を厳格に行い、地方債の発行の抑制に努め、地方債残高を圧縮し、将来世代の負担軽減に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均より上回っている。純行政コストのうち38%を占める社会保障給付、増加傾向である他会計への繰出金が主な要因となっている。社会保障給付については、資格審査等の適正化や単独実施の扶助費等の見直しを進め、扶助費の増加傾向に歯止めをかけるよう努めなければならない。また、下水道事業会計への繰出についても、これ以上負担増とならないよう、事業の縮小も視野に入れ、今後の事業計画を再検討する必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体を下回っている。職員の新陳代謝により退職手当引当金が減少したが、令和元年度から実施している大型建設事業の財源とした地方債の新規発行が続いたことで、前年度から3.4万円増加している。基礎的財政収支は、投資活動収支が赤字となり、業務活動収支の黒字を上回ったため、△404百万円となっている。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して、庁舎整備事業など公共施設等の整備を行ったためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率について、類似団体と比較して使用料及び手数料収入が多いことで類似団体平均を上回っている。ごみ処理事業において一部事務組合に加入にしておらず、類似団体が一部事務組合で業務を行っているものを市単独で行っていることが受益者負担比率が高い要因と考えられる。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,