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地方財政ダッシュボード

高知県津野町の財政状況(2019年度)

🏠津野町

地方公営企業の一覧

簡易水道事業 特定地域生活排水処理


収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は平成23年度から変わらず0.15で推移していたが、平成30年度にから0.16と微増となった。津野町は大規模な事業所もなく、昭和35年に13,249人いた人口が令和2年度国勢調査人口5,297人(速報値)と半数以下になり過疎化が進んでいる。平成17年2月1日に市町村合併をし、退職者の不補充、公債費の繰上償還を行い、財政は健全な状態となった。一方では、移住促進、観光振興、産業の活性化等の各種施策を行っており、町税は微増傾向にあるが、依然、歳入に占める町税の割合は8%ほどであり、自主財源に乏しい状態が続いている。

経常収支比率の分析欄

市町村合併時の平成16年度は、経常収支比率90.5%と類似団体より若干オーバーしていたものの、合併後、退職者の不補充、公債費の繰上償還により改善され健全な状態を維持している。経常的な歳出においては平成28年度に発行した地方債の据置期間が終了し、元金の償還が始まったため、公債費が50,499千円の増となったことにより、1.1ポイント増加し75.5%となった。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

平成23年度からみると、類似団体と比較し若干高い状態。人件費は、地域おこし協力隊の増などにより委員等報酬などが増、職員給のうち時間外手当及び期末勤勉手当が増額となった。物件費は、津野町まるごと総合商社化事業や天狗荘リニューアル事業基本設計、庁内PC更新などが増となり物件費が増額となった。

ラスパイレス指数の分析欄

全国町村平均、類似団体平均よりも低い値で推移している。経験年数階層内での級の変動により増減がある。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員管理計画における職員数の数値目標は達成できている状況ではあるが、今後の退職者数、再任用職員数を考慮し引き続き職員数の確保が必要である。

実質公債費比率の分析欄

繰上償還による経常的な地方債元利償還金の減に対し、交付税算入額の増により比率が減少。今後は、大規模な施設整備事業が予定されており、公債費が増加する見込み。中長期財政計画により、計画的な繰上償還が必要。

将来負担比率の分析欄

繰上償還により、地方債現在高が減少したが、令和2年度以降の5年間でデジタル防災行政無線整備、天狗荘リニューアル事業、本庁舎整備などの大型事業を予定しており、多額の地方債発行により地方債現在高が増加する見込み。将来を見据えた中長期財政計画を更新し、慎重な財政運営が必要である。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

類似団体と比べ人件費は低い状態で推移している。要因としては、合併後、必要最小限の職員採用により抑制できたことが挙げられる。今後、業務量の増加に伴い職員数の増加が見込まれるため、合併後の組織体制を見直し効率の良い人員配置を行う必要がある。

物件費の分析欄

津野町まるごと総合商社化事業や天狗荘リニューアル事業基本設計、庁内PC更新業務が増額となったため、物件費が増となった。増加傾向にあるため、経常的な経費の削減に努める必要がある。

扶助費の分析欄

小中学生医療助成などに取り組んでいるが、類似団体より低い値となっている。扶助費の性質上、今後減少することは見込めないため、扶助費を伴う新規事業は慎重に検討し真に必要な事業を実施していく必要がある。

その他の分析欄

類似団体と比較し低い値となったが、公債費の増や普通交付税などの減などにより、全体的に経常収支比率が上昇する見込みであるため、慎重な財政運営が必要である。

補助費等の分析欄

類似団体より低い値を示しているが、一部事務組合などへの負担金が増加傾向にある。補助金においては、プレミアム付商品券事業が皆増となった。今後も、スクラップアンドビルドを基本に限られた財源を有効に活用する。

公債費の分析欄

財政健全化のため、積極的に繰上償還をした結果、類似団体より低い値となっている。大規模な施設整備事業が予定されており、公債費が増加する見込み、計画的な繰上償還により財政運営を行っていく。

公債費以外の分析欄

類似団体と比較し、低い値であるが、物件費が増加傾向にあるため、注意が必要。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体と比較し、南海トラフ地震に備える防災費、移住促進や集落活動支援などの企画的な費用として総務費が高い状態で推移している。今後、防災拠点施設整備やデジタル防災行政無線整備も予定されているため、さらに増額となる見込み。土木費は、経済対策により近年高い水準にあるが、今後は、整備の完了などにより類似団体と比較し同水準で推移していく見込みである。教育費では、本町が取り組んでいる学校教育の学力向上などに向けた学習支援員及び特別支援教育支援員などの賃金により高い状態で推移している。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

類似団体と比較し、人件費が低い状態で推移しているのに対し、人件費に準ずる賃金が多額となり物件費が高い状態で推移している。補助費等は、老人ホームなどの一部事務組合の負担金が増加傾向にあるため注意が必要である。普通建設事業費は類似団体と比較し高い水準にあり、また、今後、デジタル防災行政無線整備や天狗荘リニューアル事業、本庁舎整備などの大型事業が予定されており大幅に増加することが見込まれる。公債費を抑えるため、中長期財政計画により毎年度繰上償還を行っているため、類似団体と比較すると公債費は高い水準で推移している。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

財政調整基金が増加したのは、剰余金の積み立てによるもの。実質収支額、実質単年度収支ともに黒字である。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

各会計において赤字はないが、国民健康保険事業特別会計(直営診療)への一般会計繰入金は年々増加しており、経営は厳しい状態である。【追記】(※左表に表示されないため追記)津野町簡易水道事業特別会計H27:0.00H28:0.00H29:0.00H30:0.00R1:0.00津野町生活環境施設整備特別会計H27:0.02H28:0.02H29:0.02H30:0.00R1:0.01

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

財政健全化のため積極的に繰上償還を実施した結果、算入公債費が元利償還金を上回った。今後、大規模な施設整備が予定されているため、経常的公債費が増加する見込みであり、中長期財政計画により今後も計画的に繰上償還を行い健全な財政運営に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

繰上償還の実施により、地方債現在高が減少。また、充当可能基金が増加しているため、将来負担比率が減少した。将来、予定されている施設整備により地方債の現在高は増加する見込みであるため、基金を活用し計画的に繰上償還を実施していく必要がある。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)繰上償還の財源として減債基金を取崩したため減少となった(今後の方針)令和2年度からの5年間で100億ほどの施設整備事業を予定しており、多額の起債発行を行う見込みである。公債費を抑制するため繰上償還を実施し、その財源として基金を想定している。また、起債対象とならない部分については、施設等整備基金などを活用する予定であり、基金は大きく減少する見込み。

財政調整基金

(増減理由)剰余金の積立てにより増加。(今後の方針)普通交付税が減少するなか、公債費などの経常経費が増大する見込みであり、今後において、収支調整のための財政調整基金の取崩しや繰上償還の財源などとして取崩す必要がある。

減債基金

(増減理由)繰上償還の財源として取崩したため減少(今後の方針)今後、大型事業を予定しており、多額の起債発行により、公債費が増大する見込みである。繰上償還をしない場合の公債費(経常償還)は、令和10年度までに、最大で約8億円程度増加(R1:6億円→R10:14億円)する見込みである。公債費抑制のために、多額の繰上償還を行う予定であり、その財源として減債基金を活用する。

その他特定目的基金

(基金の使途)施設等整備基金は、天狗荘リニューアル事業や庁舎整備などの大型事業へ活用響働のまち振興基金は、基金運用益をイベント事業などへ活用まちづくり振興基金は、庁舎整備にあたっての基本構想・設計・工事などへ活用(増減理由)篤志家からの1億円の寄附により、ふるさと振興基金を新たに創設したため増額となった(今後の方針)施設等整備基金は、今後に控えている大型事業に活用予定であり、まちづくり振興基金は庁舎整備へ全額活用する予定。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

津野町は山間地域で、葉脈のように伸びた多数の谷に沿い集落が点在しているため、橋梁や集会施設が類似団体と比較して多くなっており、老朽化も進んでいる。また、平成17年に旧東津野村と旧葉山村が合併したため、旧村単位で公共施設があり、庁舎や福祉施設などの一人あたりの面積の数値が高い。合併後は、小中学校の統合、幼稚園・保育園は認定こども園として整備するなど老朽化比率や施設数は減少し、また、近年は運動公園総合センター(スポーツ施設)の建て替えや、消防施設の建て替え、毎年、計画的な簡易水道施設の更新、町道の整備改良を実施しており、有形固定資産減価償却率は低下している。

債務償還比率の分析欄

地方債については、計画的に繰上償還を行っており、平成30年度決算と比較すると地方債現在高は52千万円(対標財規模14.7%)程度減少した。繰上償還により将来負担額を抑制できており、また繰上償還は基金を財源として行うなど、将来負担比率はマイナス値を保っていることから、債務償還比率は類似団体と比較しても極めて低い水準となっている。しかし、今後は宿泊観光施設の更新や、庁舎の更新、保健福祉センターの改修など大型のハード事業を控えていることから、将来負担額が大きく増加する想定であり、比例して将来負担比率も増加する見込みである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和元年度決算では将来負担比率、有形固定資産減価償却率ともに類似団体を下回っている。有形固定資産減価償却率については、中長期財政計画の中で老朽化に伴う公共施設の改修や施設整備を含めたうえで将来推計を算出しており、計画中で改修や整備にあたっては起債を発行し、後年度の公債費は基金を主な財源として繰上償還を行い、年度間で財政負担の平準化を図るよう調整をしていくこととしている。そのため、近年、有形固定資産減価償却率は減少傾向にあり、債務償還比率も低い水準を維持していることから、計画的な公共施設の改修・更新を行いつつ繰上償還や基金の充当などにより財政負担を抑制できていると考えられる。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率、実質公債費比率ともにマイナスとなっており財政状況は健全であるが、今後は公共施設の更新・改修など大型のハード事業が予定されており、起債の多額発行により実質公債費比率は増加する見込みである。今後も中長期財政計画により計画的な繰上償還を実施して、将来負担額や実質公債費比率などの調整を行っていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路については、毎年、国費を活用して計画的に町道の改良整備に取り組んでおり、有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して低い水準を維持している。認定こども園・幼稚園・保育所については、幼稚園と保育園を認定こども園として整備し、2施設を運営しているが、当面の間、更新がないため有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して高い。また、認定こども園として整備し行政財産として管理しているため、一人あたり面積も類似団体を上回っている。橋梁・トンネルについては、津野町は山間地域で昔からの谷を渡る橋梁が多く、老朽化も進んでいるため、類似団体と比較すると一人あたりの有形固定資産減価償却率及び有形固定資産額は高くなっている。そのため、長寿命化計画にもとづき、計画的に点検・補修を進めているところである。公営住宅については、老朽化が進んでおり、まもなく耐用年数を迎える住宅も数件ある。令和2年度に長寿命化計画を改定し、計画的な改修や除却を進めていく必要がある。また、令和2年度から3年度にかけてPFI方式による住宅整備を進めているところである。公民館については、集落が点在していることから集会施設が多く老朽化も進んでいるが、複数の集落で集落活動拠点施設を整備し、老朽化した集会施設は除却しており、今後は老朽化比率の減少と施設数の減少を見込んでいる。学校施設については、平成29年度に中学校のプール改修を行ったことから、位置図的に有形固定資産減価償却率が減少している。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

一般廃棄物処理施設については、平成28年に西地区にあるし尿処理施設を改修して中間貯蔵施設とした。また、最終処分を一部事務組合としたため、平成29年度から有形固定資産減価償却率は大きく減少している。体育館・プールについては、平成25年度に運動公園総合センターの建て替えを行ったが、他の体育施設は老朽化が進んできており、類似団体と比較して有形固定資産減価償却率は高くなっている。今後は公共施設総合管理計画や個別施設計画にもとづき、改修を進めていく。保健センター・保健所については、類似団体と比較すると一人あたりの面積が大幅に高くなっているが、これは総合保健福祉センターの面積が大半を占めており、当該施設内にはトレーニングルームやプール、会議室、多目的ホール等が併設していることが要因となっている。消防施設については、消防庁舎の一人あたり面積が平成28年度から29年度に増加しているが、老朽化等による消防施設の移設、建て替えなどによる用地取得によるものである。また、有形固定資産減価償却率については、計画的に消防施設の更新を行っているため、類似団体と比較して低い水準にある。庁舎については、旧東津野村と旧葉山村が合併し、旧庁舎を西庁舎として位置づけているため、一人あたりの面積は類似団体と比較して高くなっている。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から583百万円の増加(+2.5%)となった。金額の変動が大きいものはインフラ資産と基金であり、インフラ資産は、防災拠点施設(消防署)、飲料水供給施設の整備により建物が245百万円の増、道路整備事業等の実施により工作物が減価償却累計額を含めて579百万円の増となった。基金については、固定資産では繰上償還を増額して実施したことにより減債基金が246百万円の減、流動資産では決算剰余により財政調整基金が127百万円の増となった。負債総額については前年度末から548百万円の減少(△7.3%)となっている。金額の変動が大きいものは地方債(固定負債、流動負債)であり、899百万円の借入に対し、繰上償還を含む1,423百万円の償還により524百万円の減となった。特別会計を含めた全体については、資産総額が前年度末から770百万円の増加(+3.1%)となった。金額の変動が大きいものはインフラ資産であり、簡易水道施設の整備により建物が550百万円の増、合併処理浄化槽設置事業などにより工作物が減価償却累計額を含めて595百万円の増となった。負債総額については前年度末から539百万円の減少(△5.9%)となっており、主な要因としては一般会計等に属する地方債の減少によるものが大半を占めている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は3,988百万円となり、前年度末から13百万円の減少(△0.325%)となった。経常費用のうち人件費等の業務費用が2,463百万円(前年度比△2百万円)、補助金等の移転費用は1,526百万円(前年度比△10百万円)となっている。経常費用のうち業務費用で大きな変動があったものは、人件費について退職手当金繰入額が45百万円の増、物件費等について施設等にかかる維持補修費が135百万円の減、物件費が津野町まるごと総合商社化事業、庁内PC更新業務などにより70百万円の増となった。移転費用については、プレミアム付き商品券事業など新規事業の執行があったが、前年度は高陵特別養護老人組合葉山荘の空調設備改修負担金や、園芸用ハウス整備による補助金などがあったことから、補助金等が51百万円の減となった。また、他会計繰出金について、特別会計における簡易水道施設整備や診療施設の赤字補填などにより48百万円の増となった。経常収益は271百万円となり、前年度末から90百万円の増加(+49.72%)となった。主な要因としては、退職手当引当金の取り崩し額が増加したため、その他収益が92百万円の増となっている。以上のことから純経常行政コストは前年度から103百万円の減となっているが、一時的に減少しているものであり、今後についても公共施設の適正管理や施設の統合など行政コストの削減に努める必要がある。また、純行政コストは、災害復旧事業により臨時損失が176百万円の増となり、前年度末から73百万円の増となっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等については、純行政コスト3,893百万円に対し、税収や補助金等の財源は5,055百万円であり、本年度差額は1,132百万円のプラスとなっている。税収等については、前年度比で138百万円の増加となっており、主な要因としては森林環境譲与税の新設による地方譲与税の増、普通交付税において地方債の償還元金の増加に伴う公債費の増などによるものである。また、国県等補助金については、前年度比で256百万円の増加となっており、主な要因としては道路整備事業などに活用している社総金の交付決定額が増となったこと、前年度からの繰越事業の増加、林道整備による森林環境保全整備事業補助金の増などによるものである。地方交付税は令和2年度から一本算定になることから、今後においても行政コストの縮減に努めるとともに、有利な補助金の活用や町税等の徴収強化などにより財源の増加に努めていく。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,038百万円であったが、投資活動収支については道路整備事業や防災拠点施設整備事業(R1本体工事)、上桑ヶ市飲料水供給施設整備などにより567百万円のマイナスとなった。支出が前年度比541百万円の増に対し、収入が前年度比613百万円の増であったことから投資活動収支としては前年度比で72百万円のプラスとなっている。また、積極的な補助事業の活用や、財源の多くには交付税措置率の高い地方債を充当していることから、年々マイナスは解消されている状況である。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから524百万円のマイナスとなっている。投資活動収支については前年度からプラスとなったものの、財務活動収支はマイナスとなったことから、本年度資金収支額は△52百万円となり、前年度末資金残高が243百万円であったことから、本年度末資金残高は192百万円(前年度比△51百万円)となった。令和2年度には大型事業に係る地方債の発行額が増大しており、一時的に財務活動収支はプラスになる可能性はあるが、据え置き期間が終了する2、3年後には償還額が膨らみ、財務活動収支のマイナスが増加する見通しであるため、財政計画にもとづき、繰上償還を実施するなどして計画的な資金繰りを行い、財政の安定化を図っていく必要がある。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人あたりの資産額は413.2万円、歳入額対資産比率は3.49年と類似団体平均値と比較して低い水準にあるが、当町では合併後、公共施設の統廃合などを一定進めてきたことが要因と考えられる。また、道路等の取得価格不明の資産を、備忘価格1円で評価していることなども原因であり、当面は低い水準が続く見通しである。一方で、近年は財務書類4表の作成に取り組んでおり、取得価格の抽出を行っていることから、資産額は増加しつつあり、住民一人あたりの資産額も右肩上がりである。有形固定資産減価償却率は59.0%と耐用年数の半分ほどまで経過している状況である。令和2年度に公共施設等個別施設計画を策定し、今後、計画的に公共施設の改修・更新・除却を実施していく必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率が70.6%、将来世代負担比率は38.3%と類似団体平均値を下回る数値となっている。これについても取得価格不明の資産を備忘価格1円で評価していることが要因と考えられる。しかし、近年は財務書類4表の作成に取り組んでおり、取得価格の抽出を行っていることから、資産額は増加しつつあり、純資産比率も右肩上がりである。また、将来世代負担比率は、繰上償還などにより地方債残高は年々減少しており、負担比率も減少傾向にあるが、類似団体平均値を大きく上回っている状況である。ただし、充当可能な財源として、地方債に係る交付税収入や基金残高などを考慮した場合は類似団体平均値を下回る。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人あたりの行政コストは類似団体平均値より低い水準を維持している。令和元年度においては経常費用は前年度比でマイナスとなり、経常収益はプラスとなったため、純経常行政コストは減少したが、災害復旧事業による臨時損失が増加したため、純行政コストが前年度比で7,305万円の増加となっていある。また、人口は年々減少傾向にあることから、住民一人あたりの行政コストは前年度比で2.4万円増となった。今後、公共施設の適正管理や施設の統合など行政コストの削減に努めていく必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人あたりの負債額は類似団体平均値を上回っている。要因としては近年の公共事業の増加に伴い、多額の地方債を発行してきたため地方債残高が膨らんでいたが、合併後の平成17年度から継続して実施してきた繰上償還により地方債残高の急激な増加を抑制できており、負債額も減少傾向にある。今後も計画的な繰上償還を実施することで地方債残高の縮減に努める。基礎的財政収支については、毎年、業務活動収支の黒字分で投資活動収支の赤字分を補填できており、令和元年度は447百万円のプラスとなっている。投資活動収支が赤字となっている要因は、主に地方債を発行して公共事業を実施しているためであるが、地方債については優先的に交付税措置率の高いものを発行しており、業務活動収支の黒字に大きく影響していると思われる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

令和元年度の受益者負担比率は類似団体平均値を上回った。令和元年度においては退職手当引当金の取り崩しの増加により経常収益が増となったため、負担比率は増加しているが一時的なものに過ぎない。今後、施設の老朽化などにより維持補修費等の経常費用が増加していく見込みであるため、公共施設の適正管理や施設の統合など計画的に行い、経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,